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  作者: カナリア
五ノ章
16/20

「狂気」※選択肢あり

死人しにん→所謂、幽霊。死んだ人の魂だけが残っている状態のもの。

 サークル...あの新聞の人達?

 いや、寧ろそれしかないだろう。

 やはり、あの人達は既に...

『そういえば、君は一人でここへ?』

「え?あ、そうです。」

『ふーん。もうかなり遅い時間だけど大丈夫なの?』

「まぁ...大丈夫だと思います。」

『嘘つけ。本当は心配してるだろ、帰れるか。』

 帰れるかどうかの心配は無いが、確かにそろそろ帰った方がいいとは思っている。

 一つ、玲達に伝えた方がいい事実も判明した。

「いえ、道は大丈夫です。でも、そろそろ帰ることにします。」

『あぁ、その方がいい。帰らなくなってからじゃ遅いからな。それに...』

 それに...?

『当たり前な気もするが、なんだか嫌な空気がするしな。気持ち悪い白昼夢も見たんだ。帰り道も気をつけろよ。』

 嫌な空気...

 確かにそうだ。もしかしたら、この人もそれを感じ取れる体質なのか?

「分かりました。ありがとうございます。」

 望はお辞儀をすると、踵を返す。

 しかし、その直後だった。


 ***


 今度は、誰かの視点になっている?


「一体、なんなんだ!?」

 男の声が、荒い息遣いと共に聞こえてくる。

 この声は...さっきの人?

 てことは、この視点はさっきの男の人のもの?

 男は全力で走っているようだ。どうやら、何かに追われているらしい。

「うわっ!?」

 急に視界が大きく揺れる。

 転倒してしまったらしい。

 恐る恐る、後ろを振り返る。

「あっ、あっ...」

 そこには、真紅の着物を着ている女が立っていた。どうやら、その染料は血のようだ。

 その女がこちらを睨む。それと同時に、女の後ろから、黒い煙のようなものが立ち上ってくる。

 しかし、どうやら煙ではないらしい。

 それはまるで、生き物のように蠢いていた。しかも、そこにはうっすら、顔の様な模様が浮かんでいるようにも見える。


「まっ、待ってくれ!!」


 その言葉を放った直後、目の前が一瞬で真っ暗になる。どうやら、さっきのに囲まれたらしい。

「くそ、どうなってやがる!?」

 男は暗闇の中を手探りで進んでいく。


 急に手が何かに触れた。


 そこへ視線を持っていく。

 これは...足?

 そこから伝っていくように、視線を上へ向ける。

「え...?」

 その足の正体は男の人のものだった。

 しかも、ただの男の人ではない。


 男は満面の笑みを浮かべている。

 その手には真っ赤な金槌と包丁が握られていた。


「嘘だろ...」

 もう完全に力が抜けてしまった。

 そして、そのまま避けることなく、包丁が男に振り下ろされた。





 ━━━どうして殺した...━━━






 ***


「はっ!?」

 また、意識が戻ってきた。

 望は咄嗟に後ろを振り向く。

 さっきの看板が見えたが、何か違う。

 男の姿が見えなくなっていた。

 代わりに、別の人影が確認できた。


「まさか...」


 不気味な笑みを浮かべた、その男の手には何かが握られている。それを理解するのに時間はかからなかった。


 その男がこちらにゆっくりと近づいてくる。


 望はまだ呆然としたまま、動かない。


 突然、その男が走って向かってきた。


 その瞬間、望の思考が戻ってくる。


 振り返って、山道の方へ全力で逃げる。

 玲が追われていたものの正体はこの人だったのか?

 この人からも強い「闇」を感じる。

 でも、あの時の「闇」とは違う感情があった。

 この人には、「悲しみや怨み」といった感情はなく、ただの「狂気」のみだった。殺人を楽しんでやっている、まさに狂人のようだった。

 そんなことを考えていたが、今は追われている状況だ。呑気に考え事なんかしてたら、間違いなく捕まる。

 とにかく、走って逃げること、それだけに集中する。


 だが、だんだんと気配、笑い声が近づいてくる。

 相手は望が思っていたよりも足が早かったようだ。

 このままでは...

 もう息もかなり上がってきた。足も動かせなくなってくる。もうダメなのか...?


 耳元に劈く、不快な笑い声。


 草を踏み分ける、足音。




「お姉ちゃん...こっち...」




 え?


 今の声は?


 すると前方に、また一つの影が見えてきた。

 あれは、少女の人影?

 あ、あの子は...さっきの映像の...


 その子は、望から見て右の方を指さしている。


 望はその子を避けようと、身体を右の方に捻らせる。

 その瞬間だった。


 視界が右斜め下に傾いていく。


 それと同時に、立て直したはずの身体が視界と同じように傾く。


 必死に踏ん張ろうとするが、もう遅かった。


 望は山道から外れ、斜面の方に身体を捻らせていた。

 そして、そのまま望は抵抗できずに、斜面を転がり落ちていく。


「キャァァァァアアア!!」


 その悲鳴は、誰にも届くことなく、闇に吸い込まれていった。






 ***






「まさか...望!?」

 蛍光灯が白く照らす病室で、玲は目覚めていた。

 今まで、色々な夢を見たが、今度は望...

 嫌な予感ばかりが頭をよぎる。

 玲は、ベッドから体を降ろすと、手すりに掴まりながら、片足歩きで休憩室へと向かう。そこには公衆電話が設置されていた。

 誰もいない休憩室の中で、玲は急いでボタンを押す。

 自分の家の電話に繋ぐ。

 着信音が耳に鳴り響く。


「現在、電話に出ることができません...」


 玲は受話器を置く。

 休憩室の振り子時計の針を見る。

「まだ8時...」

 この時間なら、まだ望も起きているはずだ...


 まさか、本当に望は...


 玲はまた受話器をとり、急いでボタンを押し直す。


 a.警察に繋ぐ

 →b.真司の家に繋ぐ

最後までご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

今回が5回目の選択肢になります。

自分だったらこうするなとか、こっちだと何か起こりそうだな、と言った感じで投票してくださると嬉しいです!

下のURLから投票をお願いします!

http://twitter.com/kana_narou


今回も後書きまで読んでくださり、ありがとうございました!


※追記:選択肢はaになりました。投票してくださった方、ありがとうございました!

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