白兎
兎が出てきました!
兎って目はつぶらだしふわふわもっふもふで最高ですよね...!!
【追記】4話を書くにあたり少し食い違いが生じてしまったので、3話の兎の話を修正致しました。
一応4話冒頭にも記しております。
...え?兎?
私は綺麗に二度見した。
そして目を擦った。
頬をつねった。
しかし、目の前の白兎は変わらず、きょとんとした可愛らしい顔をこちらへ向けている。
「か、か......かあわいい!!!!!!!」
私は森に来て初めての声を出した。
これが第一声。我ながら呆れる。
と、そう思うものの、綻んだ顔は治りそうにない。
人は第一印象で決まると言うが、あのもふもふした白兎からして私の第一印象は、ずばり。
【変人】だろう。
...まあ、こんなことを気にする性格だから、こんな所にいるのかもしれないけれど。
思い出してシュンとなっていると、見兼ねたような様子で向こうから声をかけてくれた。
「あの、大丈夫ですか?」
「ひゃああ、兎が喋ったああ!!!」
腰抜かすかと思ったじゃないか。
高くも低くもない、中性的な声。でも多分男の人(兎?)。見た目は真っ白な白兎で、身体にはナビゲーターのような服を着ている。
コスプレというか、あれだ、こどもがぬいぐるみに着せる服...って感じがする。
靴は履いていないけど、ピンと立った耳と耳の間に小さな西洋風の帽子を被っている。
優しいのはとても嬉しいけど、まったく。
ほんとにびっくりした...。
それはそうと、この世界は兎も喋れるんだなあ。
...ん?私何か変なこと言ったかな?
...まあ、だが、せっかく大丈夫かと問われたのに答えない訳にはいくまい。
それに、きっとなぜこの森に来たのか不思議に思っている筈だ。
「うぅ...えっとね...」
「別に言いにくそうでしたら無理に言わなくても全然」
「いやそういう訳には」
なんかこの兎には世話になりそうな気がするんだよな。
「なんか、嫌になっちゃって。
他人を見るのも注意をするのも、変な正義を持ってる自分にも。色々と、ちょっと疲れちゃったみたいで。
家を飛び出して一目散に走っていたら、いつの間にかここにいたんです。急に森に飛び込んできてごめんなさい。」
「いえいえ、謝らないでください。寧ろ言ってくださればいつでも歓迎致しましたのに。」
え、何その宴会承りますみたいなノリ。
てか言ってくれたらって、私は森とコミュニケーション取れる設定なのか...?
「また来る際はぜひ私にお申し付けを!
ぜひご馳走をご用意致しますので!」
少しドヤ顔で兎が言う。可愛いな。
でも納得した。この兎に言えば言いのか。
やっぱそうだよな。じゃないとコミュニケーション取れないもんな。
「そんな、とんでもないです!あの、失礼なのは承知の上なのですが、寝れそうなところ、もとい身体の上にかけるもの...って何かございませんか?」
「あるにはあるんですけど...」
「けど...??とは、」
私はごくりと息を飲んだ。
なんだろ、めっちゃミニマムとか?だったら困るな。
でも、人間の私を歓迎するって言ってたんだからそれはちょっとおかしいよな。
「実は...お恥ずかしながら、私が小さいばかりに一人では持ってこれないのでありまして。」
確かに無理そう。じゃあしょうがない。
せめてあの兎でも抱いて寝るか...
そう思っていると、兎がふと思いついたように言った。
「私は運んでくることはできませんが、貴方様を案内することはできます。お腹も空いていらっしゃることでしょう。食べ物もたっぷりご用意しております。良ければ貴方様のお住み頂ける場所を紹介致しますよ」
超助かる!めっちゃ気ぃ利く!!
言われてみて気づいたが、確かにお腹が空いている。
腹が減っては戦はできぬ、腹が減っては考え事もできぬ。
それに、向こうで何か、私の考えを変えてくれることができるかもしれない。
...そうやって半ば無理矢理自分を納得させ、兎について行くことに決めた。
今回もお読み頂き感謝、感激です!!
兎の巣。どんなところなんでしょう?
おそらく皆さんが考えるものと大きく変わって来ないと思います。おそらく。
次回も楽しみにして頂けると幸いです〜