マギカ3 試験
変な人に学園に入らないかい? と、言われた後、道端ではなんだからという事で、近くの喫茶店に入った。
「さて、先ずは自己紹介からだ。私の名前はローレック・バルトラ。第二マギカ学園の学園長だよ。」
フードの下から現れたのは、整った顔をした、青い髪に同色の瞳をした女性だった。にしても、いきなりトップの人が来るってどうよ。
「俺の名前はシロ・アルブラスターです。」
「シロ・アルブラスター? どこかで、聞いた事があるような名前だね。」
「そうですか?」
はて? 1500年もたってるし、俺の名前を知ってる人なんていないと思うんだが、似た名前の人がいるのかな?
「さて、本題に入ろうか。君の右腕のソレ………もしかして、魔導義手かな?」
「そうですけど?」
「君はソレのメンテナンスが出来るかい?」
「出来ますけど?」
「ふむふむ。」
? 魔導義手のメンテナンスが出来るからなんなんだ? まぁ、1500年前もメンテナンス出来る奴少なかったし、珍しいのか?
「魔導技師としての腕は一流。戦闘能力もずば抜けている…………やはり、君には是非第二マギカ学園に来て欲しいな。」
「具体的には、何やる所なんですか?」
「二つ科があるんだけど、先ずは、魔導機器研究科、この科は主に魔導機器の研究と、制作をやるんだ。次に、戦闘科、魔導機器を使った戦闘について研究したり、実戦したりする科だよ。ちなみに、両方受ける事も出来るよ。そして、二年間勉学に励んでもらう。」
「ふーん。」
入れば、1500年の間に新たに考えられた技術とか知れそうだし、何より友達が出来そう! ここが一番重要だ、1500年前はこの大陸に学園は無かった、なので通えなかったのだが、今はある。これは通うしかないでしょ。
「おっと、一番重要な事を忘れてた、入学試験は明日だよ、東区にある学園で七ノ刻から始まるよ、通うつもりなら、遅れないようにね。後、君年いくつ?」
「15才です。それと、試験は受けます。」
「本当かい!? 嬉しいね、じゃ、推薦状書くから。」
さらさらと、推薦状に署名したローレックさんから、推薦状を受けとる。学園の門で止められたら、これを見せたらいいらしい。
ローレックさんにおすすめの宿屋の場所を聞いて、別れる。宿の名前は“青鳥”といい、この大陸ではよく知られた宿で、支店がたくさんあるらしい。俺が泊まるのも、支店だ。宿屋の代金は、バル銅貨五枚。ここに来る前に、虎の魔獣の素材を売ってお金を手にいれていたので、難なく泊まる事が出来た。
◇
「ここが、第二マギカ学園か。」
現在は朝の六ノ刻。場所は、第二マギカ学園の門の前だ。見た目は、1500年前に、写し絵で見せてもらった学園に似ている、しかし、大きさはその倍くらいだ。まぁ、とりあえず、中に入りますかね。
「君、悪いがこの先は受験生しか━━」
「これでいいですか?」
「む!? これは推薦状…………しかも、学園長の署名!? よ、よし、試験会場は中の受付の者が教えてくれる。」
「分かりました。」
推薦状のおかげで、問題なく中に入れた。中の受付で試験会場を聞く。どうやら、魔導機器研究科、戦闘科、そして混合科(研究科と戦闘科、両方を受験する場合の科。)に別れて試験会場があるらしい。とりあえず、混合科の試験会場に向かう。
「ここか。」
だだっ広い部屋に、数人の………おそらく受験生である同い年くらいの人達がいた。混合科は人気ないのか? ぼーと、していると七ノ刻になった。すると、向こうの扉から数人の大人が出てくる、教師かな? お、学園長もいる。
「皆さんおはよう。私はこの第二マギカ学園の学園長です。さっそくですが、試験内容は、混合科という事で、魔導技巧科学及び、魔導機器に関する筆記試験。そして、この場にいる教師との模擬戦による、実技試験です。皆さん、頑張ってください。」
学園長の話が終わると、教師の一人に案内されて、筆記試験用の部屋に案内される。筆記試験用の紙が配られ、全員に行き渡った後、一斉にスタートする。
さてさて、どんな問題かなーっと。テストの内容は、マギカの専門用語を回答する問題や、魔導機器の設計図を完成させなさい、等々だった。うん。楽勝だな、1500年前の知識が通用すればだけど……………
三十分もかからず終わってしまった。とりあえず、見直ししよう。
~三十分後~
「そこまで。これにて、筆記試験を終わります。案内の教師について、実技試験の場所に移動してください。」
再び教師に案内されて歩く。にしても、実技試験か…………何使おうかな? どんな魔導機器を使おうか悩んでいるうちに、実技試験会場についた。どうやら、訓練施設みたいだが、何やら揉めている。
「いくらなんでも、駄目です!」
「ガハハハハ! 安心せい、殺しはせんよ。」
「そういう問題じゃありません!」
なんだあのガタイのいいおっさん。にしても、なかなかいい魔導鎧を装備してるな、おそらくだが、強いほうだろう。
「お、おい。あの人、魔導騎士団団長の、ガルドラさんじゃないか?」
「嘘だろ?」
へぇー、ガルドラって名前なのか。一応覚えておこう。
「ガハハハハ! ワシが試験官を務める。誰からでもいいぞ、かかってこい! 勝利条件は、ワシを気絶させるか、枠から出すかだ! 負けたからといって不合格にするわけではないが、不甲斐ない戦いをしたら、不合格だぞ。」
おっさんが呼び掛けるが、皆な動こうとしない。びびって動けない奴が殆どだが、様子見してる奴がいるな。まぁ、誰も行かないなら、行かせてもらおう。一人前に出る、おっさんが此方を見て不適に笑う。
「先ずは、お前からか。それで、武器は何を使う? あそこにあるぞ。」
おっさんが顎で示した場所には、魔導武器が幾つか置いてあった。ふむ、ハンデとして使ってもいいが。ここは、安全にいこう。
「武器は…………コレですね。」
「…………ほう。」
右腕を差し出すと、周りから小さな笑い声が聞こえる。素手で勝てるとは思えないのだろう。まぁ、手袋してるせいだな、本当はそこらへんの魔導武器より強いが。
「ならば、ハンデとしてワシも素手で戦ってやろう。」
「そうですか。後悔しないでくださいね。」
身体強化と、電撃による肉体活性を行い。正面から右ストレートを放つ、しかし、直ぐに反応したおっさんが、左右の腰にさしていた二つの魔導剣をクロスさせて、受け止めた。
「ぬぅ。素手ではなかったか、ワシもまだまだだな。」
「受け止めましたね?」
「む?」
予めセットしておいた、『衝撃』の属性凝縮液の効果を発揮させるため、魔力を流す。
『キィィィィィィィィィィィン』
「何っ!?」
『ドンッ!』という音とともに、おっさんが吹き飛び枠を越えて地面に着地した。よしよし、これで俺の勝ちだな。
「むぅ。負けてしまったか。」
さて、やることはやった。後は、結果を待つとしようか。
学園編はいりましたー。