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異世界情報屋暮らし  作者: 紅い狐
第四の転生者“達”
106/174

69話 エア3

移動しました。

俺は立ち上がり、来た道を戻り獅子鳥高校集団の所に戻って行った

そしてそこには先程話した先生達や先程より多い十数人の生徒が待っていた


「はぁ……今日はウサギを捕まえられなかった……仕方ない……今日も屋台で食うしかないか……久しぶりに自分で料理したかったのに……」


と俺は獲物を持ってない事を怪しまれない様に皆に聞こえる様に独り言を呟いた


「ひっ……」


すると一人の女子生徒が俺の方を見て小さく悲鳴をあげた。

俺は悲鳴の聞こえた方向を見ると……一人の女生徒が俺を見て震えていた。

何だ……?何かあったのか……?


「……どうかしたのかな?何かあったのかい?」


俺は悲鳴を上げた女子生徒に近づいていくと


「あっ……いえ……すみません、何でもありません……私、王都に行くのやめます……」


と言いながら女子生徒は走って行った


「あっ、ちょ、おい!」


そして一人男子生徒がその女生徒を追って走って行った。

何だったんだ……あれ……


『あの女の人は……どうやら魔力を見る眼を持っていますね、なので白夜様の莫大な魔力を見て直感的に逃げたのかと……』


そんな能力の子も居るのか……

まぁ、魔力だけなら罪花みたいな事にならないか……放置でいいか……


「俺の顔逃げられる程気持ち悪いのか……」


俺はそんな事を言いながら肩を落とし落ち込んだ表情をした……だがすぐに表情を戻し


「まぁ、いいや……これから王都まで案内するけど何人来るのかな?」


俺は近くに居た虎山さんに聞いた

すると虎山さんはすぐにハッとして


「1-Aから3-Bまで13……12名、先生五名の計17名が王都に行くと言っています。」


と俺に伝えてきた。


(サクヤ、その中に勇者や魔王とか居るか?)


『……五名程居ますね、五人とも男子で右の方に固まって居ます。』


(そうか……)


俺はサクヤにそう言われその男子達を見た……なるほど……あいつらか


「少し多いな……五人くらい減らしてもいいか?」


俺はそう提案した


「少しお待ちください。」


虎山さんが頭を下げた。


「あぁ、いいよ」


俺が虎山さんにそう返事をすると

虎山さんは少し俺から離れ他の先生や生徒達と話し始めた。

そして話し合いを終えたのか


「構わないそうです。数人辞退しまし……」


……まずい、それだともしかしたら勇者や魔王が来てしまう


「そうか、構わないか、ありがとう、じゃあ君と君と……あと君と君と君、ごめんだけど王都に行くのを辞めて貰えないか?」


俺は咄嗟に虎山さんの言葉を遮り勇者と魔王の五人組を指差していった


「っ!?はぁ!?何でだよ!!」


指を差された生徒の一人が俺に怒気を込めた声で話しかけた

今説明しても納得してくれるとは思わない……威圧するしかないか


「理由は言えない……だけど……君達が来るなら俺は案内しないし、何もしない、これっきりだ。君達のワガママでここの人達は情報も何も無くこの世界で生きて行くのか?」


俺が冷たい声でバッサリと言う……すると俺にいちゃもん付けてきた生徒や周りの先生や生徒まで固まってしまった……やりすぎたか?


「まぁ、冗談だよ、勘だよ、勘、君達が来ると嫌な事が起こるって勘、だからごめんだけど外れてくれないか?」


と俺はその生徒ににこやかな声で言う……

だけどここまで言うと反発して逆に付いてきそうだな……


「まぁ、一人で行ったり勝手に付いてくるなら止めはしないけど、その場合、俺は助けないし赤の他人の振りをさせてもらうからね……じゃあ、王都に行く人は付いてきてくれ、案内するよ。」


と俺はさらに注意をして置いた……

これ以上居ると追求されそうだしそろそろ行くか……

そう思い俺は歩き出した。

少しするとその五名を除いた生徒や先生達が俺の後ろに来ていた

俺はしばらく歩き平原と森の境目辺で立ち止まり付いてきている人達の方を見た。


「じゃあ王都に行く皆さん、これから森に入るが、疲れた時や何かあったら言ってくれ。一時間くらい歩くからな……だから適度に休憩しながら向かう事にするから、水とか欲しい時は俺に言ってくれ、コップとかは俺が用意するから」


