7888T列車 栄える北海道貨物
皇紀2745年4月14日(第52日目) 国鉄室蘭本線沼ノ端駅。
ED75形2両連なりが大量のコンテナ貨車を引いて走って行く。向こうでは北海道にED75形はいなかったが、こちらでは電気機関車がいる。それだけ函館本線・室蘭本線の重要度が高いことを示している。
「こういう光景を見ると面白いよねぇ。」
「私にはよく分かんない。」
「あっ、そう・・・。」
「フフフ。」
今度は光速で789系とキハ261系が駆け抜けていった。「北斗」と掲げているため、あのまま函館まで走って行くのだろう。
「あれだけ重要度が高いのに、北海道新幹線がいらないって言う人の気が知れないわね。」
「ハハハ・・・。東海道新幹線の成功認めたくないのかな・・・。」
沼ノ端→室蘭本線→岩見沢
沼ノ端から乗った列車はディーゼルカーだった。上が電化されているにもかかわらずディーゼルカーが通るというのはコスト削減の面からよくある事例でもある。少々不思議な気もする。
千歳線の下をくぐって、室蘭本線は分かれていく。
ディーゼルカーの座席に腰掛け、外の景色を見ていると時たま貨物列車がその視界を遮ってくる。赤い電気機関車の次に黒い貨車が何両も連なっている。いくつ繋いでいたのかは数えなかったが、かなり多い。
「あれって何かな。」
「さぁ、石炭貨物じゃない。」
僕は適当に答えた。室蘭本線の沼ノ端~岩見沢間沿線は炭鉱が多い。夕張市を筆頭に万字炭鉱と名だたる炭鉱が広がっている。それら全てが室蘭本線に集中してくる。追分、栗山、岩見沢では石炭を満載した貨車を見ることが出来るだろう。
追分駅に到着すると僕たちの乗っているディーゼルカーが小さくなった気分になる。大きい構内に大量の貨車が並んでいる。その内半分くらいは空っぽのようだが、もう半分にはあふれんばかりの石炭が載っている。
「こんなに沢山貨車が止まってるなんて。」
「夕張炭鉱栄えてるんだな。」
「・・・夕張ってもう石炭取ってないんじゃ。」
「筑豊炭田の辺りで沢山貨物積んでたし、これくらい普通じゃないか。」
僕はそう返す。ただ、これだけの石炭一体どこで使ってるんだ・・・。いくら軍隊でもこんなに入らないだろうし・・・。それだけは疑問だ。
追分を過ぎ、栗山駅で夕張鉄道の線路と合流。さらに北に進んで志文駅で万字線と合流する。志文駅を出発し、少しは知ると列車は街の外輪をなぞるように走り、左側から函館本線が合流する。大きい駅が前に見えると岩見沢に滑り込んだ。岩見沢駅でもED75形が右へ、左へ忙しく動いている。僕たちはそれを横目に函館本線の特急列車に乗り換えた。萌黄色の789系特急「ライラック」の次位に留萌行きのキハ261系特急「スーパーオロロン」が連結される珍妙な列車だった。
岩見沢→函館本線・留萌本線特急「スーパーオロロン」→留萌
列車は岩見沢を出ると時速130キロで爽快に飛ばした。キハ261系はエンジンを吹かし、電車に一生懸命食いついていた。
深川駅に到着するとここまで一緒に走ってきた特急「ライラック」と別れ、「スーパーオロロン」は進行方向を変えて、留萌を目指す。
列車が留萌に到着する頃、辺りはだんだんと暗くなり始めていた。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路留萌駅で途中下車
一口メモ
室蘭本線
函館本線長万部~函館本線岩見沢間を結ぶ幹線。途中東室蘭~室蘭間に支線を持つ。この路線は函館~札幌間の重要路線として位置づけられる長万部~沼ノ端間と沿線に炭鉱が点在する沼ノ端~岩見沢間に分かれる。重要度の高い路線であることから交流20kV全線複線電化されている。
特急「ライラック」
札幌~旭川間を結ぶ特急列車。途中駅、または終点の旭川までディーゼルカーを従えて走ることがある。
特急「スーパーオロロン」
札幌~留萌・羽幌・幌延・稚内間を留萌本線・羽幌線経由で運行する特急列車。途中深川駅まで特急「ライラック」と併結する。