39話 報酬と勧誘
俺は宿屋に戻りハルバード侯爵の屋敷に行く準備をした。
(今回は前話していた部屋にでも転移しようかな……門番とのやり取りは一々めんどくさいし……)
『あの部屋はハルバード侯爵の自室ですので夜に行けば確実ですよ。』
(そうか、ありがとう)
今回の変身は身長150cmくらいの男の子にしてみた。
(そう言えばこの服って変身する度に体格にピッタリになってる気がするんだが……)
『それは転生者の服です。ハルトル様がどんな人間の体格にでも合わせれる様に作った服ですので変身に対応してるのですよ。』
(そうだったんだ……夜まであと少しだし……サクヤ、丁度いい転移タイミングを教えてくれ、俺は少し夕飯を食べて休む)
『分かりました。』
そうして夕飯を食べしばらく休んでいると
『白夜様、今ハルバード侯爵の仕事が終わり部屋に戻っています。転移するのが宜しいかと』
(分かった……)
「〈転移〉」
そう言い俺は宿屋の自室からハルバード侯爵の自室に転移した。
そして部屋に付くや直ぐ、ハルバード侯爵が扉を開けて帰ってきた。
「お疲れ様……ネ」
と俺が声をかけたハルバード侯爵は驚いていた。
(あぁ、ハルバード侯爵の前では変身するのは初めてか)
「……情報屋ムーン……ネ、今日は報酬を貰いに来たヨ」
と俺は名乗った
「……どうやって、私の部屋に入った?」
とハルバード侯爵は気を引き締めて質問してきた。
「……秘密……ネ」
そう言うとハルバード侯爵は少し考えていたが
「さて、報酬の話に戻る……ネ、情報、正しかった……ロ?」
と話を戻した
「あ、あぁ……確かに当たっていた……感謝している……」
「それは良かったヨ……で、報酬はいくら払う……ネ?」
「……あぁ、そうだな……あれを放置してたら私の領地は餓死の死亡者が大量に出ただろう……情報量として5万リア……でどうだ?」
「そう……ネ」
と俺は少し悩んだ
(適正価格を知らない……高いのか安いのか……)
『適正価格より下ですが……侯爵に値段を決めさせると言いましたし、あまり欲張ると金目当てだと思われ煙たがられる可能性があります。それに私達はお金には困ってません』
とサクヤの助言が聞こえてきた
(ならこの額でいいか……)
「うん、それの額でいいヨ」
と俺は言った
「……そうか……少し待ってろ」
ハルバード侯爵は自室の金庫から五枚の白金貨を取り出し俺に渡し、俺は受け取りポケットに閉まった。
「それじゃ、またネ」
と俺は帰ろうとする。
「待ってくれ」
ハルバード侯爵に引き止められた。
「ん?どうした……ネ?」
と俺は振り返った
「……お前の情報収集方法もお前の身元も知らないが……お前のその能力を気に入った。俺の部下にならないか?侯爵家の部下だとそれなりの地位も手に入るぞ?」
と聞かれたが……俺の目的は地位じゃない……知る人ぞ知る情報屋になる事だ……
「断る……ネ、ワタシは何処にも仕えない……ネ」
「〈転移〉」
と俺は宿屋の自室に戻った。
『お疲れ様です。白夜様』
(ありがとうサクヤ…)
そう会話しながら俺は変身を解きフードとペンダントを収納魔法に仕舞った。
『……白夜様、侯爵家も今回の事件の犯人達を捕まえたりして忙しいですし、マリド伯爵は安定してきて特に問題はありません……次はどうします?』
(そうか……酒場のマスターの方はどうだ?)
『……まだ誰にも話して居ませんね……どうします?また別の貴族に情報を売って広めますか?』
(そうか……いや、今は様子見するかな……あー……やる事が無くなったな……他の人がムーンを広めるまでスキルでも鍛えているか?)
『そうですね……』
(一応……ハルバード侯爵に繋がりのある貴族とか調べておくのもありだな……)
『とりあえず動くまで私がマリド伯爵 マスター ハルバード侯爵を監視しています。』
(あぁ、ありがとうサクヤ。俺はもう寝る……おやすみ……)
『おやすみなさい。白夜様』
相談の後、俺はベッドに入り眠りについた。
情報屋って裏ではこんなに暇なんだな……
※万能スキルのせいです。
しかし侯爵と公爵間違えるというミスすごく恥ずかしいです……一応貴族に関して調べてましたが本当に申し訳ありませんでした。
報酬を変更しました。