わからない
僕は、今日アルバイトをやめた。
だから今日もこうして。夕日を眺めている。
バイト先で、僕がミスをし、
店長にこう言われた。
「お前はバンドもやめて、うちにも迷惑かけるクズなんだから。もっと真面目にやらないと、クビにするぞ。なんならこっちから切る事はできないから早く辞めてくれ。」
そして僕は今日をもって、バイトに行かなくなった。
なんであいつにクズと決め付けられなければいけないんだろう。何故あいつに辞めさせられなければ行けないんだろう。そうか、僕はクズだった。
夕日が落ちると、また1歩歩き出した。
時刻は19:30過ぎ。
僕は、また公園の前で足を止めたが、
すぐに走り出した。
少女が前と同じようにブランコに座ってるのだが、どうも様子がちがう。
周りに数人、人がいるからだ、
しかも、片手にはカミソリを持っている。
僕は気づいた。いじめの現場を
目撃してしまったのだと。
走って考えた。僕が目撃してしまったのだと。
してしまったと思ったことを。
少女の前に立ち、こう言った
「お前らこんなことが許されると思うのか?」
「おい、なんかやべえのが来たぞ、彼氏か?逃げるぞ!!」
おそらく少女の同級生達は逃げていった。
年齢差というものは怖いもので、年上は怖く見えたのだろう、素直に逃げてくれたからよかった。
カミソリ相手じゃ僕も歯が立たない。
「おい、大丈夫か?」
少女は泣いて怯えている。
僕が頭を撫でてやることしか出来なかった。
「ごめんなさい」
少女は、泣きながら謝った。
「なんで謝るんだよ。」
「もう疲れたよ。お兄さん死にたいよ。」
「なら一緒に死ぬか?」
僕は、あいつらが
落としていったカミソリを少女に渡した。
少女は、カミソリを手首の動脈に当て。
泣きながら目を閉じた。
数分そのまま沈黙が続いた。
僕は、少女の腕を掴んだ。
「私達は、生きる資格も無ければ死ぬ資格もないんだ。」
少女はそう言い放った。
「お兄さん、ありがとう。今日はお陰で助かったよ。じゃあね」
と言い残し帰っていった。
僕が言葉の意味を考えてるうちに、
消えていった。
僕は、人1人を救ったのか
それとも、壊してしまったのかわからなかった。
なぜ、一緒に死のうとしたのか。
なのに、なぜ、少女をとめようとしたのか。
それも、わからなかった。