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  作者: カナリア
六ノ章
19/20

「還ラ不」※選択肢あり

 真司はその場に座り込む。

 嘘だ...そんな...

 未だに目の前の光景が現実だと思えないままでいた。

 夢で見たことが本当に起こるなんて...

 俺は...一体玲に何て言えば...

 真司は四つん這いで望の方へ近寄る。

 望はピクリとも反応しない。

「おい、望...起きてくれ!」

 真司は望の頭の後に手を回し、必死に呼びかける。

「おい、望!」

 頭を振るが、それでも望は目覚めない。

「おい...起きてくれ...」

 次第に声は弱くなり、望の額に冷たい雫と、熱い雫の両方がこぼれ落ちていく。

「望...」

 やっぱり望は...


「のぞみぃぃぃぃいいいい!!」


 つい最近あったばかりなのに、どうしてこんな形で別れなければいけないのか。

 なぜ彼女が死ぬ必要があったのか。


 自分が付いていれば...


 真司は望の身体を抱いたまま、一緒にうずくまってしまった。

 ・

 ・

 ・




 スゥ...




 真司は真っ暗な中に小さな音を感じ取った。

 ゆっくりと瞼が開く。どうやらあのまま眠っていたらしい。

 それより今の音━━━何か風が通ったような、そんな音の気がした。

 あの時の雨は止み、風も鳴りを潜めているが、そんな中で風の音が聞こえた...そんな音がする場所なんて...

 ふと真司は下の方に目を落とす。


 真司は違和感を覚える。


 望のお腹が少し動いた...?

 気のせいかとも思ったが、確かに動いている。

「まさか...!」

 真司は自分の耳を、望の口元へぐっと近づける。


 スゥ...スゥ...


 してる...

 息をしている...

 また全身の力が抜けていく。

「良かった...」

 いくら焦っていたとはいえ、自分の早とちりさが恥ずかしかった。

 望の身体はまだ温かかった、それにすらも気づいてなかったのだから。

 望は苦しそうな表情ではあったが、しっかり呼吸していた。生きていたのだ。

 本当に良かった━━━それだけが真司の心を占めていた。

 ・

 ・

 ・

 これで玲に悲しい知らせをしなくて済んだ。

「早く帰ってしまうか...」

 真司は望を背負い、来た道を引き返していく。

 徐々に道が明るくなっていく。もう夜も明けたようだ。

 地面はまだぬかるんでいるから、一歩一歩慎重に進んでいく。その度に背中が重いが、真司はその重さが本当に嬉しかった。生きている、それをしっかりと実感することができるからだ。

 しばらく山道を降りていると、また人影が見えた。

「あ、お巡りさーん!」

 凄く丁度良いことに、警官に出会うことができた。

 これで安心して山道を降りれる。


 しかし、その瞬間真司に悪寒が走る。


(まてよ...)

 おかしい...何故ここに警官が?

 玲も通報はしていなかったはずだ。それに、こんな山奥にわざわざ警官、お巡りが巡回に来るだろうか?

 そう考えると、ここに警官がいること自体が有り得ないはずだった。

 しかし、ここに警官がいる理由として、一つ当てはまることがあった。


 あの新聞の事件━━━


 ━━━バァン!!


 突然だった。

 爆竹より、数倍も重たい爆発音が林に木霊する。

「うおっ!?」

 真司は咄嗟に姿勢を低くする。

 自分の横の木から木屑が飛び散った。

 信じたくなかったが、信じるしかない。

(あれは...)


 拳銃...


 あの警官に目を向ける。

 視力には自信があったため、警官の行動がしっかりと見えた。

 その拳銃の撃鉄をゆっくりと起こしていた。

 それを確認した途端、真司は山道から外れているはずの急斜面に向かって飛び込む。

 背中には望もいるため、バランスが酷く取りずらかったが、靴を横にして何とか倒れないまま斜面を滑っていく。

 望を背負ったまま走っているのでは、間違いなく動きを補足されて射撃されてしまう。

 それならあいつの視界に映らないように移動すれば撃たれることはないはずだ。

 何とか急斜面を降り切ると、そのまま下へ下へ、道無き道を走っていった。

 ・

 ・

 ・

「くそ!やっぱり飛び降りない方が良かったか...」

 真司達は道に迷ってしまっていた。山道から外れてしまったから当然と言えば当然かもしれないが。

 それにしても、おかしいくらいに同じ景色しか見ていないような感じがする。

 今まで道に迷ったことなんてないから、どうして迷うのか疑問だったが、確かにこうして迷子になってみたらその人の気持ちがわかる。これは迷うだろ。

(何処か、外の景色が見える場所はないのか...?)

 真司は唯一、光が漏れている場所を見つけて向かっていく。


 そこからは一応外の景色を見ることは出来た。

「でもなぁ...」

 下を見ると、さっきよりも更に急な斜面になっている。多分60°位はあろうかという角度だった。

 その下には幸運なことに登ってきたところと同じ山道が視認できた。

 しかし、流石にここを降りるのは...

 望もまだ目覚めないままだし、一人で残すわけにはいかないから背中に背負ったままにするしかない。

 そんな状態でここを降りれるか...?

 でも真司には気がかりなこともある。

 さっきの警官だ。

 遠回りをするとなれば、当然あいつとの遭遇する確率も高くなるだろう。

 ただ、何もせずに待っている訳にはいかない。

 早く決断しなければ。


 どうしたものか...


 →a.急斜面を降りる

 b.別の道を急いで探す。

最後までご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

今回が6回目の選択肢になります。

自分だったらこうするなとか、こっちだと何か起こりそうだな、と言った感じで投票してくださると嬉しいです!

下のURLから投票をお願いします!

http://twitter.com/kana_narou


今回も後書きまで読んでくださり、ありがとうございました!


※追記:投票の結果、選択肢はaになりました。投票して頂いた方、ありがとうございました!

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