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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(往路) 東北
103/270

7882T列車 上野発の夜行列車降りたときから

皇紀2745年4月12日(第50日目) 国鉄(こくてつ)東北本線(とうほくほんせん)好摩(こうま)駅。

浜松(はままつ)→東海道新幹線「ひかり」→東京(とうきょう)

東京(とうきょう)東北本線(とうほくほんせん)(山手線)→上野(うえの)

上野(うえの)常磐線(じょうばんせん)東北本線(とうほくほんせん)寝台特急「ゆうづる」→青森(あおもり)

好摩(こうま)浜松(はままつ)間の乗車券復路浜松(はままつ)駅より使用開始ないし好摩(こうま)駅通過に伴い使用終了

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路好摩(こうま)駅通過に伴い使用再開

 周りの景色がだんだんと色づき始めている頃、寝台特急「ゆうづる」は好摩(こうま)駅を高速で通過する。僕はそれをじっと見ていた。これで再び最長往復切符のルートに復帰する。

好摩(こうま)通過。」

とつぶやいたところで下から萌が顔を出した。

「ああ、後は青森(あおもり)までひとっ飛びだよ。」

寝台列車から連絡船に乗り北海道に渡る。このルートは昔の人が辿った道だ。僕たちは青函トンネルが開通しているときしか知らない。僕たちの心はとてもドキドキしている。

「ふあぁ・・・。」

「あっ、美萌ちゃん起きた。」

ゴツッと音がすると頭を押さえて美萌が顔を出した。寝台に頭ぶつけたんだな。

「イタタ・・・。これ天井低すぎじゃない。」

「そりゃね。」

僕でも窮屈だと思うからなぁ・・・。3段寝台はただでさえス立野スペースが限られる電車内に作られている。頭をぶたないようにするにはそれなりに工夫する必要があろう。もちろん、起きてそのまま起き上がるなど自分からぶつかりに行っているのと変わらない。

「萌ちゃん達はこういう所でいつも生活しているわけ。」

「別に生活はしてないけど・・・。」

「何日も旅行にでてて、生活してないって言う。私からしてみれば、十分生活よ。」

「ハハハ。」

それは笑ってごまかすしかあるまい。

 美萌が付いてきたのは、萌から理由を聞いている。ちょっと憂さ晴らしをしたいらしい。僕がそれ以上聞こうとすると萌に止められたため、ここからは超えちゃ行けないラインなんだと思うことにした。

「夜通し電車に乗れるって言うのは凄いわね。夜行バスとか乗ったことあるけど、あれとは大違い。人間横になれるのは大事なのね。これだけで思い知らされた気がするわ。」

と美萌が言う。

「ようこそ。鉄道沼へ。」

「勝手に招待するなよ、萌。」

「フフフ。ゴメン。」

 盛岡を出発した「ゆうづる」は八戸に停車。短い停車時間を挟んで出発すると今度は車掌が車内を回って「連絡船乗船整理券」を配り始める。寝台から見ている限り、かなりの人数がその整理券を貰っている。

「何か同じ日本国内に行くって言うのに・・・。パスポートみたいね。」

と萌がつぶやく。美萌はそれを物珍しく見ていた。

「北海道行くのは初めて。」

「ええ。でも、北海道に行くこと自体以外で行くっていうのは初めてよ。」

「あっ、そうなんだ。

「二人とも北海道にはよく渡ってるんでしょ。どう北海道に渡るって言うのは。」」

「ううん。」

萌はちょっと考えてから、

「イベントかな。」

と言った。

「イベント・・・イベントねぇ・・・。北海道ってそんなたいそうな場所。」

「あすこは日本語の通じる外国だよ。」

 寝台特急「ゆうづる」が青森(あおもり)に着く頃、車内はにわかに騒がしくなった。青函連絡船。トンネルの無いこの世界には実に4時間にわたる船旅が待ち構えている。

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路青森(あおもり)駅で途中下車


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