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マギカ・バトラーズ~1500年後から始めます~  作者: 雪沢 泉
Act.1 『第二マギカ学園での日々』
8/45

マギカ7 授業続き







戦闘終了。結果は俺の勝ち、先生は素直に負けを認めた。というか、最初から勝つつもりじゃなかった感じがする。



「シロくん!」


「ティア、預かってくれてありがとな。」



ティアから何時もの魔導義手マキナ・アームズを受け取り、付け替える。



「それよりも! 急に投げたら、びっくりしちゃうよ。」


「そうか、それは悪かったな。ごめん。」


「分かればいいよ、次は気を付けてね。」



ティアは笑顔で許してくれた。うん。次は気を付けよう。



「とまあ、こんな感じで、シロはかなり強いから怒らせんなよ。殺されるかもだからな。」


「………先生。流石に殺しはしませんよ。」


「そうです先生! シロくんに失礼です。」


「はっはっは。そうだな、すまん。すまん。」


「やり過ぎても半殺し程度ですね。」


「半殺しもやり過ぎだよ!」



ティアの言葉に、内心そうなのか? と思ってしまう。治しはするから、そこまでひどくないと思うんだけどな。



「ま、とりあえず、残り時間は好きに組んで対人戦闘でもなんでもしてろ、適当に見とくから。」



それでいいのかと思ったが、各自適当に組んで戦闘訓練を始めたので、俺も適当にやる事にする。



「手加減してくれるよね? 絶対だよね!?」


「なにも、涙目にならなくても………ちょっとした武術を実践形式で教えるだけだから。」



涙目になるティアをなだめながら、ちょっとした武術を教えていく。武術といっても、魔導銃マキナ・ガンを持っている事を想定した、近接銃術の一種だ。



「いいか、銃士は懐に入られると、途端に弱くなる。それを改善するために生まれたのが、ライレア流銃術だ。」


「ライレア流銃術…………聞いた事があるような? ないような…………」



ライレア流銃術。


開祖ライレアが生み出した、完全近接銃術。銃を使いたいが、近接の方が強いという変な少女に頼まれて、トンファーと銃を合体させた武器を作ったのが始まり。(弾丸を飛ばすんじゃなくて、ほぼ砲撃のほうを使ってたけど)


近づけば、トンファーを使った武術に加え、砲撃をされ、離れれば異様なほど正確な射撃をしてくる。


気がつけば、沢山の弟子がいるという状態。ちなみに、トンファー銃だけでなく、他の銃での武術も確立された。


にしてもあんにゃろう。弟子ができる度に俺に武器作成を頼みやがって。



「とりあえず、基礎からな。」


「うぅ………お手柔らかに。」











「おーし、授業終わり。次は魔導機器マキナ研究科は〈魔導機器マキナ制作室・2〉に、戦闘科は〈実戦室・4〉に集合。そこの先生に従え、混合科は好きな方に行け。」



今回は魔導機器マキナ研究科の方に参加しようかな。


にしても…………


へたりこんでしまったティアを見る。そんなにきつかったかな? まぁ、最後のほうにはかなりできるようになってたし、今度本格的に教えればかなり強くなるだろうな。



「うぅ…………もうへとへと………」


「次は魔導機器マキナ作成だな!」


「なんか、実戦より嬉しそうだね。」


「まぁ、作るほうが好きだな。」



元々、身体を動かすのは得意ではなかった。しかし、武器を作るうちに、わざわざ試してくれる人を探すより、自分で試したほうが早いと考え、鍛えることにした。それが、俺が戦闘技術を身に付け始めた始まり。


その結果が、あの無駄に個性のある友人達と知り合えたのだから、いいことだとしよう。にしても、あの友人達の事だから、幽霊になってまだこの世界にいそうだな。



「よっし、行くぞティア。」


「うん!」



ティアと二人で、〈魔導機器マキナ制作室・2〉に向かう。中に入ると、Sクラス以外の生徒もいた。そして、口をへの字に曲げたお婆さんが一人。あの人が、ここの先生かな?



「それじゃ、始めるよ。先ずは、魔導機器マキナを一つ作ってごらん。始め!」



突然始まった魔導機器作成の時間。戸惑いながらも、魔導機器を作り始める学生達。何人かは、直ぐにイキイキとした顔で作り始める。


さて、俺も横であわあわしているティアをなんとかしてから、作り始めるかね。



「ティア。」


「ど、どうしようシロくん、何作れば………」


「簡単でいい。失敗したっていい。自分が一番作りやすい物、一番作りたい物でもいい。作ってみろ。」


「シロくん…………うん。分かった!」



ティアが作り始めるのを確認して、俺も作成を始める。こういう時に作る物は、子供の時から決めている。


作る物は、基礎の基礎の基礎、いや、もっと簡単なものだ。使う回路はたった一つ。大きさは掌に乗る程度。実用性皆無。他に作る人はおそらくいないだろう。それでも、これは譲れないものだ。











「ふむふむ。まぁ、こんなもんかね。」



見ていて分かるが、あのお婆さんそうとう厳しいな。俺からすれば、あれだけ出来ていれば十分だと思うんだが。



「ふぅ、今度はアンタだね。」


「は、はひ!」



ティアの番になったようだ。ティアが作ったのは、小さい箱。おそらくだが………



「ほう。冷蔵庫かい。」


「は、はい。得意だったので………」


「なかなか上手くできてるじゃないかい。ただ、すこし冷気が弱いね。これから日々精進だよ。」


「はい!」



やっぱり冷蔵庫だったか。にしても、筋がいいな。魔導機器作りも教えてやるか。



「最後だね。……………ほう。噂の天才かい。アンタが作ったのは…………ん? なんだいこれは?」



俺が作ったのは、少し膨らんだ袋のような物。



「魔力を込めると、暫くの間温かくなる魔導機器です。」



そう言うと、周りからクスクスとした笑い声が聞こえてきた。まぁ、そう思うよな。でも、これだけは譲れないんでね。



「がっかりだよ。こんな…………!? アンタ、これは!」


「どうかしましたか?」


「…………いや、なんでもない。」



そんなこんなで授業は終わった。そして、次の授業に向かうため、教室に戻る最中。ティアが話しかけてきた。



「シロくん。なんでアレだったの? シロくんならもっと凄いのが作れるハズなのに。」


「ん? まぁ、願掛けみたいなものかな? 始めての環境。もしくは、始めて会った人に『何か作ってみせてくれ』と言われた時に、あれを作る。だいたいの人は『こんなものか』とバカにする。」


「じゃあ、なんで?」


「“始まり”だからな。」


「“始まり”?」


「そ、“始まり”。」



俺はティアに、昔話をすることにした。






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