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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(往路) 北海道
121/270

7900T列車 逃げるが勝ち

皇紀2745年4月20日(第58日目) 国鉄(こくてつ)石北本線(せきほくほんせん)遠軽(えんがる)駅。

 瞰望岩から遠軽(えんがる)の街を見下ろす。鉄道線は遠軽(えんがる)駅に向かってY字状に集まってくる。こちらは石北本線(せきほくほんせん)で左にそれていくのが網走(あばしり)方面、右にそれていくのは旭川(あさひかわ)方面である。

「それにしてもここ柵とかないから怖いよねぇ。」

「ある意味、これが一番の危険防止かもしれないな。これで度胸試ししようっていうのは本物のバカだと思うし。」

 瞰望岩は本当にただの岩である。高さは78メートルもあり、岩の淵には柵なんてものはない。あすこからの落下は死を意味する。生物の生存本能にかけた唯一の対抗手段と言えるかもしれない。

 駅の方向を見てみると奥に向かって真っすぐ線路が伸びている。あれは名寄(なよろ)からここまで伸びてきた名寄本線(なよろほんせん)だ。終点はここ遠軽(えんがる)である。当然、あの線路を進んでいけば少し前に立ち寄った中湧別(なかゆうべつ)駅がある。今まで何度もとおってきた道であるが、短絡できるのに短絡しないのはとても馬鹿げていると今でさえ感じている。

「そろそろ「オホーツク」が来るんじゃない。」

「ああ。それはもうちょっと大丈夫。」

名寄本線(なよろほんせん)からキハ40形が走ってくる。それが3番線に入る。そろそろいかないとまずいかな。

「早いところ行っこうか。」

「えーっ。ねぇ、どっち。さっきはもうちょっと大丈夫って言ったのに。」

「ああ、さっきのなしで。」

「えー、何それ。まぁ、いいや。行くなら行こう。」

「アハハ・・・。ごめん。」

 遠軽(えんがる)駅に行ったところで各地から特急列車が集まってくる。まず、網走(あばしり)方面から特急「オホーツク」、次に中湧別(なかゆうべつ)方面から特急「サロマ」が1番線に、その間に旭川(あさひかわ)方面から「サロマ」、「オホーツク」が2番線に入線する。僕たちは1番線に入った特急「オホーツク」に乗り込んだ。

 「オホーツク」はここから「サロマ」と併結し、札幌(さっぽろ)を目指す。

遠軽(えんがる)石北本線(せきほくほんせん)特急「オホーツク」→旭川(あさひかわ)

 「オホーツク」は丸瀬布(まるせっぷ)白滝(しらたき)と停車して峠越えにかかる。最も遅く開業した札幌(さっぽろ)網走(あばしり)間を結ぶ路線。キハ183系に積まれたエンジンもうなりを上げて、車体を押し上げていく。

 外に目をやると辺りは雪に閉ざされていった。このあたりもまだ春は遠いらしい。

「こんなところに鉄道通そうって昔の人は良く思ったよね。」

「本当だよ。ましてここはねぇ・・・。」

「ところでナガシィ。」

「んっ・・・。」

「さっきの普通列車で止まったトンネルってまさかとは思うけど。」

これはいったいどういう逃げ方が最善だろうか・・・。だが、黙っていても萌はすぐに答えにたどり着くだろう。考えている時間は僕にはない・・・。

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路旭川(あさひかわ)駅で途中下車


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