表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギカ・バトラーズ~1500年後から始めます~  作者: 雪沢 泉
Act.0 『1500年の時』
2/45

マギカ1 おはよう&行ってきます









目が覚めた。


意識がハッキリしていくにつれ、自分が何者なのか、何をしていたのか思い出す。どうやら、コールドスリープは成功したようだ。とりあえず、立ち上がるが、ふらつく。まぁ、長い間眠っていたから仕方ないか。ふらつくままに、衣服を着る。そして、部屋から出た。どうやら、侵入者とかはなかったようで、研究所はそのままだった。



『おはようございます、マスター。』


「おはようセロア。俺がいない間、何かあったか?」


『第一研究所には何もありませんでしたが、第二~第八研究所には、何者かが入り込みました。おそらく、何か持ち出されたかと。』


「そうか…………まぁ、大研究所と、第一研究所が無事なら一先ずいいか。それで、50年間で、どこかの国がなくなったりとか、なんか重大な事はあったか?」


『いいえ』


「50年もあったのに、何もなかったのか?」



おかしい、50年もあれば小国の一つぐらい無くなってるハズなのに。そんな俺の思いを裏切るように、セロアはとんでもない爆弾を落とした。



『1500年です。』


「は?」


『マスターがコールドスリープに入ってから、1500年の月日が経ちました。』


「はぁーーーー!? 嘘だろ!? 俺はちゃんと、50年後に起きるように設定して…………って、あ!」



しまった、重大な事を忘れてた。星竜脈魔素転用計画スターエネルギー・プロジェクトの際に起きる魔素嵐の事考えてなかった! ミスったぁぁぁぁぁぁぁ!


どうやら、俺もセロアも、魔素嵐の干渉によるコールドスリープ装置の誤作動の事をうっかり忘れていたようだ、まぁ、爆発とか電源が切れたりとかしなくて良かった。



「にしても1500年か……………もう俺の知り合いはいないだろうな。」


『はい。考えられるとすれば、竜種でしょう。』


「だな、まぁいいや。新しい人生を歩む気分でいくとするよ。っと、セロアのデータを元の場所に戻さないとな。」



直ぐに、魔導機器を操作して、セロアのデータを魔導自動人形マキナ・オートマタに移す。カプセルから出て来たセロアは、相も変わらず無表情だった。



「よし。そういえば、第二~第八研究所は、侵入者がいたんだよな。」


「はい。」


「という事は、他の自動人形オートマタは、全員持ち出されてるよな。」


「でしょうね。」


「だよな~。まぁ、回収するのも面倒だし、暫くは放置でいいだろ。」


「分かりました。それで、マスターはこれからどうするおつもりですか?」


「ん? とりあえず、旅にでも出るかな。セロアはここに待機しててくれ、たまに帰ってくるから。」


「分かりました。」



という事で、旅の準備を始める。とりあえずの目標は、近くの町に行って、今の世界の情報集めかな。持ってく物は、空間拡張機能をつけたバッグと、リキッドホルダー、それにいくつかの金属インゴットに、戦闘用の魔導義手マキナ・アームズを幾つか。とりあえず、こんなものでいいかな? そうだ、魔導義手の調整しないとな。


自分の右の二の腕を左手で掴み、取り外す。俺の右腕は義手になっていて、肘から先が外れて、他の義手と取り替えられるように出来ている。普段は生活用の義手にしているが、それでもそこいらの魔導武器マキナ・ウェポンよりは、色々と機能を付けているので強い。まぁ、戦闘用はもっと強いけど。


調整を終えたが、殆どが調整の必要がなかった。保存方法に自信はあったが、1500年ももつとは驚きだ。


続いて、-100℃の冷気で満たされた魔導機器から、属性凝縮液エレメント・リキッドを取り出す。属性凝縮液エレメント・リキッドの説明をする前に、この世界の人々は、多かれ少なかれ魔力と、属性を持っている。属性は、『火』『水』『風』『土』『光』『闇』『無』等々、属性によって色々な効果を魔導機器で発揮出来る。変わり種で、『雷』『氷』や、『空間』『重力』等もある。属性を多くもっていれば、いるほど、様々な仕事で優遇される。(もちろん、使えない属性がある仕事もあるが……)ちなみに、俺の属性は、『無』と『空間』だ。『無』は身体能力の上昇とか、オールラウンドに使えるし、『空間』もなかなかいい。しかし、どちらも戦闘の補助になる程度なので、やっぱり『火』とか欲しい。そこで作り出したのが、属性凝縮液エレメント・リキッドだ、“属性石”と呼ばれる石を使って、属性を液体にして保存したものだ。これを使えば、『火』の属性がなくても『火』が使える。まぁこの液体を入れた瓶を装着できる魔導機器じゃないと使えないという欠点はあるが、自分で作れるので無問題。



「よし! 準備完了かな? それじゃ、行ってきます。」


「行ってらっしゃいませ、マスター。」



外に出るために、通路に出て外に通じる扉に向かう。さぁーて、外に出るためには生体認証がいります。まだ機能が生きてる事を願って、認証板に手をのせる。



『ピピッ! 認証シマシタ。イッテ、ラッシャイマセ。』



おおー。ちゃんと機能したな。開いた扉の先は、太陽の光が眩しくて見えない。さて、体感的には数時間ぶり、実際には1500年ぶりの外だー!


