82話 トリミヤ商会5
息子達が抱きしめた後、私はエレンを抱き締めた、エレンはニコニコと笑っていた、本当に嬉しかった。
その後、エレンを休ませる為、エレンを置いて部屋から出てリビングに移動し、私の嫁、キリシャを呼んで、どう病気を治したのか、左脚や左目を治したのか聞かれその場の人達に説明した。
内密にと言われていたがムーンの事を少し話してしまった……
すると話しを聞いた皆、驚いていた……そしてキリシャに叱られた
「いくら効果が合っても!怪しい人物が持ってきた薬を孫に飲ませるんじゃない!」
……と、私はその説教を受け入れた……その通りだ……
だがその後、キリシャは私を抱きしめた
「でも本当に良かった……エレンが……そしてアナタの傷が治って……」
キリシャは私を抱きしめ泣いていた……私もキリシャを抱きしめ泣いてしまった。
その日は商会を休み家族で一緒に過ごし、病み上がりのエレンに出せる最大限の豪勢な食事を出した。
そんな日から3日経った。
私は今日も店の自室で元気に仕事をしている
商会の皆も私の傷が治った事を聞いてきたり、色々慌ただしい日々になったが、やっと落ち着いきた
私は自室で仕事をしながらムーンの事を考えていた
ムーンはあれから現れない……クナイの雫を渡しておいて報酬を受け取りに来ないとは何だろうか……?
その時、部屋の扉が慌ただしく開かれた
「誰だ!?」
私は警戒しながら扉を見た、するとそこに立っていたのは息子夫婦の家の使用人の一人だった
「はぁ……はぁ……トリミヤ様!エレンお嬢様が……また病で倒れました!」
「何!?すぐ行く!?」
私は椅子から立ち上がり慌てて部屋から出た
私は息子夫婦の家の道中、ムーンの言葉が頭を過った
ぬいぐるみを処分しない限り、エレンは薬を飲んでもまた病気になる
あぁ……まさか……本当に……私が持ってきていたぬいぐるみがエレンを苦しませてたのか……?
そんな……まさか……
そう思い私はいつも通りエレンの部屋へ来た
そこには息子夫婦、キリシャ、医者、そして魔力を吸い出す魔道具を付けられベッドで苦しそうにしているエレンが居た
「っ……!?エレン!!」
私はエレンの側に近づき触ろうとした……だが医者の人がそれを止めた
「触らないでください、今触ると危険です。二度目の病気で心臓にかなり負担がかかっています。」
その声を聞いて私は手を止めた
「……エレンは助かるのか?」
私はそう医者に聞いた……
「分かりません……ですが……もって2日かと……少しだけ治ったのも奇跡と言えますので……」
「っ!?」
それを聞いて私は唖然としてしまった
エレンが後……2日の命だと……?
「おじい……ちゃん?」
そんな事を思っているとエレンが苦しそうに話しかけてきた
「わたし……しんじゃうの?おくすりは……駄目だったの?」
エレンは苦しそうに私に聞いてくる……
私のせいだ……私が持ってきたぬいぐるみが原因だと心の中では考えていたが……信じたく無くて処分しなかった私のせいだ……どうしたらいい……考えろ……
そうだ……あの時、ムーンはこうも言っていた
クナイの雫はまだある、必要になったらまた来ると
クナイの雫があれば……エレンは治る……!
「っ……探さないと、ムーンを」
私はそう呟いた……すると
「ワタシを呼んだ……カ?」