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異世界情報屋暮らし  作者: 紅い狐
第四の転生者“達”
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79話 トリミヤ商会2


79話 トリミヤ商会2


〜トリミヤ商会会長 トリミヤ視点〜


私は自分の部屋に居る情報屋を名乗る謎の人物、ムーンを睨んでいた……

片足義足で片目を失ってるが、この程度なら倒せる……

だがこいつは私を殺しに来た訳ではなさそうだ……武術等を使う者にはあまり見えない、だが、警戒はしないと……?


「そう警戒しなくていいヨ……今日は貴方と交渉しに来た……ネ」


ムーンは俺が警戒してるのを悟ってかそう話を切り出してきた

交渉だと……?

こんな男が何をしに……儲け話の類か……?だがこんな身元の分からない怪しい男が……?その情報で何を求める……?金か……?

私が黙って考えていると

ムーンがやれやれと言う表情をしながら


「エレンちゃんを病気にした犯人と……それを治す薬をワタシは持ってるネ……」


「……何だと……!?」


ムーンの口から出た言葉に私は耳を疑った

孫の病気の事は別に知られているのは不思議じゃない、良くお客様にも話している事だから……だが孫の病気の犯人と薬を持っているだと……?

あの病気の犯人という事は……誰かが私の孫を殺そうとしている……?私の可愛くて愛しい孫を……?

犯人と言う言葉で私は一瞬、頭の中が真っ白になりそうだったがその後の言葉を思い出した……

それを治す薬を持っていると言うが……薬なんて本当にあるのか……?だが一応話を聞いてみるか……

嘘なら取り押さえて兵士に付き出すか……


「……話を聞かせてくれ」


私がそう言うとムーンは


「分かったヨ……ただ、最初は薬の話ネ……情報に関しては後に話すネ……しないと思うけど聞き逃げされたら困るから……ネ」


ムーンも警戒をしているのだろう……

早く聞きたいが……怪しい男ではあるが、聞くと言った以上、ここは交渉の場だ……しっかりしないと……


「そうか……話は長くなるか……?」


「少し長くなる……ヨ」


「では座ってくれ……紅茶などはいるか?」


「……必要無いヨ」


そう言いながらムーンは部屋にあるソファーに座った……私はムーンが座るのを見て対面に座った、それを見たムーンは

その後、ムーンはごそごそと懐を漁り、綺麗な虹色の液体の入った小瓶を2本取り出した


「……さて……まずはさっきも行った通り……薬の話ネ」


薬か……薬に関しては正直期待をしていないが……

話を聞かないと進みそうないな……


「まずはこの薬は……クナイの雫ネ」


「……嘘だな」


その言葉を聞いて思わず反応してしまった……

どんな病気などでも治す幻の飲み薬……クナイの雫がある訳ない……

あるとしても、こんな怪しい男が持ってるわけ……


「なら試して見るネ」


そう言いながらムーンは小瓶の一つを開け突然、左側から私の顔に中身の液体を少しかけて来た


「っ!?」


死角の左側から、しかも突然の行動に私は反応が遅れた私は液体が眼帯にほんの少し付いてしまった、眼帯が濡れて居る……やはりこいつは刺客なのか……?

そんな事を思っている時……突然左目の辺りが痒くなってきた……

何だこの痒さは……毒なのか……?

そんな事を思っていると眼帯が押され何故か左目にハメていた義眼が落ちてきた……何だ……?何が起こっているんだ……そんな事を思っていると


「もう目は治ったヨ」


とムーンの声が聞こえる、私は恐る恐る左目の眼帯を外し左目を開いたすると……失ったはずの左側の視界がはっきりと見えている……

むしろ右側よりもよく見える……ムーンにその事を聞こうとすると


「これはサービス……ネ……左脚も直してやる……」


とムーンは言い、突然立ち上がり驚いている、私の義足を持ち上げ突然外し、残った小瓶の中身を全て左脚にかけた

すると失った脚の付け根から違和感を感じ……凄まじい痛みを感じ始めた


「いっっっっ……」


「我慢するネ……」


凄く痛い……そんな痛みを数秒耐えていると

私の失った左脚も綺麗に生えていた……

何なんだこれは……だが左脚と左目は確かにある……何なんだこれは……何が起きている……


「……これで信じるカ?万全な状態だから今すぐ動かせる……ヨ?」


ムーンは平然と言う、私は残った最後の一瓶を見た

まさか本当にその薬はクナイの雫なのか……?だがクナイの雫は飲み薬と聞いているが……ムーンは私に振りかけたぞ……


「……クナイの雫は飲み薬では?」


「あぁ、それは半分嘘ネ、クナイの雫は欠損を治す時はかけて使うんだヨ……さて、ワタシを信じてくるカ?」


そう言うとムーンは私を見ていた……なるほど、私がずっと警戒しているのを解こうとしてるのか……


「……少し考えさせてくれ」


「分かったヨ」


とムーンは椅子に戻っていった

この薬なら確かに娘を治せると思うが……これだけで色々払ってもいいレベルだが……

ムーンはこれをサービスと言った……

薬は確かに欲しいが……何が目的何だ……?

だが……敵なら敵をわざと回復したり直したりしない……

少しは信じてみるか……?


「話を聞かせてくれ…」


そう言うとムーンはニヤリと笑った


「毎度あり……ネ、まずはワタシへの報酬の話ネ……」


「……何が欲しいんだ」


私は身構えた

これだけの事をしたんだ……何が欲しいんだ……?

大金か……?それに見合う土地か……?それとも何かの権利や情報か……?


「ワタシが求めているのは貴方が持っている物件一つとあとは……三万リアくらいで良いネ」


「……は?」


私は思わず間抜けな声が出た

いくら何でも三万リアと物件一個は安すぎる……

いや……欲しい物件が高いのかもしれない……


「どの物件か欲しいんだ……?」


「昔、酒場として使われてた物件……ネ……店だった時の名前は隠れ家酒場……ネ」


とムーンは言う……隠れ家酒場……昔マスターがロマンだーとか言って作ったは良い物の……

場所が見つかりにくく過ぎて潰れて私の元に回ってきたあの物件か……


「どうしてその物件が欲しいんだ……?」


するとムーンは少し考え始め、頷いた後


「ワタシの……知り合いが欲しいと言ってる……ネ……その知り合いがそこに店を開きたいってヨ」


と言った……

この男がますます分からない……自分の為でも無く知り合いの為……?

それくらいなら腕や目を治した時点で渡してもいいくらいの報酬だが……

私にとって美味しすぎる話だ……


「あぁ、あと一つ、大切なのを忘れてたネ」


私はその言葉にまた身構えた

そうだよな……こんなに美味しい話がある訳ない

もっと凄い要求があるはずだ……


「それは……ワタシの事を貴方の人脈を使って噂を自然に広めて欲しいネ」


「えっ」


その言葉に私は思わず間抜けな声をまた出してしまった


「ワタシは客が少なくてネ……少しだけ宣伝して貰えるとって思ってネ」


とムーンは笑顔で言う……

本当に何がしたいんだ……こいつは……



トリミヤさん、凄い事要求されると思ったら凄い小さい事で予想外。





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