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そのへんのダンジョン  作者: どっすん権兵衛
第三章 広がるダンジョン
34/48

33 石版

 

 《笠木詠介視点》


「大丈夫? 怪我してない?」


「……おー、そっちこそ」


 白河の手を借りてなんとかロックドラゴンの残骸から這い出てきた。


 ……なんか最後にチラリと見た限りとんでもないことしてなかったか、お前。

 軽く睨むと白河は明後日の方を向いて口笛を吹く真似をしている。白々しい!


「まあ倒せたんだしいいじゃん! ホラ、なんかあるよ!」


 そんなんでごまかされないぞ……と思いながらもそれを見る。

 白河が手に乗せて持ってきたのは1円玉くらい大きさの赤い石だ。ロックドラゴンのコアのかけらか何かか? 武器以外のドロップアイテムは初めてだな。


『魔撃の竜石 【魔撃】を会得できる』


 おお……スキル習得アイテム! こんなのあったのか。

 爪で俺をゴムボールみたいに吹っ飛ばしてくれたスキルだな。【魔矢】(マジックアロー)の援護と【魔盾】があっても凄まじい衝撃だった。


「【魔撃】スキルを覚えられるらしい。これ、貰っていい?」


「接近戦用でしょ? もちろん!」


 どうやって使うんだコレ。スクロールは手を置くだけだったが……とりあえず手に握って集中する。……ダメだ。


 うーん、飲んでみるか……

 ダメだったら喉に指突っ込んで吐こう。そしてその後白河に飲ませてみよう。あ、白河がなんか嫌そうな顔した。以心伝心だな。


 口に放り込む。うむ、ちょっとデカイ。海外のサプリメントでこのくらいデカイやつがあったな。

 苦労しながらようやく嚥下すると食道を滑り落ちながら熱くなっていった。あ、やばいかな、と思う頃には熱が消えた。


 ===================

 笠木詠介 探検家

 レベル 23 MP 92 / 120 SP 47

 気配察知Lv3 剛力Lv2 頑健Lv2 敏捷Lv4

 軽業Lv3 体力Lv2 罠感知Lv1 魔法耐性Lv1

 回復Lv2 隠密Lv1 加速Lv1 不惑Lv1

 魔撃Lv1

 解錠 魔手 雷掌

 瞬動

 ===================


 よし、ちゃんと覚えてるな。

 ……というか、レベルかなり上がってるな。しばらく微動だにしてなかったのに。さすがレベル34。

 スキルが盛りだくさんになってきた。いくつかのスキルは自然上昇してるみたいだし、俺も順調に人間辞めてきてるわ。


【不惑】とか勝手についてるし。……これはちょっとなあ。心を勝手に弄られるようで、気持ち悪い気もする。

 考え過ぎか……精神攻撃耐性くらいで考えておくか。


 ===================

 魔撃:

 MPを使い近接攻撃を大幅に強化する

 ===================


 大体思っていた通りの効果のようだ。攻撃力不足を悩んでいたところだったので、こいつはありがたい。


「覚えられた?」


「ああ、今日はあと階段だけ見つけて帰ろう」


 広間を進むと通路があり、その奥で階段はすぐ見つかった。そして、休憩室もあった。このフロアにはないと思ってたのに、意外だ。



 ダンジョンの様相は地下6階から変わったが休憩室は今までの通りのようだ。魔法陣と石版が俺たちを出迎えた。……トイレもな。


「よし、ここから帰ろう。でもその前に……」


『原初の迷宮』を攻めているのは構築者と連絡を取るためだ。

『より深くへ』

 構築者からのメッセージにはそう記されていた。地下5階より深いここならあるいは……


「……連絡を取るとして……どうすればいいと思う?」


 俺はスマホを取り出しながら白河に聞いた。構築者が白河のお父さんなら、なにかいい案が浮かぶかもしれない。

 白河はうーむ、と腕組みした。……俺の真似か?それ。


「メッセージは? ……ダメみたいだね。それじゃあ…… そういえば、この黒い石版みたいなのってなに?」


「これはショップ……」


 俺は言いかけて、はたと気付く。


 ショップのメニューを表示するだけのものだと思い込んでいたが、よく考えたら『ダンジョンアシスタント』アプリにショップ機能があるため、いつもそちらを使っている。

 この石版は最初以来触っていないが、アプリにある機能を使うためだけにこんなものを設置するだろうか。


 石版に触れてみると、項番つきでメニューが表示された。が、以前と違う。


 ===================

 ダンジョンシステム

 管理端末メニュー

 ユーザー 笠木詠介 AP 73

 1. ショップ

 2. コンタクト

 3. アップグレード

 4. 権限付与

 ===================


 むむ、む、む。

 石版に追加機能があったとは……盲点だった。


 とりあえずはやはり2かな。2をタップ。

 画面が切り替わる。


『現在接続できません』


 ……そう上手くはいかないか。

 期待の眼差しで見つめていた白河も露骨にがっかりしている。

 だが、やはりもっと深層からならこの石版でコンタクトを取れるかもしれない。今はそれでよしとしよう。


 他のメニューも見ておきたい。

 ショップはいつものだろうし、3をタップしてみる。


 ===================

 アプリインストール 済

 ステータス 済

 ・魔法習得数増加 10AP

 マップ 済

 ・転移機能 済

 ・占領機能 20AP

 インベントリ 済

 ・収納数増加 10AP

 ・総重量増加 10AP

 アナライズ 済

 メッセージ 済

 データベース 20AP

 ===================


 アプリのアップグレードか。機能を追加でインストールできるのだろうが、ほとんど済みになっている。

 APが何か分からないのでちょっと怖いが、データベースは気になるな…………えいっ。


 押してしまった。

 アプリが一度終了し、以前と同じようにアップデートが始まる。


 再起動するとデータベースの項目が追加されていたので開いてみる。画面端にマイク型のアイコンがある以外にはなにもなかった。


「これは……音声認識か。質問しろってことかな?」


 マイクボタンを押して白河の方に向けると、一瞬戸惑った後はっきりと発声した。


「構築者について、教えて」


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