81話 トリミヤ商会4
私はしばらく放心状態だったが、決意した、エレンに薬を飲ませよう……
人形に関しては……まだ保留だ……だがもし本当の事なら……いや、今はとりあえずエレンに薬を飲ませないと……
私は席から立ち上がり、机の上にあるクナイの雫を持ち店を出た
店を出る時、店員や部下達が私の左目と左脚を見て驚いて居たが……今はそれどころではない……
早くエレンに飲ませなければ……
私は街を歩きエレンの居る息子夫婦の家に裏口から入り、エレンの部屋まで行き扉を開け、中に入った 途中何人かすれ違い、私の目や脚について聞こうとしていたが気にしない
エレンの部屋はいつも通り人形だらけで、ベッドの上で本を読んでいる手を止め私を見ているエレンがいた。
「あっ!おじぃ……ちゃん?」
エレンは私の顔を見て喜びの表情をしたがその表情はすぐに疑問を浮かべる表情になった。
「あれ……?お爺ちゃん、いつもの眼帯と脚は?」
エレンは私に訪ねてくる
「それは……話すと長くなるから今は話さないけど……今日二回目だけどお爺ちゃんはエレンに良い物を持ってきたんだ」
「本当……?」
私の言葉にエレンは訳がわからないと言った風に反応をしている
「あぁ、病気を治せるお薬を見つけたんだ……これを飲めばもう安心だよ、昔みたいにまたお外で遊べるんだ」
そういいながら私はクナイの雫が入った小瓶をエレンに渡した
エレンは手元にある、その小瓶を見て不思議そうな顔をしていた
「これで治るの?」
「あぁ、治るよ」
「お薬……苦くない?」
「……味は分からないなぁ……とりあえず治る薬だから、飲むといいよ」
そう言うとエレンは暫く考えた後、小瓶の蓋を開け、クナイの雫を一口飲んだ
「っ!?甘い!!」
そう言うとエレンはクナイの雫を全て飲み干した……
これで大丈夫何だろうか……?と私はエレンの様子を見ていると
「……うっ」
当然エレンが胸を抑え苦しみ始めた
「っ!?エレン!大丈夫か!?」
私は苦しむエレンの前に大きな声を出してしまった
それから暫くエレンは苦しんだ後グッタリとしてしまった……
そして部屋の外からドタバタと足音が聞こえてきた。
「何事ですか!?」
息子夫婦の家のメイド長と執事長が部屋の扉を開け部屋に入ってくる。
「エレンが……エレンが……」
私は気が動転して説明しようとしても言葉が出ない
メイド長と執事長は私の顔を見ると驚いたが、すぐにベッドの上を見て、エレンがぐったりしている様子を見て慌てていた
「トリミヤ様、エレン様がどうしてたのですか」
執事長が少し慌てたを抑えようとしながら話しかけている。
メイド長は息子夫婦を呼びに行った……
その様子を見て少し落ち着いた私は執事長に説明しようとした……その時
「エレンが……薬を飲ませた途端、苦しみ始めてグッタリし……」
「お爺……ちゃん……?」
グッタリとしていたエレンが目を覚ました
「エレン!」
「エレン様!」
執事長と私はエレンに話しかけた
「えっとね……お薬飲んだら胸の辺りが凄く苦しくなってね……その後、少しポカポカしたのそれでね……もう苦しくないの、痛くないの……」
「どう言うこ……」
「「エレン!!」」
エレンは私達にそう説明していると息子夫婦とメイド長が部屋にやってきた。
そして部屋に居る私達を見ると
「お父っ……様?」
私の息子デュースが私の顔を見て疑問符を浮かべる
息子の嫁、リサさんも私の方を見て驚いていた
だが、私よりエレンの方が気になったのかエレンの方に向いた
ベッドの上ではエレンがニコニコと笑い
「お父さん!お母さん!私!病気が治ったの!!」
と言う。
その言葉に息子夫婦は驚きつつもエレンに近づいていき
「それは……本当なのか……?」
「うん!お爺ちゃんがくれた薬を飲んで、もう苦しくないし!辛くないの!前みたいに元気の感じなの!」
とエレンはニコニコと言う
「良かった……本当に……良かった……エレンっ……」
デュースとリサさんはそう言い泣きながらエレンを抱きしめていた。
私はこの光景を泣きながら見ていた……良かった……
本当に治って良かった……
いやぁ治って良かったですね(棒読み)
突然、左目や左脚が無い人が左目と左脚取り戻してたら誰でも驚きますよね……