マギカ5 シロの正体と研究所
「おーしお前ら、四人一組になったな。んじゃ、校内の案内するから、ついてこい。」
担任のデューク先生に案内されて、校内を歩いて行く。さてさて、最初の部屋は何処かな?
「先ずはここだ。ここは、〈魔導機器制作室・3〉だ。名前の通り、魔導機器の作成を行える教室だ。3とある通り、同じような制作室が後、4つあるぞ。」
「はい! 休み時間とか、休みの日に自由に使ってもいいですか?」
「おう。使え、使え、早い者勝ちだから、使いたかったら、早めにとっとけよ。んじゃ、次だ。」
再び先生について、歩いて行く。次についたのは、混合科が実技の試験をやった場所だ。
「ここは、〈実戦室・2〉だ。ここも制作室と同じく、同じような実戦室が後、4つあるぞ。んで、ここで出来るのは、魔導武器の試しや、対人訓練が出来るぞ、ここも自由に使えるが、誰か先生に許可をもらえよ。」
そんなこんなで、先生について他の教室、職員室や、校長室、等々色々案内された後、寮に案内された。この時気づいたが、この学園、全寮制だったんだよ。まぁ、いいけど。
寮は、男女別で、二人一部屋。出来るだけ、さっき組んだ四人メンバーで組めと言われたので、アルノと同室になった。そして、今日はこれで終わり。消灯時間の二十二の刻まで、自由という事になった。
「という訳で、これからどうする?」
俺、ティア、アルノの三人は、アリカの言葉に目を合わせる。そうは言われても、どうしよう? なんか魔導機器でも作るか? いや、それなら研究所行ったほうがいいな。
「そうだな、どうするか………」
「そういえば、シロって魔導技師?」
「そうだが?」
アリカの言葉に正直に答えると
「それなら、私達の武器作ってくれない?」
「まぁいいが。それなら、研究所のほうがいいな。」
「研究所? なんの事ですか?」
「俺の研究所。」
ティアが不思議そうに聞いてきたので、分かりやすく言う。ん? 分かりやすい? まぁ、いいか。
「なんでその歳で研究所持ってるのよ。」
「まぁ、ちょっとな。」
「あの、一つ思い出した事があるんですが。」
先程から何か考え混んでいたアルノが、声をかけてきた。
「隣国のガスタール帝国で見つかった遺跡にあった設計図に、シロ・アルブラスターって書いてあったって、話を聞いたのを思い出したんですけど…………」
遺跡? 第二研究所か、第三研究所あたりかな? そんな事を思っていると、三人が此方をじっと見ていた。さて、別に俺の事を言うのはいいが、ここじゃなんだし、実際に見てもらうか。バッグからドアを取り出す。驚かれた。魔力を流し、扉を開く。無事繋がっているので、三人を誘って中に入る。
「おかえりなさいませ、シロ博士。そちらは、お客様ですか?」
「あぁ、俺今学園に通っててな、そこの友達。」
「成る程。皆様、私はシロ博士によって作られた、魔導自動人形。NO.00 セロアでございます。」
「あ、えっと、ティアです。」
「あ、アリカよ。」
「アルノです。」
「ティア様、アリカ様、アルノ様ですね。」
さて、セロアの自己紹介も終わったようなので、本題に入る事にする。
「んじゃ、改めて自己紹介するわ、そこのセロアの製作者で、1500年前は研究者をやっていた。シロ・アルブラスターだ、宜しくな。」
そう言うと、ポカンとする三人。だよな、そうなるよな。
「待って、1500年? ど、どうやって?」
「コールドスリープ装置作った。」
「凄い………」
「まぁ、シロくんは、シロくんですし、いいでしょう。」
「そうよね。それに、ここには武器があるわよね?」
うん。と頷くと、三人共目を輝かせた。はて? どうしたのだろう? 俺が小首を傾げていると
「1500年前といえば、古文書では魔導技巧科学が一番進んでいた頃なんだよ! シロくんがどれくらい凄いか分からないけど、それでも今の武器よりは強いハズ!」
「マスターは、凄いどころではありませんよ。魔導技巧科学の天才。神が作った魔導自動人形等々、各国から引っ張りだこでした。」
「「「本当に!?」」」
「確かに勧誘はウザいほどあったけど………」
そこまで凄かったのか、俺? 正直ずっとぼっちだったから、よく分からん。とりあえず、三人を武器庫に案内する。そういや、ここはまだ見てなかったな、どうやら劣化してないようなので、良かった。
「シロ! これは何?」
アリカが持って来たのは、三日月変刃。俺が作った魔導武器の中でも、かなり癖のある武器だ。見た目は、まんま銀色の三日月。円の一部と考えると、弧にあたる部分が刃になっており、内側に持ち手がついている。真ん中で二つに分けられ、双剣になったり、回転させながら投げる事で、ブーメランのように戻ってくる武器にしたり出来る。変幻自在の武器だ。そう説明すると、練習したい! と言い出したので、訓練室に案内する。訓練室では、使う武器の説明や、使うコツを教えてくれる。まぁ、使い手を選ぶ武器もあるけど。
「シロくん、これはなんですか?」
アルノが持って来たのは、双砲剣。見た目は普通の双剣だが、剣の真ん中に砲筒があり、柄にあるボタンを押す事で、砲筒から砲撃する事が出来る。ただ、砲撃の際に魔力を込めすぎると、自分にまで被害がくるし、少なすぎると使えない。これも使い手を選ぶな。そう説明すると、練習したい! と言い出したので、アリカと同じく訓練室に案内した。
「シロくん。これ何かな?」
ティアが指差したのは、魔導狙撃銃。超遠距離を攻撃できる武器で、かなりの自信作だ。弾丸を込めて撃ち出せるのは勿論、魔力を弾丸に変えて放つ事もできる。これは、是非ティアにオススメしたい。ティアの持つ『治癒』属性は、相手に触れていないと使えない。しかし、この武器は魔力を弾丸に変えられる。つまり、触れずに相手を回復させられるのだ。そう説明すると、使いたい! と言ってくれた。ただ、これは接近し過ぎてると使いづらいので、魔導銃も渡しておく。
「いいわねコレ、気に入ったわ!」
「近・中距離武器ってのは、使いやすいんですね。」
「狙撃って楽しいね。」
コイツら適応力すげぇ。完璧に使いこなしてやがる。魔導技巧科学の技術は劣化したが、人間の強さは上がってるのかな?