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30.【巨大団地】

宿泊施設と屋根のない洋服屋の間に【巨大団地】と呼んでいる場所がある。


ここは他の場所に比べて夢に出てくる頻度がかなり少ない。

だから正直、団地なのかもわからないぐらい印象が薄い場所。

一番記憶に残っている夢の中で巨大な団地のように思えてから、巨大団地と呼ぶようになった。

その時の夢は現実の世界にいる友達と一緒に過ごしていた。

その友達とアタシは、アッチノ世界では仕事仲間だったようで、仕事の話をしながら歩いていた。


「ねぇ、私の家この近くだから寄っていかない?」


突然友達がそう言うから驚いた。

でも、せっかくなので行ってみることにした。

ついて行くと、濃い灰色で角張った巨大な建物に辿り着いた。

まさに団地。

アタシはそう思った。


「今日はお父さんいるかも~」


なんて少し照れながら、階段を上る友達。

そんな友達の話を半分聞きながら、アタシは別のことを考えていた。

何を考えていたかというと……

今自分のいる世界が夢なんだと気が付いて、

そうはっきりと気付いた自分に驚いていたから。



この夢を見た頃は、まだ夢の中で夢だと気付けることは少なくて、目覚めた後にアッチノ世界の夢を見たと感じることが多かった。

明晰夢という言葉も知らなかったと思う。



辺りを見渡しながら考えていたら、いつの間にか友達の家の前まで来ていた。


「ただいまー。お客さん連れてきたよ」


玄関を開けて友達が家の中に向かって叫ぶと、奥から男の人が出てきた。

思いっきり部屋着姿。


「やっぱりお父さんいたんだ。やだ、その格好恥ずかしいよ」と怒る友達。


「ごめん。ごめん。お客さんが来るとは思わなかったんだよ。どうも、父です」


友達のお父さんは、乱れた髪の毛を整えながらアタシに会釈した。

現実の世界だと友達のお母さんは知っていたけど、お父さんは見たことがなくて不思議な感じがした。

アタシも会釈を返すと、笑っていた友達のお父さんは真顔になった。

アタシの顔をじーっと見ながら

「娘とは何でお知り合いに? どういう関係なんですか?」と矢継ぎ早に聞いてきた。

まるで娘の男友達に質問しているかのよう。


ここが夢の世界だと気付いたアタシは、夢の世界の人に現実のことを話したらどうなるのか試したくなった。


「初めまして。Aと申します。○○ちゃんとは現実の世界では同級生なんですけど、夢の世界だと仕事仲間らしいです」


こんな感じで言ってみた。

それを聞いた友達とお父さんは驚いた顔でアタシを見つめる。

長いような短いような沈黙が続いたと思ったら、突然友達のお父さんがアタシに掴みかかろうとしてきた。


「何を可笑しなこと言い出すんだ! 怪しい奴め!」と物凄い形相で怒鳴った。


それに驚いた友達があたふたしながらお父さんを止めてくれた。

その隙にアタシは玄関の外に出て、階段があった方へ走った。


「待て!」


振り返ってみると、お父さんが裸足で追いかけてきた。

急いで階段を下りようと思ったけど、ふと……


これって夢なんだから飛び降りても大丈夫なんじゃ?


いつかの夢の時と同じようなことを思ったアタシ。

下を覗くと三階ぐらいの高さ。

黄緑色した芝生が見える。


見ている間にお父さんが真後ろに迫った瞬間、ブワッと飛び降りてみた。

夢の中だからか、音も無く着地。


やっぱり大丈夫だった。


そう思いつつも、正直怖かった。


「おいっ! 飛び降りたぞ……!」


焦っている声が上から聞こえる。

ちゃんと着地出来たことにホッとしたアタシは、振り返ることも無く巨大団地から出た。

そのまま近くを探検していて見つけたのが28.【屋根のない洋服屋】だった。


あのまま余計なことは言わずに友達の家にお邪魔していたら、屋根のない洋服屋には出会えなかったのかな。


っていう夢でした。

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