76話 エア10
俺は平原近くの森から勇者の目の前に転移した。
しかしあんな事があると少し疲れたな……
「ふぅ……疲れた……」
「うわっ」
俺がそう呟いている間に転移完了したらしく人の目の前に出てきたのか驚かれた
「おっと、ごめん」
俺はそう言いその人から離れた
他の人達も俺を見て驚いていた
「村を作る事を伝えたのと作る場所の許可を取れたから戻ってきた。突然消えて悪いな、まぁ、許してくれ」
俺はそう言い、消えた理由を説明した
勇者は特に驚きもせず
「……そうか、で、場所は何処なんだ?」
と勇者は質問してくる
さっさと説明するか……
「あぁ、ここから少し南にあるカナシス平原と王都の間にある、森の中間辺りの川がある場所だ。俺達が休憩所にしてたけど、あそこは水もあるし木も良い感じだったからな……それに」
俺がダンジョンの事を説明しようとすると
「待ってくれ……森の中か?確かに水があるのはいいけど……木も邪魔そうだし弱いが魔物とか居るから村とか作れないって他の兵士とかから聞いたけど……何で森の中なんだ……?」
勇者が話を遮ってくる
「まぁ、話は最後まで聞いてくれ……その場所にはな……近頃だが近くにダンジョンが出来るかもしれないからだ」
と俺が説明すると
「何!?ダンジョンが出来るだと!?本当か!?」
勇者は少し大きめな声で反応した
まぁダンジョンは見つけるのは難しいから驚くよな……
「エア……だっけ……?それが本当なら……何の根拠も無く本気でダンジョンが出来るって言うのなら……最悪、捕まるぞ……」
勇者は俺を睨みつけてくる……
まぁ、何か根拠になるような事を説明しないと冒険者一人が言う事なんて信じられないよな
また詳しく説明するか……
「まぁ、出来る"かも"だからな、そうマジな顔をしないでくれよ、根拠は……俺が連れて来た人が一人迷子になったのを探してた時な……普段温厚なはずのスライムの群れに襲われたんだよ、幸いあいつらは魔力目当てで魔力を吸われるだけで済んだが……うん……勇者様はダンジョンが出来る時、周りは極度の魔力不足になるのは知ってるよな?根拠はそれだ」
と俺はスライムに襲われた時を思い出しながら勇者に説明する
「スライムの群れが襲ってきた……確かに少しは不自然だが……本当 だろうな……?」
と勇者はまだ俺を怪しそうに睨んでいる……他の奴らにも言ってもらうか
「……あぁ、本当だ、俺以外にも四人一緒にいた、そいつらもスライムの群れが俺を襲ったのを見ている……そうだよな?」
と俺は転生達の方を見た
「えぇ、見ましたよ」
「私も見た」
「私も……」
「……何か凄い光景だったよ」
と俺に付いてきた人達がそう証言してくれた
「そうか……他の人も言うなら一応信じるが……その場合少しダンジョンについて捜索しないとだから村作りに時間がかかるな……だが村の場所についても王様に伝えよう……それじゃ……俺は早めにダンジョンについても王様に伝えてくるから城に帰る」
勇者まだ少し疑う表情をしながら話した後、王城に走っていった
まぁ、これで後は偽装魔法を他の勇者や魔王達に教えて解決だな
とりあえず、平原の人達に報告して俺は宿屋に帰るか
「さて、俺達も用事が住んだし平原に戻るか」
俺がそう言い歩き出すと転生者達も歩き出した
しばらく歩いていると
「……ダンジョンってそんなに重要なの……?」
と花鳥さんから質問が来た
「……あぁ、ダンジョンは貴重な鉱石や魔道具とかの資源が出来るんだ、だから見つけたり、ダンジョン化の予兆があれば、即冒険者ギルドに報告が基本なんだよ、もしそれが本当なら見つけた冒険者に金が送られる……だがそれが嘘だった場合、罰金か……最悪逮捕だ」
俺は昔サクヤに聞いた事を説明した
「そのダンジョンがどうして村に関係あるの……?」
と花鳥さんはさらに質問してくる
えっと確か……そうだった……
「……資源豊富だから探索する人達が集まるんだ、昔はそういう人達を狙ってダンジョンの前で店を開く人や家を作る人が出てきたりして……次第に発展していって街ができたりしたんだ、だからダンジョンの近くに村を作ると経済の周り良い場所なんだよ、それにあそこは川が近くにあるから水に関してもかなり良いと思ったんだ」
と俺はそう説明すると
「そう……説明ありがとう」
花鳥さんが納得したのかお礼を言った
