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5.【黄色いサル】

挿絵(By みてみん)


ある日の夢は……

我が家の二階から始まった。

そんな夜はやっぱり普通ではなかった。


夢の中で目覚めると、部屋の前に巨大な何かが待ち伏せをしていた。

アタシは動かずにじっと様子を見ていたら……

突然、その何かが猛スピードで、キッチンのある三階へ向かった。


巨大なモノが現れたせいか、三階からはお皿が割れる音や騒がしい物音が響く。

アタシは慌てて階段を駆け上がった。

あんなにうるさかったのに、今は物凄く静か。

恐る恐るキッチンを覗いてみると、部屋は何事もなかったかのように綺麗なままだった。


キッチンには女の人がいた。

それが誰なのか思い出せない。

その誰かをAさんと呼ぶことにして……

Aさんはキッチンにある椅子に座ってお茶を飲んでいた。


何も知らないのだろうか。

驚かせたくはなかったので、アタシはAさんには巨大な何かのことは聞かずに、シンクにあった食器を洗いながら話をしていた。


そんな時――

背後からAさんの悲鳴のような声が聞こえてきて驚いた。

振り返るとテーブルの上に、真っ黄色の何かがちょこんと座っていた。

よく見てみると、緑色の眼をした人形のようなサルだった。

そのサルを見つめながらAさんが叫んだ。



「この黄色いサルは鳴くと変な仲間を呼ぶのよ!」


Aさんが叫んだ瞬間、テーブルの上に座っていたサルが大きな歯を食いしばり、物凄い金切り声をあげ始めた。


同時にまたAさんの叫ぶ声が聞こえてきた。

隣のリビングに向かうと、ベランダ側にある障子いっぱいに巨大な何かの影が……。

さっきアタシの部屋の前で待ち伏せしていたやつに見える。


黄色いサルが呼ぶのはこいつなの?

もっといっぱい来ちゃったら怖いじゃない……。

始末しなきゃ!


そう思ったけれど、アタシは何をどうしたらいいのかわからず、パニック状態。

とりあえずキッチンへ戻り、鳴き止まない黄色いサルを両手で掴んで、ブンブン揺さぶったり振り回した。

それでも負けずに鳴き続けるサルを冷蔵庫やシンクの角に何度も叩きつける危ないアタシ。


これでもかと叩きつけられても、鳴くのを止めないサル。

焦ったアタシは気が狂ったのか、さっきまで使っていた食器用洗剤をサルの顔や体中にかけて、物凄い力でゴシゴシ洗いながら水を浴びせ続けた。

その作業を、無我夢中で何度も繰り返すアタシ。

気づいたら、黄色いサルはボロボロに毛も洗い流され、静かにぐったりとしていた。


よし! サル討ち取ったり!


なんて鼻息を荒くしながらリビングに戻ると、巨大な影は消えていた。

いつの間にかAさんはベランダに出ていた。

アタシもベランダに出てみると、外は曇り空。

ポツポツと雨が降ってきている。

ベランダから家の前を見下ろすと、道路には、雨の跡と巨大な何かが移動したような跡が遠くまで続いていた。


もう終わったんだ……。


ホッとしたら笑えてきて、アタシはAさんに黄色いサルとの死闘を自慢げに報告していた。その時だった。


外を見ながら話を聞いていたAさんが、どこかを指差しながら後ずさった。

震える指の先に見えたのは、見覚えのある黄色いサル。

後ろを振り返ると、キッチンにもハゲ散らかした黄色いサルがいる……。


何だか嫌な予感がして辺りを見渡してみると……

ベランダから見える全ての家の窓際に、行儀良く座った黄色いサル達が、我が家へ向けて歯軋りしながら待っていました。


数で挑んでくる黄色いサルに、一本の食器用洗剤じゃ勝てないということを学びました。

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