7892T列車 買い物
皇紀2745年4月16日(第54日目) 国鉄宗谷本線音威子府駅。
南稚内→天北線・宗谷本線→名寄
「まもなく、音威子府です。運賃・切符は駅係員までお渡しください。」
とのアナウンスが車内に流れる。そろそろお腹も減ってくる。そんなときに音威子府に到着するのだ。こういう機会は生かしたい。
「お蕎麦食べる。」
「当然。」
音威子府駅に到着するとぼく達はいったん普通列車から降りた。乗っている普通列車はここで稚内行きの急行列車を待ち合わせてから出発する。それまでの時間は20分。蕎麦を食べて戻ってくるだけの時間は十分ある。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路音威子府駅で途中下車
改札口をでてすぐの所にお蕎麦屋さんがある。そこでお蕎麦を頼んでみる。出てきた蕎麦の麺はかなり黒い。他の所と違って蕎麦の種か何かが入っているかららしい。
「あっ、美味しい。」
「うん。これは進む。」
「どうする。これ、もういっぱい買ってく。」
「いいねぇ。そうしよう。」
ささっと蕎麦を口の中にかきこみ、もういっぱいお蕎麦を買って列車の中に持ち込む。
音威子府には天北線に直通する急行「天北」が来ていた。青い客車を連ねているのはさながらブルートレインのようだ。
南稚内→天北線・宗谷本線→名寄
キハ54形がエンジンを吹かし、音威子府駅を出発する。車窓を見ながら、食べる蕎麦はまた格別だ。こういう風景があちらでは失われてしまっているのは悔やまれる。
音威子府から、さらに1時間キハ54形にゆられ、名寄駅に到着。ここまで天北線の普通列車を乗り通したものは僕達以外いなかった。
ここからは名寄本線の列車に乗り換え。しかし、名寄本線の列車はしばらく無いため名寄で途中下車することにした。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路名寄駅で途中下車
「ナガシィ。ちょっと買い出ししていきたいから。」
「買い出し。ここで何買うの。」
「・・・これからの旅で必要なもの。何かあるでしょ。」
「・・・別に・・・。」
「「別に」って言って後であれ買っとけば良かったとか言うんでしょ。分かってるんだから。」
あっ、はい・・・。
と言うわけで名寄駅前から近くのイオンまで行くシャトルバスに乗って、萌の言う買い出しをする。それをすると上手いこと時間が潰れ、駅に戻ってくるなり名寄本線の列車に乗り込んだ。
乗った特急「スーパー紋別」はエンジンを吹かし、名寄を出発。宗谷本線と別れ、市街を通り抜ける。すると辺りは原野となった。北海道って言うのはこういう自然を切り開いたと言うことを嫌でも思い知らされる。
下川を出ると峠越えに入り、車窓はにわかに雪が深くなった。この辺りにはまだ春さえ訪れていないらしい。
「ここはまだこんなに雪が・・・。」
「大変だよなぁ・・・。この辺りに住んでいる人って。」
「住んでるのかな、人。」
「一応ね・・・。」
「一応ねぇ・・・。」
「そう、一応。」
やがて、雪ともお別れし興部に入った。この列車で紋別まで行ってもよかったが、今日は興部で終えることにした。さすがに列車に長く乗ったことが堪えたらしい。
名寄→名寄本線特急「スーパー紋別」→興部
枕崎→広尾間の最長往復切符往路興部駅で途中下車
一口メモ
特急「スーパー紋別」
札幌~紋別間を運行する特急列車。興部などへの最速達便として機能している。




