表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(復路) 北海道
145/270

7924T列車 人間の無力さ

皇紀2745年5月2日(第70日目) 国鉄(こくてつ)深名線(しんめいせん)朱鞠内(しゅまりない)駅。

羽幌(はぼろ)羽幌線(はぼろせん)名羽線(めいうせん)朱鞠内(しゅまりない)

 名羽線(めいうせん)の列車は朱鞠内(しゅまりない)に入った。列車はホームの一角を切り欠いて作られた短いホームに入った。深名線(しんめいせん)の列車は駅舎から一番遠いホームにキハ56形を1両にしたキハ53形が停車していた。ただ、あの列車に乗ることは出来ない。サボには「深川(ふかがわ)行き」とさがっている。

「次の名寄(なよろ)方面の列車は。何ですか。」

萌はそう言って、時刻表を指さす。

「特急「深雪(みゆき)名寄(なよろ)行き・・・。特急かぁ。また特急券買わないといけないわね。」

と萌は言ったが、肝心なことを見落としていた。

「それこっから普通になるよ。」

「あっ、そういう系・・・。」

ホームで20分くらい待っているとキハ183系がゆっくりと朱鞠内(しゅまりない)駅に入ってきた。4両編成で内1両には半室グリーン車を連結している。大半の乗客が列車から改札口へと向かう。この列車に乗ろうとするのは僕達と鉄道ファンが一人と野球部3人だった。僕と萌は一応|蕗の台駅で降りる予定ではあるが、あの鉄道ファンは一体何処で降りるつもりなのだろうか。

朱鞠内(しゅまりない)深名線(しんめいせん)快速(朱鞠内(しゅまりない)から快速)「深雪(みゆき)」→名寄(なよろ)

 朱鞠内(しゅまりない)を出発する。辺りはずっと白樺が生えている場所を突き進んでいく。誰も住んでいる気配は無い。列車のスピードがにわかに落ちたかと思うと残雪があるところに止まった。駅名標には「蕗ノ台(ふきのだい)」と書かれている。

「いや、ちょっと待って。こんなところで降りる。」

「・・・これは嫌だな・・・。」

駅舎はあるが、その前は雪しかない。こんな所に降りようと思っていた僕達は考えを改めざるを得なかった。蕗ノ台(ふきのだい)駅周辺は元々人の手が入っていたという。小学校まであったという面影は既にない。

 この駅でさっき一緒に乗り込んだ鉄道ファンは降りていった。こんなところで降りる人もいるんだなぁ・・・。列車は出発する。

「ピョーッ。」

「あの人降りちゃったよ。」

「降りちゃったなぁ・・・。」

「こんなところで降りて何するの。」

「俺が知るか。・・・車掌さんに言って、この切符名寄(なよろ)まで乗り越すことにするか。」

蕗ノ台(ふきのだい)名寄(なよろ)間の運賃特急「深雪(みゆき)」車掌により清算の上乗車

 列車は次の白樺駅にも停車。この駅でも鉄道ファンが一人乗り込んでできた。いや、だから貴方は一体こんな何も無いところで何をしてたんだよ。

 北母子里(きたもしり)天塩弥生(てしおやよい)西名寄(にしなよろ)と停車して、終点の名寄(なよろ)に到着。2日ぶりくらいにまた名寄(なよろ)に戻ってきてしまった。往路じゃ、イオン。復路じゃ素通りしてしまった名寄(なよろ)。今日はちょっと寄ってみたいところによろう。

 駅から出て、20分くらい歩いたところに蒸気機関車が展示しているところがあった。解説看板には「キマロキ編成」と書かれていた。

「これって。」

「除雪用の列車だよ。機関車、マックレー車、ロータリー車、機関車の順番で並ぶから「キマロキ編成」って言うんだよ。」

「マックレー車って。」

「うーん・・・。熊手みたいなの。」

「熊手ねぇ。」

そんなやっつけな説明で萌は理解してくれただろうか。

「これって何人くらい必要なの。」

「えっ・・・。」

えっと、蒸気機関車に2人×2。マックレー車にも人員がいるし、ロータリー車はロータリーを回転させるために石炭をくべる人が必要だから最低でも1人。てことは動かすだけで6人以上はいるのか。

「6人以上・・・。」

「たったこれだけに6人以上かぁ・・・。」

そりゃ、人員少なくて済むDD53形、DD14形とかに置き換えられるわけだよ。


一口メモ

国鉄(こくてつ)深名線(しんめいせん)

函館本線(はこだてほんせん)深川(ふかがわ)宗谷本線(そうやほんせん)名寄(なよろ)間を幌加内(ほろかない)朱鞠内(しゅまりない)北母子里(きたもしり)経由で結んでいる鉄道線。幌加内(ほろかない)などからは札幌(さっぽろ)行きの特急「深雪(みゆき)」も走っている。深名線(しんめいせん)沿線は豪雪地帯とも知られ、冬季休業する駅を抱える珍しい路線でもある。


国鉄(こくてつ)深名線(しんめいせん)蕗ノ台(ふきのだい)

深名線(しんめいせん)に設置されている鉄道駅。元は集落があったが、現在は誰一人住んでいない。ここ周辺は豪雪地帯のため冬季は営業さえしない。その為この駅は「冬眠駅」と呼ばれることがある。


国鉄(こくてつ)キハ53形気動車

キハ56形を1両化改造したディーゼルカー。深名線(しんめいせん)などパワーのいる線区に投入された。


除雪特発「キマロキ編成」

組成される車両の頭文字を取ってこう呼ばれる。マックレー車で線路近くの雪をかき集め、ロータリー車で遠くへはね飛ばす。マックレー車もロータリー車も自力走行が出来ないため機関車の連結が必須。それだけの人員を割く必要が無くなった車両の投入で順次置き換えられた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