「一条家」※選択肢あり
一条家→神門村の奥の方に存在した巨大な屋敷。
「お邪魔しまーす...」
玲は恐る恐る門の中へと入っていった。
どうやら、入口、塀の付近は庭園の様になっていて、中心に屋敷が建てられているようだった。
やはり中から見てもかなり広い敷地なのがわかる。軽く見ても球場のグラウンド程はあるだろう。なぜ、ここまで過剰な大きさの敷地を持ったのだろう。何か目的があったのか、あるいは主人がただ自分の地位を示そうとしたからだろうか。そんなこと玲には知る由もないが。
取り敢えず、入口から周囲を見渡してみたが、人の姿は見当たらない。あの二人は屋敷の中に入ったのだろうか。
玲は屋敷に向かってゆっくりと歩みを始めた。
それにしても、旅行ガイドにでも載っていそうな随分と立派な庭園だ。まさに自然の迷路とでも言う様で、山の木々と協調し、屋敷の存在を外部に漏らさないよう包み込んでいるようだった。あの時━━━山の上から村を見下ろしていた時もこの屋敷は目視出来ていなかった。これらによって屋敷の存在はこの村にしか伝わらなかったのだろう。
更に、長い塀のおかげで中の様子は誰にも分からなかったはずだ。外部からも内部からも見えないようにするとは、それだけ気づかれてはいけないような秘密があったのだろうか。
また玲の推理癖が働き始めていたが、歩いていた足に異変が起こりその思考は一瞬途切れた。
何かに当たるはずの足が空を切っていたのだ。「キャッ!」っと思いもよらない悲鳴を上げてしまった。
どうやら庭園の橋の板が抜けていたようだ。少し気づくのが遅れていたら、最悪そのまま下の池へ吸い込まれていただろう。
玲は口を開けたまま呆然としてしまったが、すぐ頭を振って気を切り替えた。
今度はしっかり橋を飛び越え、ようやく屋敷の前に着いた。
玄関らしい扉の前に立ってみたが呼び鈴らしきものは無い。まあ、昔ながらの建物らしいから無くても仕方ないだろう。
扉をノックし玲は声を上げた。
「すみませーん、誰かいませんか?」
少し待ったが人は出てこなかった。
玲は扉に手をかけてみた。
鍵は掛かっていなかったらしく、その扉は呆気なくスッと開いた。
玲は扉の奥へと足を踏み入れた。
パッと見て思ったことは、ここは何処かの旅館なのではないのかという事だった。
懐中電灯では照らしきれない長さの廊下と言い、障子や真壁造りといい、前に泊まった高級な旅館を思わせる。勿論、受付は無いし、家というのは分かっているのだが。
「すみませーん!」
また玄関から声を上げてみる。しかし、何も返っては来ない。
やはり、こんな夜遅くだから皆寝てしまっているのだろうか。
玲は人を探すために家の中へと入っていった。しかし、直ぐに玲の頭に不安がよぎる。
(これって、不法侵入にならないかしら...)
建物の中に入ったことで心が少し落ち着いたのと同時に、また臆病癖が戻ってきたのだろう。玲はそんな心配する必要のないことを心配していた。
取り敢えず、玲は廊下の奥へと進みながら、目に付く部屋の障子を開いてみたが、どの部屋にも人はいなかった。
(どうして...?)
今更ながら、この屋敷がおかしい事に玲は気づき始めていた。ここまで人がいないのに、どうしてこの屋敷はこの状態を保てているのだろうか。第一、この屋敷以外の村の家は全てボロボロだったはずだ。それなのにここだけが綺麗なのも妙な話だ。
廊下を歩きながらそんなことを考えていると、ふと先に何か物体が見えた。
(人だ...)
考え事を止めて、我に返って人がいることを再確認する。廊下の曲がり角を丁度曲がった先に、懐中電灯の光に照らされたその女性はいた。どうやらこちらには気づいていないようだ。というよりはその壁以外は何も見えていないようだった。
久しぶりに見た人の姿がそれだったから、玲は戸惑いを隠せなかったが、とにかく住人が居たのだ。その服装は現代的でこの屋敷には不釣合いではあったが。玲は声をかけようとした。
だが━━━
(いきなり声を掛けて大丈夫かしら...)
そう、玲は勝手にこの家に入って来てるのだ。もしかしたらその住人が驚いて逃げてしまうかもしれない。最悪、誰かに通報される可能性も捨て切れない。
と、いつもの臆病癖が働いてしまい、玲は中々行動を起こせなかった。しかし、何時までもこうしてはいられない。
(どうしましょう...)
→a.声を掛ける
b.声は掛けず、別の道に行く
最後までご覧頂きありがとうございますm(_ _)m
今回で2回目の選択肢になります。
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今回も後書きまで読んでくださり、ありがとうございました!
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