7794T列車 横軽通過
皇紀2745年2月16日 国鉄信越本線熊ノ平信号場。
「白山」は軽井沢を出発する。ここから「白山」は碓氷峠へと挑んでいく。EF63形2両に489系11両が従う。
碓氷峠には最大66.7パーミルという勾配が横たわっている。パーセンテージに直すなら6.67%だが、鉄道にとってこんな坂でも急坂になる。元々アプト式鉄道としてこの区間を通っていたが、EF63形から普通の鉄道へと変わった。いや、変わったというのは語弊があるか・・・。
「あれさっきよりも乗り心地悪くなった。」
と萌が言う。
これは碓氷峠を通るとき空気バネの空気を全て抜いているためである。これは坂を下るときに高崎方の台車に付いた空気バネに車体の全重量がかかるからだ。人が坂の上で立っているとき坂の下側にある足に体重がかかることと何ら変わりは無い。負担をかけないようにしているんだろう。
「ピョーッ。」
今、EF63形の運転席と489系の運転席との間で無線通信が行われているのだろう。列車はそろーり、そろーりと慎重に坂を下っていく。隣の横川駅に着くのは軽井沢出発後約20分。軽井沢と横川の間は11.2キロだ。
「結構早い・・・。」
「・・・かな。」
「・・・。」
「案外普通・・・。」
「これは昼間に来た方が良かったかな・・・。」
「それが良かったかな・・・。」
まっ、あと2回通るしね。
麓の横川に到着するとここまで先頭に立ってきたEF63形電気機関車は車庫へと引き上げていく。この間にホームでは峠の釜飯が売れている。僕たちも峠の釜めしをかい、高崎に到着するまでの間に食べてしまうことにする。
たくさんの線路が集まってくると列車は高崎駅に到着する。僕たちも降りるときだ。
西大津→枕崎間の乗車券高崎駅で途中下車
「結構長かったなぁ・・・。」
「昔は特急しか無いから・・・。大変だったんだよなぁ。」
「大変だったんだろうねぇ・・・。」
「僕たちちょっと毒されてないかな。」
「毒されてるのは結構前から。」
「だね。」
国鉄EF63形電気機関車
碓氷峠専用の電気機関車。信越本線高崎方にのみ連結され、碓氷峠を通過する全列車の登坂下山を補助する。




