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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(往路) 北海道
106/270

7885T列車 山線経由

皇紀2745年4月13日(第51日目) 国鉄(こくてつ)胆振線(いぶりせん)壮瞥(そうべつ)駅。

 壮瞥(そうべつ)の漢字を見るととても一発で覚えられるものじゃないと感じる。北海道から千島、樺太にかけて使用されているものは大体が当て字。漢字からは想像も付かない読み方をするのは一般的とさえ言える。これはまだ想像できるだけマシなのかもしれない・・・。

 この町は洞爺湖の近くにある。温泉地もあり観光の拠点ともなるところだ。実際、僕たちを含め観光客は少なからずいる。しかし、ほぼその地位は洞爺に譲っているらしい。ここに来る列車もそれを物語っているようだ。ホームには1両伊達紋別(だてもんべつ)行きのディーゼルカーが止まっている。そちらからやって来るディーゼルカーを待っているのだろう。

壮瞥(そうべつ)胆振線(いぶりせん)倶知安(くっちゃん)

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路壮瞥(そうべつ)駅から使用再開

 列車は壮瞥(そうべつ)駅を出ると果樹園を眺めながら街を抜ける。ふと萌が持っているパンフレットが気になった。

壮瞥(そうべつ)って雪合戦の国際大会が開催されるんだって。今年も開催決定って書いてあるよ。」

「雪合戦の世界大会ねぇ・・・。」

まぁ、枕投げの公式大会もあるくらいだ。今更、たかが雪合戦とバカに出来るようなものでもあるまい。

 山へ分け入り、再び山が開けたと思うと喜茂別に停車する。しかし、喜茂別の駅は街から少々離れた位置にある。

「鉄道って嫌われてるのかな。」

とのつぶやきに、

「得体の知れないものは人間怖いものさ。」

と語った。鉄道の敷設は政治家や地形だけに左右されただけじゃない。そこに住んでいる住民にも忌み嫌われれば通らないものだ。まぁ、ここは果たしてそうなのか。その答えを知る術はない。

 雲に隠れた羊蹄山を眺めながら、列車は倶知安(くっちゃん)に停車。ここから函館本線(はこだてほんせん)に乗り換える。ちょうど接続がいい小樽(おたる)行きの普通列車に乗り換える。

倶知安(くっちゃん)函館本線(はこだてほんせん)余市(よいち)

 小沢(こざわ)駅で岩内線(いわないせん)と別れ、さらに普通列車は函館(はこだて)行きの特急「北海」を待つ。それにしても変ね連結をしているものだ。前方に789系という電車。後方にキハ261系という気動車が連なっている。

「変な連結やってるなぁ・・・。」

「あんなことって出来るの。」

「一応、キハ261系は電車並の性能持ってるからなぁ。重荷あの為にだけど。」

というか、789系が走ってるってことは通称山線と呼ばれる函館本線(はこだてほんせん)倶知安(くっちゃん)経由も電化されているんだな。

 僕たちは途中の余市(よいち)駅で降りた。

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路余市(よいち)駅で途中下車

 余市(よいち)というのはウィスキーの産地でもある。辺りはリンゴなどの果樹園が広がっており、分かりやすい。せっかく余市(よいち)で降りたことだし、ニッカウィスキーの蒸留場でも見ていこう。

「ナガシィはアルコールダメだし、リンゴジュースでいいよね。」

そう言ってから、萌がコップ1杯リンゴジュースを持ってくる。

「リンゴって言うと青森(あおもり)県のイメージだけどなぁ。」

そう言いながら、一口飲んでみる。

「あっ、美味しい。」

「気に入った。」

「これは何杯でも飲めるね。」

「あんまり飲み過ぎてトイレ行きたくならないようにね。」

「それは萌にも言えることでしょ。」

「フフ、私はいいの。」

そう言い、萌はワインをあおる。

「呑みすぎるなよ。」

「私は梓とは違うんです。」

「・・・。」

まぁ、そうだな。梓とはねぇ。

 もう一度リンゴジュースのためだけによってみるか。そんな考えも頭をよぎった。

余市(よいち)函館本線(はこだてほんせん)小樽(おたる)

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路小樽(おたる)駅で途中下車


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