101話 ハルバート侯爵の来店
引っ越しの時期が決まり 多少暇な期間が出来たので続きを書きました。
サクヤの忠告を聞いてから三日後、俺は店主の姿に変身して店で準備をしていた
『白夜様、ハルバート侯爵が来ます。』
(……っ、遂にか、作戦通りやるぞ)
『分かりました。』
とサクヤと打ち合わせし
「お客様が来る、恐らく前に言ってた偉い人だ」
と店の中で暇そうに話してた叶と罪花に言う
俺の声に二人は反応し
「分かったわ」
「分かったよ~」
と返事をした。
そしてしばらくした後、店の扉が開かれた
そこには三人の人物がいた
一人は前に来た女の人
多少みすぼらしい格好になっているが、間違いない、ハルバート侯爵だ
そしてもう一人は……前に俺を尾行していた少年だった
『白夜様、他にも数人程外で隠れて待機しています。』
(そうか……サクヤの言った通りの展開だな、問題ない)
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ。」
俺と罪花はそういう
「あぁ、ここは鑑定屋ヨゾラであってるかね?前に鑑定して貰った者の夫何だが」
とハルバート侯爵は堂々と言う……
ヘルリアさんの方は若干ひきつった笑みを俺を追跡して来た子はキョロキョロと店内を見回し、叶の方を見て、驚いていた。
この侯爵達の設定もサクヤ想定内か
「はい、そうですが……おや、貴女はこの前の……そうですかお客様の旦那様ですか」
俺はヘルリアさんの顔を見て納得したように言う
「覚えているなら何より、どうやら妻がこの店で鑑定して貰った物を贋作と言われたらしくてな……どんな店なのか見に来たんだ、構わないか?」
と罪花の方を見て言う
「えぇ、構いません、お話を伺います。」
と罪花はハルバート侯爵とヘルリアさんを案内したが……
追跡してきた子はハルバート侯爵に小声で話かけた、その時ハルバート侯爵は叶の方を見て少し驚いた後、頷いた、そしてその子の方は叶の方に歩いて行った……
俺は罪花と叶達に人数分の紅茶を出し、バーカウンターに戻り、コップを磨きながら二人が接客を終わるのを待っていた……
声を聞く限り罪花は手順通り、罪花は作品の説明をしていた、ハルバート侯爵は説明を聞いていると色々驚いたりしていた
叶の方は何やら軽く他愛ない話をしていた……どうやら子供の方は話すのが少し苦手なのかボロを出さないように頑張ってるぽいな……
今の所大丈夫そうだな……そう思っているとハルバート侯爵は罪花から離れ、俺の方にやってきて、バーカウンター前の椅子に座り
「いやぁ、この店は凄いですね……贋作疑っていたが話を聞いて見たが、嘘はついてないらしい……少し疲れたから私はこちらで休ませてくれ」
とハルバート侯爵は言う……
ついに俺に探りを入れに来たか
俺はコップを磨く手を止め、バーの下の冷蔵庫の魔道具からレモン果汁と氷入りの水を取り出し侯爵に出した
「構いませんよ、ありがとうございます。罪花様の鑑定能力は凄いですよね」
「あぁ、彼女は本当に凄いな……しかしそんな能力を持っていて、どうしてこんな場所に店を作ったんだ?」
と聞いてきた……どうやらこれは純粋な疑問らしい
だがサクヤの想定していた質問の内容の一つにあったな……
「店主がこういう場所が好きでしてね、まぁ、本当のところは雇われの私にはわかりません。」
「そうか、雇われか……私からしたら店主は貴方の方に見えるが……」
「ははは、私は料理や紅茶を淹れるしか能の無い老いぼれですよ」
「なるほど……」
侯爵は俺が出した水を飲んだ……
そして口を開いた
「……月の雫を飲みに来た」
と俺に言った……その瞬間店の中で話してた人達の動きが止まった
『白夜様達が情報を出さないのを確信して強行手段に来ましたね……全て想定内ですね、作戦を実行します。』
「おや、何かと思えば……ムーン様のお客様でしたか、最初からそうでしたら言ってくだされば良かったのに」
と俺の発言にハルバート侯爵は驚いていた、俺はそれを無視して、予め用意してた鈴を取り出し鳴らした
「少々お待ちください。ムーン様が来ますので」
と俺は言う
「やはりここは繋がっていたか……君達は」
とハルバート侯爵が何か聞こうとした時、店の真ん中に一人の人間が突然現れた
その人間は黒マントを纏った、平凡な服で平凡な顔の男性だった、そしてその男の胸元には月のペンダントがあった
「ワタシに何の用があるのカナ?ハルバート侯爵?」
それは紛れもない俺が演じていた、情報屋ムーンの姿だった
遅れて申し訳ありません。