と俺は森の中での事について説明をした。

すると数人は分かったのか頷いたので俺は森の方に向き直し、森の中に入っていった。

俺達は王都を目指し森の中を二十分程歩いた、すると


『そろそろ休むのに丁度いい川があります。水などもありますしそこで休みましょう。』


サクヤから助言が来た、そろそろ俺も疲れてきたしそうするか……


(そうだな……そうしよう、しかし川の水か……転生者とかには少し抵抗あるかもな……)


『では、魔法の水を出すのはどうでしょうか?水魔法では魔力を摂取するだけで喉を潤すのは不可能ですがウォーターと言う空気中の水分を集める魔法を使えば可能です。』


(そんな魔法もあったのか……)


『白夜様は飲み物創造魔法があるのでいらないと思い、教えませんでしたが……簡単に覚えれる魔法です。詠唱はウォーターです。』


(……ありがとう、サクヤ)


サクヤから助言が来た、俺は転生者達の方を振り返り


「……少し休むか、皆、ここから後少ししたら川と少し開けた場所がある、そこで休憩しよう。」


と言った、数人はやはり疲れていたのかその言葉を言った途端足取りが軽くなった気がした

俺は前に向き直り少し歩いた、するとサクヤの言う通り川に出た


「よし、ここで少し休むぞ、トイレとかも今の内にしとけ、水が欲しい人はこっちに来てくれ。」


そう言うと一人の男子生徒が


「トイレ行きます。」


と言い森の中へ離れていった。

他の人は誰も行かない


「エアさん、水ください」


先生らしき優しそうなおじさんが俺に水を頼んできた


「分かった、少し待ってろ、水は後で出すから待っててくれ。」


俺はそう言うとマジックバックに手を突っ込み


「出ろ、木のコップ」


と俺は木のコップをマジックバックの中で創造して取り出した、すると


「私も欲しい……けど……そのコップ……」


と一人の女生徒が俺に話しかけてきたが少し躊躇っている……あぁ、こんな革袋に入ってたら汚そうだし、俺一人だから数が足りるか分からないよな……このカバンについて説明しとくか……


「コップ……?あぁ、大丈夫だよ!これマジックバッグって言って見た目以上に容量あるからコップの数なら足りるよ!出ろ、木のコップ」


「……そう」


と言い女生徒は複雑そうな表情をしてコップを受け取った……

何か変な事を言っただろうか?


「マジックバッグとはなんでしょうか?見せてもらっても?」


そんな事を考えていると一人の俺より少し年上の男性教師らしき人物がマジックバッグを見ながら俺に話しかけてきた

まぁ、異世界の道具って信じられないよな……マジックバッグ、少しくらいなら見せるのはいいな……


「あぁこれはマジックバッグって言うんだよ、見た目普通の革袋だけど凄く容量があるんだ、見てもいいぞ」


そう言いながら俺はその男性教師にマジックバッグを手渡した

そしてその教師はマジックバッグを食い入るように観察し、中を見て驚いていた、そして


「これは……凄い……中が見えない……どう使うのですか?」


と男性教師は俺に聞いてきた……まぁ、初めてだし驚くよな……これから魔法とか結構使うかもしれないし先に説明して見せとくか……


「あぁ、こう言うのはスキルを使う時と一緒だよ詠唱と意志やイメージだよ……まぁ、俺はイメージするの苦手だから詠唱にしてるけど……例えばこう……ウォーター」


そう説明しながら俺は右手の人差し指を上に差しその指先に少し大きな水球を出した、俺達を見ていた生徒や先生達が驚いていた

まぁ、こんなもんでいいか……


「……とまぁ、こんな感じだよ、正しい詠唱と意志やイメージさえあれば誰でも出来るよ」


と言い、俺は水球を消しながらその教師に話しかけた


「……マジックバッグを試してみても?」


その男性教師は少し何かを考えた後、その男性教師は俺にマジックバッグを返しながら聞いてきた。


「……私も」


「お姉ちゃんがやるなら私も……」


すると、先程コップを受け取った女子生徒とその女子生徒にそっくりなもう一人の女子生徒が俺に話しかけてきた……困ったな……このマジックバッグは俺が創造魔法で出すのをカモフラージュする為に出した物だから何も入っていない……変に触られて怪しまれるのもまずいな……ここは数個小さいのを出してそれで誤魔化すか……


