7916T列車 強制延長
皇紀2745年4月28日(第66日目) 国鉄名寄本線中湧別駅。
中湧別ではちょっと名寄本線の列車を待った。僕達はこのまま名寄本線を名寄まで抜けて行ってしまうが、そちらまで乗り換え無しでいけるダイヤは無い。最も早くでる列車は紋別行きだ。「どうする」と萌に聞くと「それでさっさと行こうよ」と言った。
中湧別→名寄本線→紋別
枕崎→広尾間の最長往復切符復路紋別駅で途中下車
紋別はオホーツク海側では大きい街だ。稚内から網走の間にかけては浜頓別、興部、湧別と並ぶ大きさかそれ以上だろう。
駅を降りて少し歩いただけで紋別港が広がっている。港の中には漁船に混じって小ぶりの遊覧船が停泊していた。名前は「ガリンコ号」と言うらしい。
「あのガリンコ号ってのって見たいと思わない。」
「萌は乗りたいの。」
「んっ、ナガシィが乗りたいんじゃ無いかなぁと思って。」
「別に。乗りたいとは思ってないよ。」
「・・・。」
あれに乗ったら面白いのは紋別の辺りに流氷が接岸しているときだろうなぁ・・・。今は氷がないからあれの本領を発揮するわけでは無いよなぁ。
紋別港から戻って、駅弁を買って興部方面へ行く列車に乗る。
紋別→名寄本線→西興部
枕崎→広尾間の最長往復切符復路紋別駅から使用再開
日は傾き、興部行きに乗っている間に完全に没した。辺りは暗くなってしまい、時折通過する駅周辺の街明かりが目に入ってくるのみだ。こうも何も見えないとやることはただ一つになってくる。次に目が覚めたときには興部駅に停まっていた。
「萌・・・。」
「んっ・・・。」
「興部。降りる。」
「興部かぁ・・・。こっから名寄まで大きい街なんてないよね。」
「大きい街はないけど、小さい街ならいくらでもあるよ。」
いくらでもってほどでは無いか。途中で峠を越えるからなぁ。その間は街なんてものは無いか。
「今日は温泉浸かってゆっくりしたいなぁ・・・。」
「温泉かぁ・・・。」
「ナガシィは混浴がよかった。」
「冗談はよせ。」
「冗談って。見たいくせに。」
ふっ・・・。とりあえず探すか。スマホで探してみると興部にもそういう場所がある。ここのはと萌に聞いてみたが、その瞬間に列車が発車した。興部のホテルには強制的に泊まれないことが確定した。この先にそういう場所は・・・。スマホを駆使して探してみると西興部の駅前にそういう場所があった。
「ここで泊まる。」
「うん。賛成。」
枕崎→広尾間の最長往復切符復路西興部駅で途中下車




