7886T列車 到達困難張碓
皇紀2745年4月13日(第51日目) 国鉄函館本線小樽駅。
上野駅みたいな駅舎を降りる。こちらは函館本線小樽駅。北海道開拓はここを拠点に拡大していった。ここで降りるのは当然かな。小樽の街に繰り出すと街の真ん中くらいの所に踏切があった。しかし、遮断棒などはなく、この踏切が既に役割を終えているのが分かる。
「手宮線。」
案内看板を見て、萌がつぶやく。
「こんな所に鉄道が通って他のね。」
「北海道は小樽が開拓の拠点だった時期が長いからなぁ・・・。手宮線はその時を同じくらいに出来たやつだし。」
と付け加える。
「へぇ・・・。でももう使ってないみたいだけど。」
「まぁ、貨物列車は大体函館に行くからね。小樽から船に乗っけるよりもそっち行ったほうが速いからね。」
「ああ、それはねぇ・・・。」
手宮線は国鉄として復活の見込みはないが、残っている設備などを活用して欲しいという声があるとかないとか聞いたことがあるけど、実際の所どうなのだろう。
手宮線の廃線跡からさらに下におり、運河を見る。ここは観光客でいっぱいだ。夜に来たらこの辺りの風景は美しくなるのだろうが、僕たちにはその時間がない。小樽駅に戻って函館本線の列車に乗る。
小樽→函館本線快速「エアポート」→札幌
小樽を出発すると函館本線は海岸線に沿って走る。左の車窓には常に石狩湾が広がっている。その波は白波が目立ちとても荒々しい。僕が想像する北の海がそこに広がっていた。
右を崖、左を海に挟まれながら、走っていると列車は不意に「ポーッ。」と汽笛を晴らした。前を見てみると岸壁みたいな所に人が一人立っていた。
(当たりそう・・・。)
そんなことを思う暇もなく列車はその人のすぐ脇を猛スピードで通り過ぎる。さっきの人は生きた心地がしまい。
「今の人って何して他のかな。」
「さぁ・・・。仮に撮り鉄とかならああいう危ないところにいるのはよした方がいいと思うんだけどねぇ・・・。」
「・・・。」
石狩湾が左へ逸れていくと銭函の街へと滑り込む。列車はスピードを緩めることなく銭函を通過。ここから先沿線には発達した街が見えてくるようになる。
列車は手稲に停車。乗降が済むとすぐにドアを閉め、琴似に停車。琴似を出発し、進行方向右側に建設中の高架橋を見るようになると列車は北海道随一の都市札幌へと滑り込む。「エアポート」に乗っていた人たちも大半がここで下車した。僕たちもその人波に合せて列車から降りる。
今日はこの辺りで終わりにしとこうか。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路札幌駅で途中下車
一口メモ
函館本線張碓駅
北海道小樽市にある鉄道駅。集落、娯楽施設はなく辺りは左を石狩湾、右を断崖に取り囲まれており、徒歩での到達は困難を極める。停車する列車もない他、安全確保も難しいことから、無闇な立ち入りそのものが憚られている。




