56話 勇者とのやり取り
俺が勇者の部屋で待っていると扉が開かれ、パレードで見た勇者が部屋に入ってきた……どことなくやつれてる感じがする……
そして俺を見ると何か言おうとしてきた……叫ばれたらまずいな……そう思い俺は勇者が喋るより先に
「魔王を倒したいカ?強くなりたいカ?」
と話した。
勇者は一瞬驚いたが口を閉じ……頷いた。
「……分かったヨ……君に強くなる取っておきの情報を売ってやる……ネ」
それを見て……俺は話を続けた。
叫ばれなくて良かった……
「ワタシは情報屋ムーン、宜しく……ネ……転生者の勇者くん」
と自己紹介と転生者と知っているという事を俺は言った……
今回は皆が知らない様な情報で驚かせ情報に信用させる作戦だ……
「……本当に魔王を倒せるんだよな?」
勇者は俺に問いかける。
あれ?突っ込まないんだな……
「おや?転生者って知ってるのには突っ込まないんだネ」
俺は少し驚いて聞いてしまった。
「別に俺は隠してないからな……隠せないし……」
「そうか……ネ」
……そうだった……ステータスの称号があるんだった
「うん、分かったヨ、これは別にいい……ネ、とりあえず話を進めようカ……強くなる方法に関して……ネ」
と俺は話を戻して話を続けた。
「まぁ、強くなる方法と言っても……ただのスキルの鍛え方……武器の使い方だけネ……ただ」
そう、俺は言った
すると勇者が話が終わる前に口を挟んできた。
「……それくらい城で習っている……何か特別な事かと思ったが残ね……」
「……ワタシは今回の魔王の情報も知ってるから……ネ、対策も立てられる……ヨ」
俺は勇者が言い終わる前に話をさらに遮り話を続けた。
「……本当……か?」
勇者が驚いていた。
「本当……ネ、あの魔王は空間魔法と無魔法を良く使い、ナイフが主な武器、魔王としての力は分身……性格は面白い事が好き……」
俺はジャックの情報を淡々と話していく……ジャック……すまんな……
「……ネ、今は持ってる情報はこれくらいかナ……」
俺は知っている情報を全て話した。
勇者はその情報を聞いて考えていた……知りすぎてて魔王の手先とか思われているのか?
「何故知っているかって考えてるよネ?」
勇者の口が少し動いた。
ビンゴっぽいな……
「それは秘密……ネ」
身元は開かせないんだけどね
「……」
「まぁ、ワタシを信じたら魔王は倒せる……ヨ」
そう言い魔王を倒したい奴だと勇者に思わせようとした。
「……」
勇者に凄く睨まれている……
「……もし、疑うなら……一度ワタシが言う様にしてみると良いネ……」
「……」
「剣を振る時は常に剣に魔力を込めて振って見る……ネ、そうしたらかなり早く強くなる……ヨ、昔の剣聖や勇者は無意識にやってた事の一つ……ネ……そうする事で技スキルを使う時、かなり楽になる……ネ」
と俺は売ろうとしてた情報の一つを勇者に教えた。
「分かった……それくらいなら試してみよう……」
と勇者は言う
「よろしい……ネ、信じてくれたらまた来る……ネ、情報料もその時に伝える……ネ」
「……金を取るのか?」
そう勇者が聞いてきた……最初に言えば良かった……インパクト与える為に言うのを忘れてた……
「……まぁ……ネ、でも今回は信用も無いことだし帰らせて貰うヨ」
勇者は暫く何かを考えていた……そして俺を見た……あっ……
「あぁ、言い忘れてた……ネ、ワタシの事は……他言無用……ネ」
と言う、今王様とか色々に聞かれると怪しい奴として指名手配されそうで怖いからな……
「あと、ワタシの見分け方はこの満月のペンダントと……合言葉……ネ……ワタシから行く時は“月の雫を持ってきた”情報を買いに来る場合は“月の雫を飲みに来た”……ネ……それじゃ……ネ」
次に来る時様に見分け方と合言葉も教えておいた。
これでもう言う事は無いだろう……もう本当に帰るか……一々隠し通路を使うのもあれだし……転移で帰るか……
「〈転移〉」
そう思い俺は転移で自分の宿屋の部屋に帰った。