目の前に広がるのは大草原、少し前までは草がまばらの荒野だったんだけどな……………1500年の時は凄いな…………



「すぅーはぁー。ふむ、とくに何も無しか………」



どうやら、空気は綺麗なようだ。さてさて、町に向かうついでに適当に森の中に入って、魔獣を退治とかするか、1500年でどのくらい鈍ったか試さないとな…………いや、体感的には数日ぶりの戦闘だから、鈍るもなにもないかな? いや、筋肉とか衰えてるか?


森の中を練り歩いて、魔獣を探す。ちなみに、魔獣とは、魔素を過度に吸収した生き物の事をさす。まぁ、普通の獣より強いぐらいだ。(注:普通の人にとっては、脅威です。)



「グォォォォォ!」


「ん? 虎か。」



出てきたのは、虎の魔獣。強めの魔獣だが、さてどうするか………………よし、強めの奴いっとこう。義手のある回路(・・・・)に、魔力を流す。



『カシュッ!』



義手の手の甲の一部が開いたので、そこに属性凝縮液エレメント・リキッドが入った瓶を差し込み、閉じる。続いて、義手にある別の回路に魔力を流す。



『キュィィィィィィィィィィン』



「グルゥ?」



虎が俺の義手からする音に警戒するが、もう遅い。義手の準備は終わったので、次は全身に魔力を流して身体強化をする。いきますか! そのまま地面を蹴って、虎に突撃する。



「ふん!」


「グボォ!?」



拳が虎の顔面にクリーンヒットする。だがしかし、まだ終わらない。突然虎の身体が波打ち始め、爆散した。威力高すぎたな。



「一先ずはいいか。」



続いて森から出て、街道を歩いて行く。長閑だな~、今は戦争とかやってないのかな? 1500年前はしょっちゅう戦争やってたな~。んでんで、俺の事を戦争に引っ張りこもうとする奴が多かったんだよな。鬱陶しくて、引きこもったけど。そういえば、そのせいで知り合いとか殆どいなかったような………………あれ? 目から汗が………



『…………………!』



「ん?」



少し落ち込んでいたら、遠くから話し声というか、争ってるような声が聞こえたきがした。とりあえず、バッグから、遠くの音を聞き取る魔導機器を取りだし耳に当てる。



『いいか? 死にたくなかったら、その馬車に乗ってる王女を此方に引き渡せ!』


『くそ! 何故王女の事が………』


『今はおいておけ! 盗賊共、王女様は渡さぬぞ!』


『その減らず口をふさいでやるぜ! おらぁ!』


『ぐはぁ!』



おっと、どうやら盗賊に襲われているらしい。身体強化と、電撃による肉体活性を行い。全速力で声のするほうに向かう。直ぐに襲われている馬車を見つけた、馬車を守っているのは、魔導剣マキナ・ソードを持った騎士が三人。対して、盗賊は約二十人。さて、助太刀しますか。そのまま走る勢いで、騎士に襲いかかろうとした盗賊にタックルする。



「ぐぼぁ!?」


「おおー。吹っ飛んだな。」


「誰だてめぇは!」


「通りすがりの旅人だ。」



とりあえず、義手を戦闘用と取り替える。義手を取り外したら、盗賊達と騎士達に驚かれた。なんでや。



「てめぇ、なかなかいいもんもってるみたいだな! おらぁ!」



盗賊の親玉みたいなのが、魔導斧マキナ・アックスを降り下ろしてきたので、義手で受け止める。うわっ! なにこいつ、どんだけ粗悪な鉄使ってんの!? こんなんでよく戦おうとおもったな。受け止めたまま、斧を握って破壊する。



「なっ!?」


「次からは、もっといい鉄使えよ。」


「何ぃ!? ぶげらっ!」



本気出したら殺しそうなので、なるたけ手加減して殴り飛ばす。そのままの勢いで、他の盗賊達も殴り飛ばし、蹴り飛ばし、投げ飛ばす。全員無力化したので、バッグから取り出したロープで縛って、騎士の人達のところへ運ぶ。さて、あのポカンとしてる人達に、なんて言おう?






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