59話 行き先変更
俺と罪花は、屋台など見ながら、ゆっくりとサクヤに案内されながら貴族街の門に着いた。
貴族門には鎧を着た兵士が数人いた。
(前は隠密を使い、特に周りを見ずに素通りしたが……今回は堂々と入るんだよな……)
『入る場合は兵士に話しかけてください。』
俺はサクヤにそう言われ
「すみません。」
と一人の若めの兵士に声をかけた。
罪花は俺の後ろに付いてくる。
「はい、どうかしましたか?」
「貴族街に行きたいのですが……良いでしょうか?」
そう俺は兵士に訪ねた。
「はい、構いませんよ、行く理由と交通費と身分証明書をお見せ下さい。」
と言われた。
「はい、分かりました。今回は二人で貴族街のカフェに行く為に来ました。交通費はこれと……はい、身分証明書です。」
と俺は金貨一枚と身分証明書を渡した。
それを兵士は受け取り確認した。
「はい、分かりました。では身分証明書はお返しします。……ではそちらのお嬢さんの身分証明書もお願いします。」
と兵士は俺に身分証明書を返し
次は罪花に話しかけた。
「はい……あっ」
と罪花は何かに気づいた様な声を出した。
「すみません……持っていません……」
と罪花はしゅんとした。
「えっ」
俺はその事に驚いてしまった。
おかしい……身分証明書の説明は門であった筈だが……持ってなかったのか……
「おや、それは困りましたね……それだと貴族街に入れませんね……それに、どうして持ってないのでしょうか?街に入る時に説明があったり、産まれた時、孤児でも仕事をする時に普通は作る物なのですが……?」
と兵士は言ってきた。
確かにそうだな……身分証明書無しでどうやって王都に入ったんだ?
……いや、待てよ……そもそも堕天使のステータスの時にどうやってステータスを見せて門番に説明したんだ?言われてみたら謎だ……まさか知らずに入ってきたのか……?だとするとかなり不味いな……
そんな事を俺が考えていると
「門番の人が……お金を払っただけで通してくれた……人が多くてイラついてる感じで……身分証明書の説明も何も無かった……」
と罪花はしゅんとしながらそう言った。
兵士は少し考え……
「少々お待ちください。」
と門を離れていった。
そして何やら水晶玉の様な物を持ってきて、罪花に話しかけた。
「では、もう一度聞きます。どうして身分証明書を持ってないのですか?」
「門番の人が……お金を払っただけで通してくれた……人が多くてイラついてる感じで……身分証明書の説明も何も無かった……」
そう言うと水晶玉は青色になった。
それを見て兵士の人はさらに考え。
「……なるほど……こちら側の不手際で申し訳ありません。その兵士は見つけ次第処罰をします。何か特徴など覚えていませんか?」
と言ってきた。
そう言われると罪花は兵士の人に特徴を伝え始めた。
あの水晶玉は何だったんだろう?
『嘘を見つける魔道具です。とても高価な物なのですが、貴族街に入る人を調べる為などに使われております。』
(そんな物もあるのか……)
『まぁ、貴族街ですので、少女でも怪しい人物は入れられませんので、仕方ありませんよ』
そんな事をサクヤと話していると。
「はい、分かりました。ありがとうございます。では、これから冒険者ギルドで身分証明書を作りに行くと良いでしょう、お金はお返ししますので、身分証明書を作ってからまた来てください。冒険者ギルドの場所は分かりますか?」
と兵士の人が金貨を返してくれた。
『場所は私が案内しますので、大丈夫です。』
「あー……場所は分かっています。ありがとうございました。」
「ありがとうごさいます。」
と俺達は兵士にお礼をした。
「いえいえ、それではまた」
と兵士さんは笑顔で返してくれた。
俺達は貴族街の門から離れていった。
ある程度離れた所で罪花が
「白夜……ごめんなさい……」
と罪花はしゅんとしながら謝ってきた。
「いいよ、罪花は悪くないし、その兵士が悪いんだから……それにステータスを見られてたら捕まってたし、むしろ良かった事なんじゃないか?」
と俺は罪花を励ました。
まぁ、本当に仕方無いよな……俺も持ってると思って何も考えてなかったから悪かったな……
「さて、気にせずに冒険者ギルドに行くぞ、付いてこい」
と俺は罪花に言った。
罪花は少しだけ元気になり
「分かったわ……行きましょう」
俺達はサクヤに案内され冒険者ギルドに向かう事にした。
身分証明書、罪花ちゃん持ってなかった……本当に自分何考えてんだ……




