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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(復路) 北海道
135/270

7914T列車 ちょいちょいそこのお客さん

皇紀2745年4月27日(第65日目) 国鉄(こくてつ)根室本線(ねむろほんせん)根室(ねむろ)駅。

 根室(ねむろ)港には大型の貨物船と軍艦が停泊していた。ちょっと見ている間に出港の準備が整ったのか貨物船「知床丸(しれとこまる)」がゆっくりと沖合に乗り出すとそれに付き従うように軍艦が出て行った。あの船団はこれから国後島、択捉島に向かうらしい。その風景を見てから根室(ねむろ)駅に戻ると人が集まっていた。その人達は全員大きいカメラを提げている。根室(ねむろ)に何か珍しいものでもあったかなぁと考えていると人盛りが少々ざわついた。

「・・・。」

根気よく待っていると人盛りの中から水色のトラックが出てきた。ノロノロと走るトラックは人が少し走ってでも追いつけるぐらいのスピードでこっちに近づいてくる。と思ったら右にちょっと傾いて止まった。

「何あれ・・・。」

「さぁ、何だろうなぁ・・・。どこからどう見てもトラックにしか見えないんだけどなぁ・・・。」

止まってすぐにトラックの運転台に当たるところから運転士さんが降りてきた。そして、2代から乗客も降りてきた。さらに、カメラを構えていた人たちも集まった。木の棒を取り出し、トラックを下から支えて左に動かす。

「脱線したんだね。」

「脱線したみたいだな。」

 脱線が直ったのかまたゆっくりと動き出した。ちょっと走れば追いつけるぐらいのゆっくりとした走りだ。僕達の横をそのトラックが通り過ぎる。顔はどう考えても昔のボンネットトラックみたいな感じでエンジン部分が飛び出している。2台部分には水色で窓の付いた箱が乗っている。中には人が乗っているようで顔が見える。

「あれが噂の。」

「らしいねぇ・・・。」

あれは伝説と言われた迷車。根室拓殖鉄道(ねむろたくしょくてつどう)の「銀竜(ぎんりゅう)号」らしい。

 さて、残念だが僕達は「銀竜(ぎんりゅう)号」には用がない。と言うかファンの間では何故か変態的な人気を誇っており、あれが走る日の予約は既に何ヶ月待ちの状態であるらしい。

根室(ねむろ)根室本線(ねむろほんせん)厚床(あっとこ)

根室(ねむろ)厚床(あっとこ)間の乗車券使用開始

 根室本線(ねむろほんせん)の列車に乗り厚床(あっとこ)を目指す。根室本線(ねむろほんせん)はちょっと東に進んでから西に進む。その為、根室(ねむろ)は日本の最も東に位置する駅では無い。辺りに集合住宅のような建物が見えてくると日本最東端の駅東根室(ひがしねむろ)に停車する。これで日本最東端、最西端、最南端に行ったことにはなる・・・が、降りている暇は無い。

 花咲(はなさき)に行くと沖合に軍艦を見るようになり、それが一旦消えて花咲(はなさき)に停車。その後も時折海を見ながら、根室本線(ねむろほんせん)は西進。その内、その海も見えなくなる。

 厚床(あっとこ)駅からは最長往復切符のルートに復帰。標津線(しべつせん)の列車に乗り換え中標津まで列車を乗る。一旦駅弁を買うためにホームに降りる。それから急行「くなしり」で標茶を経由し、釧網本線(せんもうほんせん)を北上する。今日は朝に「銀竜(ぎんりゅう)号」を見た以外はずっと列車にゆられる。そんな一日だった。

厚床(あっとこ)標津線(しべつせん)別海支線(べっかいしせん)→中標津

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符復路厚床(あっとこ)駅より使用再開

中標津→標津線(しべつせん)急行「くなしり」→標茶

標茶→釧網本線(せんもうほんせん)網走(あばしり)

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符復路網走(あばしり)駅で途中下車


一口メモ

根室拓殖鉄道(ねむろたくしょくてつどう)

ネムタクと言われる変態。無免許運行、そこら辺の大工にものを直させる・作らせる、脱線は日常茶飯事、運転士と客がそれを直すのはデフォルト、冬季はそもそも運転さえしないとその変態ぶりは多岐にわたる。現在は会社消滅、根室(ねむろ)駅近辺の短い区間と名前がその伝説を現世に伝える。


根室拓殖鉄道(ねむろたくしょくてつどう)銀竜(ぎんりゅう)号」

元は鉄路を走るトラック。それに客室を乗せただけのもの。そんなやっつけで出来上がった車両はWikipediaにさえ「伝説の迷車」と書かれている。現在は有志によるクラウドファンディングで維持されている。なお、壊れてもそこら辺の大工に直させる点は変わっていない。


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