「狂気」※選択肢あり
死人→所謂、幽霊。死んだ人の魂だけが残っている状態のもの。
サークル...あの新聞の人達?
いや、寧ろそれしかないだろう。
やはり、あの人達は既に...
『そういえば、君は一人でここへ?』
「え?あ、そうです。」
『ふーん。もうかなり遅い時間だけど大丈夫なの?』
「まぁ...大丈夫だと思います。」
『嘘つけ。本当は心配してるだろ、帰れるか。』
帰れるかどうかの心配は無いが、確かにそろそろ帰った方がいいとは思っている。
一つ、玲達に伝えた方がいい事実も判明した。
「いえ、道は大丈夫です。でも、そろそろ帰ることにします。」
『あぁ、その方がいい。帰らなくなってからじゃ遅いからな。それに...』
それに...?
『当たり前な気もするが、なんだか嫌な空気がするしな。気持ち悪い白昼夢も見たんだ。帰り道も気をつけろよ。』
嫌な空気...
確かにそうだ。もしかしたら、この人もそれを感じ取れる体質なのか?
「分かりました。ありがとうございます。」
望はお辞儀をすると、踵を返す。
しかし、その直後だった。
***
今度は、誰かの視点になっている?
「一体、なんなんだ!?」
男の声が、荒い息遣いと共に聞こえてくる。
この声は...さっきの人?
てことは、この視点はさっきの男の人のもの?
男は全力で走っているようだ。どうやら、何かに追われているらしい。
「うわっ!?」
急に視界が大きく揺れる。
転倒してしまったらしい。
恐る恐る、後ろを振り返る。
「あっ、あっ...」
そこには、真紅の着物を着ている女が立っていた。どうやら、その染料は血のようだ。
その女がこちらを睨む。それと同時に、女の後ろから、黒い煙のようなものが立ち上ってくる。
しかし、どうやら煙ではないらしい。
それはまるで、生き物のように蠢いていた。しかも、そこにはうっすら、顔の様な模様が浮かんでいるようにも見える。
「まっ、待ってくれ!!」
その言葉を放った直後、目の前が一瞬で真っ暗になる。どうやら、さっきのに囲まれたらしい。
「くそ、どうなってやがる!?」
男は暗闇の中を手探りで進んでいく。
急に手が何かに触れた。
そこへ視線を持っていく。
これは...足?
そこから伝っていくように、視線を上へ向ける。
「え...?」
その足の正体は男の人のものだった。
しかも、ただの男の人ではない。
男は満面の笑みを浮かべている。
その手には真っ赤な金槌と包丁が握られていた。
「嘘だろ...」
もう完全に力が抜けてしまった。
そして、そのまま避けることなく、包丁が男に振り下ろされた。
━━━どうして殺した...━━━
***
「はっ!?」
また、意識が戻ってきた。
望は咄嗟に後ろを振り向く。
さっきの看板が見えたが、何か違う。
男の姿が見えなくなっていた。
代わりに、別の人影が確認できた。
「まさか...」
不気味な笑みを浮かべた、その男の手には何かが握られている。それを理解するのに時間はかからなかった。
その男がこちらにゆっくりと近づいてくる。
望はまだ呆然としたまま、動かない。
突然、その男が走って向かってきた。
その瞬間、望の思考が戻ってくる。
振り返って、山道の方へ全力で逃げる。
玲が追われていたものの正体はこの人だったのか?
この人からも強い「闇」を感じる。
でも、あの時の「闇」とは違う感情があった。
この人には、「悲しみや怨み」といった感情はなく、ただの「狂気」のみだった。殺人を楽しんでやっている、まさに狂人のようだった。
そんなことを考えていたが、今は追われている状況だ。呑気に考え事なんかしてたら、間違いなく捕まる。
とにかく、走って逃げること、それだけに集中する。
だが、だんだんと気配、笑い声が近づいてくる。
相手は望が思っていたよりも足が早かったようだ。
このままでは...
もう息もかなり上がってきた。足も動かせなくなってくる。もうダメなのか...?
耳元に劈く、不快な笑い声。
草を踏み分ける、足音。
「お姉ちゃん...こっち...」
え?
今の声は?
すると前方に、また一つの影が見えてきた。
あれは、少女の人影?
あ、あの子は...さっきの映像の...
その子は、望から見て右の方を指さしている。
望はその子を避けようと、身体を右の方に捻らせる。
その瞬間だった。
視界が右斜め下に傾いていく。
それと同時に、立て直したはずの身体が視界と同じように傾く。
必死に踏ん張ろうとするが、もう遅かった。
望は山道から外れ、斜面の方に身体を捻らせていた。
そして、そのまま望は抵抗できずに、斜面を転がり落ちていく。
「キャァァァァアアア!!」
その悲鳴は、誰にも届くことなく、闇に吸い込まれていった。
***
「まさか...望!?」
蛍光灯が白く照らす病室で、玲は目覚めていた。
今まで、色々な夢を見たが、今度は望...
嫌な予感ばかりが頭をよぎる。
玲は、ベッドから体を降ろすと、手すりに掴まりながら、片足歩きで休憩室へと向かう。そこには公衆電話が設置されていた。
誰もいない休憩室の中で、玲は急いでボタンを押す。
自分の家の電話に繋ぐ。
着信音が耳に鳴り響く。
「現在、電話に出ることができません...」
玲は受話器を置く。
休憩室の振り子時計の針を見る。
「まだ8時...」
この時間なら、まだ望も起きているはずだ...
まさか、本当に望は...
玲はまた受話器をとり、急いでボタンを押し直す。
a.警察に繋ぐ
→b.真司の家に繋ぐ
最後までご覧頂きありがとうございますm(_ _)m
今回が5回目の選択肢になります。
自分だったらこうするなとか、こっちだと何か起こりそうだな、と言った感じで投票してくださると嬉しいです!
下のURLから投票をお願いします!
http://twitter.com/kana_narou
今回も後書きまで読んでくださり、ありがとうございました!
※追記:選択肢はaになりました。投票してくださった方、ありがとうございました!