「あっ、いやぁ……小さいマジックバッグあげるからそれで試してくれないか?変なの出されたら困るし……出ろ、マジックバッグ三個」


俺はそう言いながら革袋のマジックバックから赤、白、黒のポーチサイズのマジックバックを作り取り出した……さて渡すからには使い方を説明しないとだが……


『このポーチ型のマジックバックは一般の大型倉庫10個分くらいの容量があります。色は適当に選ばせて貰いました。詠唱は出ろの後に欲しい物を言ってください。名前が違えどイメージさえあれば何とかなるタイプの物を用意しました。忘れやすい人にはメモをオススメします。』


(そうか、ありがとう、サクヤ)


サクヤからポーチマジックバッグの説明がくる

俺はイメージも魔力量もサクヤに任せてるから異世界の物って作ってもどんな物か分からないんだよな……


「ほら、こう見えて容量は大体大きな倉庫十個分くらいあるバッグだよ、俺のお古だけどあげるよ。詠唱は出ろの後に欲しい物を言うんだ、ただ忘れたら困るからメモしておくのをオススメするよ。正式名称が分からなくてもイメージしてればそこは何とかしてくれるし、あると便利だよ」


俺はサクヤに聞いた事を説明しながら男性教師に黒色のマジックバッグを渡した


「ありがとうございます。」


その男性教師は俺にお礼をした後、渡したマジックバッグを食い入るように見ていた……

おっと、あと二人にも渡さないとな……


「いいってほら、君達もどうぞ」


そう言いながら俺は二人の女子生徒にマジックバッグを手渡した


「ありがとう」


「えっと、ありがとうございます。」


そうお礼を言うと二人はマジックバッグを受け取った……他の生徒とかも欲しそうな顔をしているが……これ以上渡したりしていると王都に行くのが遅れるかもな……


「マジックバッグはもうこれしか無いから……試したい場合はこの三人に言ってくれ……さて水を出すからコップを持って一列で並んでくれ、魔法で水を出すから」


俺が大きめの声でそう言うと数人が残念そうな表情をした後、少ししてから数人の生徒とおじさん先生と女性の先生が俺の前に並んでいた俺の前に並んでいた

数人はマジックバッグを受け取った女子生徒達の方に行ってるな……

黒いマジックバッグを受け取った男性の先生は集中しすぎて周りが見えてなさそうだな……

まぁいいか……俺は並んでいる人達にコップを渡し、ウォーターを使い水を渡していった

そんな作業を終わらせ数分が経ち、そろそろ休憩を終わらせようと思った時、黒いマジックバッグを渡した男性の先生の方が少しざわつき始めていた。


何かあったのだろうか……とりあえず話を聞いてみるか……


「どうしたんだ?何かあったのか?」


俺は黒いマジックバッグを渡した男性の先生に話しかけた


「えぇ、トイレに行った生徒が一人、まだ帰ってこなくて……」


とその男性教師は言う


「あーあの子か……確かに長いな……」


確かに最初くらいに森の方に入って行ってから大分経つな……トイレにしては長いし……何かあったのだろうか……


(サクヤ、その生徒はどうした?)


『……森に入ってから逆方向に歩き迷子になってますね』


(……まじか……仕方ない……迎えに行くか……サクヤ、案内頼んだ)


『分かりました』


「……探しに行くか、皆さんはここで残っててください。」


俺はそう言い生徒を探しに行こうとすると……


「私も行きます。一人だと心配ですので。」


「私も行く」


「……私も」


とおじさんの先生と双子の女生徒がそう言ってくる……別に俺一人でもいいが……心配なんだろうな……迷子になられたら勘弁だが……俺に付いてくるだけならいいか……


「……いいけど、別れて探すと迷うかもしれないから付いてこい」


そう言い俺達は森の中に入って行った

そしてサクヤに案内されながら森の中に入って数分した頃


「あの……付いていくだけで大丈夫なんですか?手分けして探した方が」


おじさん先生が話しかけてきた、俺にはサクヤが居るからな、迷ったりしないし大丈夫だが……まぁ知らない人から見たら適当に歩いてるようにしか見えないよな……


「大丈夫だ、俺はこの森に詳しいから、大体迷いそうな場所は知ってる」


「そうですか……」


俺がそう説明するとおじさん先生は不安そうに返事する


『もうすぐ生徒が居る場所です。』


不意にサクヤの声が頭に流れてくる

結構早くに見つかりそうだな……俺はサクヤに案内されながら歩いて行くと一人の男子生徒を見つけた、その男子生徒に俺が近付き声をかけようとした途端


『白夜様、大量のスライムに囲まれています』


サクヤに突然話しかけられた。

俺はそれに答えようとした途端、スライム達が森のや草木から顔を出し始めた、男子生徒に声をかけようとしていたおじさん先生や双子の女生徒、迷子の男子生徒がそのスライム達を見て驚いて固まっていた


