114話 干支 一
その男子生徒は目は黒目で切れ長で肌は不自然な程に白く、肩まで長さのサラサラした黒い髪をしており、黒い学ランを着ていた、顔は整っててイケメンではあるが……何と言うかどこか怖い感じの雰囲気もある生徒だった
「お、おぉ、えっと……」
「はい、干支、干支ですよ」
「はは……そ、そうだな」
俺が突然声をかけられ困惑して出した声を
名前を呼ばれたかのように反応し、彼は俺をからかってくる……
そんな俺の様子を楽しそうに笑いながら見てると、俺の連れの二人の方を見ながら
「しかし、久しぶりですね、女の子二人も連れて……見てる感じ、転生者ですね、それも中学生ですかね?かなり強い……のと、かなり異質な方々の様で……」
「あぁ、まぁ、そうなんだよ」
俺は苦笑いしながら答える
その様子に二人は若干警戒した様子で干支を見る
「あぁ、そんな警戒しなくていいんだよ?悪いことはしないから……ね?」
干支は二人に警戒されてるのにも即座に気付きおどけたように言う
「うん、大丈夫、ほら、お兄さん怖くないよ?……ちょっと子供扱いしすぎてるかな……?まぁ、怖くないよ?」
と干支は作られた様な笑顔で二人の方を見ている
その笑顔でさらに二人は干支を警戒する
「……お兄さん、この人、大丈夫?」
「……あぁ、良い奴ではあるよ」
俺は警戒して思わず俺にそう聞いてきた叶にそう答える
……まぁ、良い奴でもあるし、全部本心ではあるんだが、何と言うか一々こいつは言動が怪しいし怖いんだよな
「そうそう、僕、この見た目で誤解されがちだけど、良い奴だよ?」
干支が俺の言葉を聞いて賛同している……まぁ、良い奴なんだよ
自分で言う事では無いとは思うが
「ところで、俺に声をかけてきたけど何の用だ?」
俺はこの流れを断ちきる為に干支が声をかけてきた要件を聞こうとする
「いえ、ただ単に久しぶりに顔を見れたので挨拶しに来ただけですが……そんなに何か重大な話を始めるような雰囲気でしたか?」
そう言うとケラケラと可笑しそうに干支は笑う
……雰囲気が雰囲気だから何か重大な事で声をかけられたと思ったが本当に挨拶だけだったっぽいな
「しかし、転生者何て連れて、まるで転生者を見つけたからとりあえずこの村を紹介しようとしてる感じで、どうしたんですか?」
「いや、まぁ、そんな感じだが……」
俺が少し黙っていると、干支は突然そんなことを言い出す。
干支は門でのやり取りは見てないはずだが……叶と罪花も困惑している……
だが、俺は村で結構な期間こいつと過ごしててこいつの事は分かっている
干支は何と言うか話し方が独特で状況を勝手に判断して自分の予想を先に話してくる、今回みたいに当たっている時もあれば、まぁ、外れてる時もあるんだが……
「そんな所だと思いましたよ、では、僕が案内しましょうか?何となくフラフラ歩いていただけなので、今、凄く暇なんですよ」
干支は予想が当たったのを嬉しがる事も無く、案内しようかと申し出てくる
「……いや、大丈夫だ」
「そうですか、まぁ、僕と居ると疲れそうですからね」
俺が断ると何か含みがあるような事を干支は言う
……まぁ、良い奴ではあるんだが、一緒に居ると結構疲れるんだよな
こいつは結構観察眼が鋭く、頭も良い方で、現実世界で居たらその独特なコミュニケーション以外は超人と言われる部類の人間だ
そんな人間とずっと一緒に居るといつ正体がバレるかとひやひやしていしまう……
まぁ、ボロを出しそうになるとサクヤがいつも止めてくれてたいたが……
「では、エアさん、"久しぶり"のこの村を楽しんでくださいね」
「あぁ、またな」
久しぶりに含みを持たせて干支は別れの言葉を告げて離れていく……俺は内心冷や汗を書きながら笑顔で別れを告げる
サクヤ曰く、サクヤに何度かボロを出すのを止められてはいるが、干支は既に俺が転生者じゃないかと疑い始めているらしい
これもあって本当に干支と居ると疲れるんだ
「……何だったのかしら」
「……私、あの人嫌い」
干支が離れた途端
干支が来てからほとんど黙っていた二人が声を出す。
「まぁ、良い奴なんだよ……うん、良い奴ではあるんだがな……」
俺も一応村での生活中、助けられたこともあったからフォローをしておく
そんなこんなで、村に入って早速疲れたが、俺達は村の観光を再開するのだった
干支君はコミュニケーション能力以外はかなり超人の部類です。
相手の事を全て察した風に話して先回りしたかの様に話す感じで 話してるとかなり疲れます。
コミュニケーション能力以外は優秀なので仕事を与えて置けば完璧にこなすと生徒会長になりました。