15話 情報屋ムーンの初仕事2
俺が座るとマスターが水を出してくれた
「ありがとネ……まず、本題から先……オマケは後ネ」
「あ……あぁ……娘の病気は……医者すら投げ出した病気で娘が寝込んでいる……体がとても痛がっていて……高熱も出ている……回復魔法も効かなかった……それを治す為に色々探してるんだが……何も手掛かりが無くて……まず病気の名前すら分からないんだ……」
「あぁ、娘さんの病気の名前も知らないのネ……これもオマケ……ネ、娘さんの病気じゃなくて魔力回路が炎症起こしてるだけネ、かなり珍しい状態だネ」
「魔力回路が……炎症……?」
「そうネ、人間が突然多大な量の魔力が増えた時、魔力回路が傷付き、そこが腫れて痛くなるネ、回復魔法が聞かないのは体の傷ではなく魔力の傷だからネ」
そう言った後、俺は水を一口飲んだ
「……魔力が増えた弊害でそうなったと」
「そうネ、だからこの炎症が治ったら娘さんかなりの魔力量になるヨ、良かったネ」
「……」
「だから魔力回路を癒やす薬が必要だネ 材料は比較的簡単に手に入るネ 作り方も簡単で拍子抜けする……ネ」
「ちょっと待ってくれ……マスター!メモとペンを貸してくれ!」
「分かりました……どうぞ」
マスターが紙とペンを机の下から取り出しマリド伯爵に渡した
「いいぞ、続けてくれ」
「あいヨ……まず薬の材料だ……これは比較的楽に手に入るヨ まぁ、即効性は無く炎症をジワジワ治していく薬だからネ イチゴ ハチミツ 魔力水 魔力草 治したい人の魔力と体液……ネ」
「……本当にそんなのでいいのか?」
「それでいいんだヨ、比較的楽って言っただロ?」
「……ぁ……あぁ……続けてくれ」
「はいはい、次に作り方だがまず
1.鍋に魔力水を入れ火を使い沸騰させる。
2.沸騰した魔力水にイチゴとハチミツと魔力草を入れ 棒で潰す。
3.それを十五分ほど煮詰め薬を飲ませる人に魔力を送ってもらう
4.最後に薬を飲ませる人の体液を入れ十分煮詰める。」
「魔力草や体液以外普通に料理みたいだな……」
「普通に料理みたいだけど……これが一番魔力回路炎症に効く薬ネ……ただ即効性は無いからネ、そうネ……二週間程続けて飲ませてやるといいネ、嘘だと思うなら試してからお金を払うのでもいいヨ?二週間後、ワタシはまたここに来るヨ」
「あぁ……試してみよう……」
「次にオマケの情報ネ……奥さん……リーシャさんは貴方と結婚して三年くらいの時から執事のリール君と浮気してるネ……今日早めに帰って奥さんの部屋に行くといいネ……証拠が見れるヨ……」
「っ……わかった……マスター私は帰る……」
「あぁ、分かった……」
「じゃあ、ワタシも帰るネ……」
そう言い俺は席を立って扉に向かった。
「あぁ、言い忘れてたネ」
そうして二人に向き直る。
「ワタシには普段合言葉があるネ……今回は初回限定で無かったが……私が情報を掴んで売りに行く時は「月の雫を持ってきた」貴方達が買いに来る時は「月の雫を飲みに来た」ネ、そしてくれぐれもワタシの事を信用出来ない人に広めないで欲しい…ネ、広めたら……貴方達の秘密をばら蒔くヨ」
ニヤリと笑って店から出た。
そう言い俺は店の路地裏に入り転移を使い宿屋の部屋に戻った
変身を解き黒フードをカバンに入れベッドに倒れこんだ。
『お疲れ様です。……白夜様の先輩変わり者だったのですね。』
(あぁ、変わり者だがいい先輩だったよ……しかし今回はちゃんと成功したんだろうか……ここの貴族と酒場のマスターからじわじわと広めていって貰う作戦だが……)
『大丈夫ですよ、白夜様、お二人共口は固く約束を守る悪い人ではありません。それにあの酒場はたまに素行の良い高ランク冒険者などもたまに来ますし、恐らく広がっていくでしょう、それに私が事前に伝えた情報を間違えずに言えましたからね』
(あぁ……そうか……今日は疲れたから寝る……おやすみ……サクヤ)
『おやすみなさい。白夜様』