『この量のスライムは異常ですね……スライムの縄張り……ではありませんね……』


(そうなのか……)


『はい、スライムは普段は温厚で襲っては来ませんが……ですが』


(……サクヤ、少し待ってくれ)


そんな風に話してる間にもスライムの数は増えていき俺達を囲んでいく……まずは他の人達を安心させないと……


「珍しいな、こんなにスライムが居るなんて……まさかスライムの縄張りか……?」


俺は他の人達を安心させる為に声を出した


「落ち着け……スライムは余程運が悪くない限り襲ってこないし、襲って来ても対して痛くない……だから安心していい」


そう言った途端、突然顔に柔らかいボールがぶつかった様な感触がした……地味に痛い


「痛っ!地味に痛い!えっ……ちょっと待って、何!?何!?」


俺は突撃の感触に驚いているとその感触が別の場所にも来た……何回も何回もその感触は俺に来て、数分すると俺は何かぬるっとした物に全身を包まれた……息苦しい……ぬめぬめしてて気持ち悪い……何か臭い……おえっ……

そんなものを味わっていると徐々にその感覚が消えていき、数分ほど経つとその感覚はすべて消え、体の至る所に付くぬめぬめだけが残っていた……


「……」


何だったんだよ……あれ……なんか凄く気持ち悪い……どっと疲れた……


「あの……ぶですか?」


誰かが俺に声をかけている……誰かは知らないが俺は疲れたんだ……俺は疲れたからその場で座った……


『話の続きですが……今囲んで居るスライムは魔力を食べるスライムで全員極度の魔力不足で魔力が一番多い人を襲ってくると思います……ですので白夜様は襲われるかと……』


とサクヤが話しかけてきた……


「魔力を食べるタイプのスライムが……魔力不足で群がってきて……俺の魔力を食べに来た……そうか……そうなのか……」


『はい、ですが魔力以外は何も食べませんので、安心してください。』


「魔力だけで他は何も食べないから安心だって?はは……そうか……そうか……」


とサクヤは俺を慰めてき……何というか……魔力以外にも気力とか何か色々吸い取られた気がするが……気のせいなんだろうか……?


『……今回のは例外ですが……本来スライムは無害ですので安心してください』


「スライムは無害……スライムは無害……よし、大丈夫、安心してくれ、スライムが魔力不足で俺の魔力を感知して食いに来ただけらしいから……うん、大丈夫、俺は大丈夫」


俺は落ち着いて他の全員に今の状況を説明した


「とりあえず迷子も見つけられたし王都に向かうとするか……その前に服を着替えたいから……ちょっと待っててくれ……」


と俺はとりあえずこのぬめぬめの服をどうにかする為に森の奥に入って行った

そしてある程度離れた場所で俺は服とタオルを創造し体を拭き服を着替えた

しかしどうしてスライムは襲ってきたのだろうか……サクヤは例外と言ってたが……


(サクヤ……さっきスライムが襲ってくるのは例外と言ってたがどうしてなんだ?)


俺はサクヤに聞いてみる事にした


『はい、それはこの辺りに近々ダンジョンが出来るみたいだからです。』


(ダンジョン……だと)


『はい、ダンジョンです。』


昔サクヤから聞いたが……ダンジョンはいつ何処で出来るか分からず見つけるのはかなり大変で運が無いと見つからないと言われてる、そのダンジョンが出来るのか……?


『どうやらダンジョンコアがダンジョンを作る過程で周りの魔力を吸い、辺りが極度の魔力不足になっているみたいです。まぁ、ダンジョンが出来たら元通りになりますので特に問題はありませんよ、スライムも先程白夜様から魔力を沢山吸い取りましたのでまたスライムに襲われる事は無いですよ』


(そうか……はは……)


『白夜様、どうかしましたか?』


(いや……何でもない……)


『……そうですか』


(そろそろ戻るか……)


俺はサクヤとの雑談をやめ、先程の場所に戻り、他の三人と合流した……全員から何故か同情した目で見られていた……

そして合流後、俺達四人で休憩している場所に戻る為に歩き出した

戻る道中、誰も俺に話しかけず気まずい空気が流れていた……


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