まぁ、これから住むかもしれない場所だし、気になるよな
その後は、街を出て、森で同じ場所で休憩をした後、行く時と違い特に何事もなく順調に他の転生者が居る平原へサクヤに案内されながら進んでいた
『もう少しで到着します。』
(そうか)
「もうそろそろ平原に付くぞ……俺はトラヤマさんに色々伝えてくるから、他の人達は解散していいよ」
そう言い俺はさらに歩いていくと俺が建てた土の家が見えてきた
もうそろそろだな
「あ、あの……あの家は何なんですか?前まで無かったはずなんですが……」
すると若い方の男性教師が俺に質問してきた
……そうか、最初何も無かったのにこんなでかいの建ってたら驚くよな
この人は結構質問して来そうだし……そう言うのは全部虎山さんに話して貰うか……何処に居るのだろうか
『虎山さんならあの土で出来た屋敷に居ます。』
(ありがとう、サクヤ)
「ん?……あぁ、あれ、俺が魔法で作ったんだ、伝えに戻った時、村を作るまでの仮住居をどうするかって話になったから作ったんだ、村作りとなると時間がかかるから……まぁ、そういうのは全部トラヤマさんに聞いてくれ、俺は今からトラヤマさんに会うから付いてきたら会えるぞ」
俺達はそんな事を話しながら土の家がある場所に来た、そろそろここで離れたい人達は離れさせるか……
俺はここで立ち止まり
「よし、ここから別れたい奴は別れていいぞ」
すると少し考えながら数名の転生者達は離れていった
「他に居ないか……?よし、じゃあ行くか」
俺は確認した後、歩き出した
辺りがざわついてるが……まぁいいだろ
そんな事を考えながら俺は土屋敷に到着した
『この屋敷の広間に居ます。』
「ここにトラヤマさんとか居るから話してくる。」
そう言い俺はその屋敷に入った
他の転生者も付いて来たが……あの男性教師は玄関で壁を叩いたり調べたりしていた……
「何してるんだ……?さっさと行くぞ」
と俺がそう言うとその教師はハッとして
「は、はい」
俺はその返事を聞いたあと歩き出し
『この部屋です。』
(ここか……)
サクヤに言われた扉の前で立ち止まり
「おーい、また戻ってきたぞ」
と俺は声をかけながら扉を開け、入った
するとそこには木製の机や椅子に座っている虎山さん達がいた
あれ……?木製?
(サクヤ、俺が使ったのは確か土魔法と魔王魔法の合体魔法だよな?何で木があるんだ?)
『転生者の一人が出したみたいです。』
(そうか)
「皆さん、戻りましたか、お疲れ様です。」
そんな雑談をしていると虎山先生が話しかけてきた……
「あぁ、しっかり勇者様にも伝えてきたぞ」
「そうですか……村雨君には感謝しないとですね……エアさん、スキルの事といい校長の事といい本当にありがとうございました。」
と虎山さんはお礼をしてくる
校長……あぁ、あの髪の毛の人か……
校長に関しては俺がスキルの話を迂闊に話したから起きたことだからな、俺の責任でもある……
「俺がやりたくてやった事だしそう固くならないでいいって……スキルだって使い方を教えただけだし……それで校長のスキルが暴走して、髪の毛が思いっきり伸びたのも俺のせいだから……」
と俺は言う
「いえ……それでもスキルに関して教えてもらったのはとても助かりました……校長に関しては……こちらにも非がありますので……」
と虎山さんは俺以外の人を見て俺に言う、俺がそちらの方向を見ると髪型が変わった校長らしき人がいる
「……まぁ、この話は置いといて……王都に行って今後の事も決まったみたいだし……」
後は宿に帰って、たまに来て勇者達にそれとなく偽装魔法とか教えて行けば終わりだな
と思っていたその時
『白夜様、帰るのは少しお待ちを、ここの勇者達が白夜様の跡を付ける作戦を立ててます。』
「まじか……」
俺は思わず小声で呟いてしまった
(転移で帰るか?)
『勇者の一人に高性能な追跡能力持ちが居ます。』
(……)
『……帰らずに村作りを手伝う振りをして、隠すを教えるしかありませんね』
(そうだな……)
「よし、帰ろうと思ったけど、決めた、俺も村作り手伝う」
これで第四の転生者の書、エアは一度終わりです。
この次からは少し時間が飛びますが……久しぶりにムーンを書く予定です。
村作りは全カットします。
ですが村に関しては後からもしっかり出ます。
進行の為、生徒会と風紀委員などの出番が大幅に犠牲となりました