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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(復路) 北海道
144/270

7923T列車 知らない方が良かった世界

皇紀2745年5月2日(第70日目) 国鉄(こくてつ)名羽線(めいうせん)築別(ちくべつ)駅。

羽幌(はぼろ)羽幌線(はぼろせん)名羽線(めいうせん)朱鞠内(しゅまりない)

羽幌(はぼろ)蕗ノ台(ふきのだい)間の乗車券羽幌(はぼろ)駅から使用開始

 名羽線(めいうせん)の列車は羽幌線(はぼろせん)の列車に連結されている。キハ22形、キハ40形で混成された5両編成だが、前2両が稚内(わっかない)行き、3両目が幌延(ほろのべ)行き、4両目が朱鞠内(しゅまりない)行き、5両目が(あけぼの)行きである。名羽線(めいうせん)に直通する列車は2両あるが、目的地朱鞠内(しゅまりない)まで行く列車はたった1両だけ。そして、これを逃せば17時までないのだから仕方ない。

 今は前3両を切り離している最中だ。切り離しが完了してからも名羽線(めいうせん)の列車はゆっくりと築別(ちくべつ)駅に停まっていた。羽幌(はぼろ)方面行きの列車を待っているのだろうなぁ・・・。乗客は僕らを含めて2人。(あけぼの)行きの車両には誰も乗っていない。実質乗客は0人だ。

「誰も乗ってないって言うのも珍しいわね。」

萌はそう言った。

 築別(ちくべつ)駅で15分くらいと待ってから列車は名羽線(めいうせん)に入った。(あけぼの)駅までの間は羽幌(はぼろ)炭鉱から産出される石炭を運搬する貨物列車も通る。そちらのほうが多くの貨車を連結しているし、乗客という名の石炭もいっぱいだ。(あけぼの)駅で10分停車。この間に(あけぼの)止まりのキハ22形を切り離し、ついに朱鞠内(しゅまりない)行き1両だけになってしまった。

 (あけぼの)駅を出発すると名羽線(めいうせん)はすぐさま峠越えにかかった。山と雪が深くなる。もう5月だというのに、この辺りには残雪がある。しばらく山を登ったかと思うと辺りが開け、列車は止まった。駅名標には「三毛別(さんけべつ)」と書いてある。

「・・・。」

「ねぇ、ナガシィ。あの「三毛別(さんけべつ)なんとか復元地は苫前周辺です。」って書いてあるけど。あの「三毛別(さんけべつ)なんとか」って何。」

「羆」って読めないんだな・・・。と萌のことを笑った。「漢字読めなかったぐらいで笑わないでよ。」と怒られてしまった。

「で、あれって何。」

「萌は知らない方が良いよ。僕はあれ知って後悔したから。」

「・・・何か腹立つ。」

「とにかく、無闇にネット検索かけない方が良いよ。」

と釘を刺した。

「ちょっと前面展望見てくる。」

「あっ、行ってらっしゃい。」

 前面展望が見れるところへ行ってみた。キハ22形は何回もトンネルを出たり入ったりを繰り返している。しかし、限りなくまっすぐ線路は延びている。トンネルに入ると出口が小さく見えたりする。

(こんなにまっすぐ線路を敷けるのは北海道の特権だよなぁ・・・。)

と思う。

「プアァァン。」

警笛を鳴らして、トンネルをでる。見渡す限りの茶色の風景が広がる。

「・・・。」

高架を走りきるとまたトンネルに入る。そして、また高架を走る。何回もその繰り返し。風景は何度トンネルを抜けても、何度高架を渡っても変わらない。つまらない。本当につまらない路線だ。こんな何も無いところに鉄道を通すこと自体凄いことであるが、維持することはもっと大変なことである。

「おっ。」

線路が二手に分かれた。信号場みたいだ。

「んっ。」

服を少し引っ張られた気がしたので後ろを振り返ると萌がいた。

「どうした。」

「いっ、いいじゃない。ちょっとくらい。」

「・・・もしかして、さっきの見た。」

「黙ってて。」

「はい。はい。」

見たな、これは・・・。


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