47話 魔王騒動決着
『白夜様、今、ジャックが負けました。負けた振りです。』
俺が宿屋でジャックの事について待っているとサクヤからそう話しかけられた。
(そうか……魔王城を消すか……)
「〈混沌ノ消滅〉〈クリアアース〉」
俺はそう詠唱をして魔王城を消した。
『魔王城が消えました。お疲れ様です。』
(で……東の洞窟にジャックは居るのか)
『はい……勇者などは全員無事です。魔法使い部隊に数名程怪我人が出た程度です。勇者達が恐らく数日程跡地で休んで帰るみたいなので……それまで合うのは待ちましょう……』
(そうだな……これで魔王騒動は収まるだろうし……良かったな……)
『そうですね、白夜様』
そうして俺は数日間、宿屋で過ごした。
そして
『白夜様、勇者達が魔王城跡地から離れました。転移可能です。』
(そうか……転移して東の洞窟に行くか……)
「〈転移〉」
俺は魔王城跡地に転移した。
そしてサクヤに案内されなが数十分歩き待ち合わせにしてた東の洞窟に付いた。そこには無傷のジャックがジャグリングをしていた手を止め、俺に話しかけてきた。
「おや、お久しぶりですね。白夜様」
「あぁ、ジャック……無傷だったか……」
「はい、しかし、人間達の複雑そうな表情と言うものを見れて今回はとても良い暇潰しでした。ありがとうございます。」
「複雑そうな表情?……どんな感じで負けたんだ?」
「はい!聞きたいですか!!良いですよ!!まず、昔の魔王様の笑い方を真似て待機して挨拶を!そして白夜様から貰ったナイフと麻痺ナイフを無魔法で操り空中に浮かべました、そしてボールと丸い爆発の魔道具を混ぜナイフを落としている魔法部隊を壊滅状態に、そこで将軍を脅し勇者との一騎打ちをしました!勇者との戦いで胸踊る!と言う感じでしたが……力加減を間違えたのか気絶させちゃいまして……」
「あーまて……何百もの兵士相手に壊滅させて……勇者を気絶させた……?……勝ってるじゃないか……」
「まって下さい、まだ続きがあります。そこで私も困ってしまい、咄嗟に
“勇者にしては弱すぎますね……こんな軍と勇者の居る弱い国など攻める価値もありません……良かったですね、貴方達の弱さで国は救われましたよ、最弱の勇者さん達、今回は貴方達の弱さに免じて負けた事にしてあげましょう……ただ負けたからと言って私が死ぬとは言っていませんので……それでは、さようなら”
と言ってナイフなど魔法で回収して、空間魔法を使いこの洞窟に来ました、戻る時に見た兵士や将軍達の顔ときたら……傑作でしたよ!!」
「……」
(サクヤ……これが負けた振りだって……?圧勝じゃないか、しかもあんな台詞も言ってるし……)
『一応ジャックは負け宣言をして去っていますし……負けは負けですよ?』
(あぁ負け=死亡じゃないな……確かに……見落としてた……)
「どうしました?白夜様?」
ジャックが俺の顔を覗き込んでくる。
「いや、何でもない、お疲れ様、ジャック、これからお前を返す……」
「いえいえ、久しぶりに面白い物が見れましたし、私も満足しております。また、何かあったらお呼びください。」
とジャックはお辞儀をした。
「あぁ、分かったよ、ありがとうな〈クリア ジャック〉」
そう唱えるとジャックが光を放ちながら消えていった……
「まぁ、これで魔王騒動も収まるだろうし……大丈夫だろう」
俺は一人で洞窟の中呟いた。