7905T列車 幸福
皇紀2745年4月22日(第60日目) 国鉄広尾線幸福駅。
愛国→広尾線→幸福
「まもなく幸福。幸福です。運賃、切符は前の運賃箱にお入れください。」
とアナウンスがあった。線路の脇にあるホームがゆっくりと近づいてくる。キハ22形はゆっくりとそのホームに止まった。愛国駅で買った切符を運賃箱にいれ、ホームに降り立った。このホームもドアの高さと合っていない。降りるときはちょっと段差を飛び越える感覚だ。
愛国→幸福行きの乗車券幸福駅到着に伴い使用終了
列車が発車すると辺りは静かになった。幸福駅の周辺には人家があるが、それ以外は全て畑だ。
「こんな所に幸福に成れる駅があるってねぇ。」
「来ても幸福にはならないけどなぁ・・・。」
「それ言ったら終わりでしょうが。」
「ハハハ。」
「ナガシィ。」
「何。」
「私達はこれからも幸福でしょ。」
「・・・ああ、そうだな。」
ホームから降りて、駅舎に行ってみる。小さい木造の駅舎がある。その中に入ると天井にまでびっしりと張り付けられた「愛国→幸福」行きの乗車券が出迎えてくれる。愛国駅で貰ったのは硬券だったけど、ここに貼り付けられているものは全て軟券。ピンク色の紙の切符だ。
「こんなにいっぱい切符貼り付けてあるって。ここに来た人多いんだねぇ。」
「全部レプリカらしいよ。」
「さすがに本物貼り付けてたら、盗んでく人いそうだもんねぇ・・・。」
「・・・。」
やる人がいるって言うのが残念なんだけどな。
木造の駅舎を出て、その前にある売店で幸福→愛国行きの乗車券を買っておく。そうしたら再び幸福駅に戻る。駅舎からホームまでの間に幸福の鐘というものが置かれている。
「ナガシィ。これ突いてこうよ。」
「別にいいだろ。これからも幸福なんだろ。幸福なんだから突く必要ないじゃないか。」
「私はナガシィと一緒に突きたいなぁ・・・。」
「・・・どうしても。」
「うん。」
その笑顔は反則だろ・・・。まぁ、いっか。
「今回だけだからな。」
「フフ。ありがとう。」
幸福→広尾線→帯広
幸福→愛国行きの乗車券使用開始ないし使用終了
枕崎→広尾間の最長往復切符復路愛国駅出発に伴い使用再開
枕崎→広尾間の最長往復切符復路帯広駅で途中下車
僕達は帯広で一旦降りた。今日は最長往復切符を使ってこの先に行くつもりはない。帯広で豚丼でも食べて、士幌線の列車に乗っていこうか。そんなことを萌と話した。僕達が帯広駅に戻ってくると、早速士幌線の切符を買い帯広から北にある糠平へと向かった。そこで一泊するのだ。
帯広→士幌線→糠平
帯広→糠平間の乗車券使用開始ないし使用終了
一口メモ
国鉄広尾線幸福駅
広尾線にある愛国駅と双璧をなす駅。この地域は元々「幸震」と呼ばれていた地域だったが、福井からの入植者が多かったこともあり「幸福」へと改められた。周囲には数軒の人家を数えるのみで列車での到達は時間などで大きく左右される。




