54話 目標への一歩
俺は次の日も俺の部屋で罪花に魔法を教えていた。
「さて、今日も魔法を教える訳だが……」
「闇魔法か!」
と罪花は食い気味に話してきた。
昨日は罪花の闇魔法への意欲が高すぎて夜遅くまで付き合わされたな……
「いや、今日は偽造魔法を教える、これはステータスを隠す為の魔法だから絶対に覚えるように……昨日教えれなかった闇魔法はそれが終わってからだ」
そう言うと
「……そうか……ふっ、まぁ良い……早く偽造魔法とやらを覚えれば良いだけよ」
と罪花は少ししゅんとした後、気を取り直していた。
「……まぁ、すぐ覚えられるといいな、偽装魔法はな……」
『紙に文字を書き、その文字とは別の文字を思い浮かべて“フェイク”と詠唱してください。これは罪花さんだと106回ほどですね。』
「あー……紙に文字を書いて、その文字とは別の文字を思い浮かべてフェイクと唱えるんだ……これを100回ほど繰り返してくれ……あー紙のペンは……えっと……無いから出すか……」
俺はそう言い
「《出ろ 紙とシャーペン》」
と机の方に手を出しながら詠唱した。
すると机の上に紙とシャーペンが出てきた。
「……本当にその能力は便利ね」
罪花はそれを見てそう言う、最初はお米食べたいっとぼそっと呟いた罪花におにぎりを出してあげたっけなぁ……その時はかなり驚いてたよな……
「あぁ、俺も重宝してるよ……話を戻して、ちょっと待ってろ……」
俺は紙にシャーペンで自分の名前を書いた。
「これを使って偽装魔法を覚えててくれ。俺はそれまでちょっと考え事をするから……」
「分かったわ」
そう言うと罪花は紙を見ながら詠唱を始めた。
俺はベッドに寝転がった。
(……サクヤ、今日の夜、王城に行く予定だが……本当に行けるのか?)
『はい、行けます。地下水道のある一定のルートを通り、ある壁が隠し通路になっております。そこが王城の庭と繋がっています。そこから隠密を使いつつ、勇者の部屋で待ち伏せしましょう。』
(隠密って堂々と歩いているが本当に便利だな……貰って良かった……)
『そうですね……白夜様、良い事を思いつきました』
(……どうした?)
『今回は勇者に情報を売りに行きますよね、勇者を王との繋がりとして使いませんか?』
(……)
『勇者に信用して貰ってから、紹介などして貰えば王にも情報を売りに行ける可能性があります。白夜様の国すら動かせる情報屋と言う目標に近づけるかと……』
(……自分の罪悪感を拭う為だけに考えてたから……盲点だったな、ありがとう、サクヤ)
『いえ、役に立てたなら嬉しいです。』
そうして話していると
「白夜!何か紙に書いてある文字が変わったぞ!」
と言う罪花の声が聞こえた。
俺はベッドから立ち、机の上の紙を見た。
すると俺の名前が堕天使の文字に変わっていた。
『成功ですね、フェイクを覚えてますね。』
「偽装魔法を覚えたな」
「本当!これで闇魔法の練習をできるわね!」
と罪花は嬉しそうにしていた。
「そうだな……」
俺は昨日の事を思い出しながら罪花に返事した
(サクヤ、闇魔法一覧と覚え方を教えてくれ……)
『分かりました。白夜様』
そうして俺は昨日みたいに闇魔法を教えた……