29.【宿泊施設】
屋根のない洋服屋の近くに、
夢によく出てくる【宿泊施設】がある。
洋室や和室、時には近未来な雰囲気の部屋も出てくれば、その中でも高級、普通、微妙と部屋のランクも様々。
この宿泊施設は毎回、修学旅行みたいな設定で登場することが多い。
帰る直前になって慌てて荷物を整理している夢。
または到着したばかりで荷物を出している夢。
他には、宿泊施設のどこかにある大きなお土産売り場で買い物をしている夢もよく見る。
いつか見た夢では……
従業員しか入れないような場所に迷い込んだことがある。
階段を下りた先は地下なのか、窓も無い薄暗い場所だった。
先の見えない廊下が右にも左にもあって、壁も床も全部クリーム色をしている。
アタシは廊下には出ないで、上半身だけ乗り出すように厨房の中を覗いていると一人のオジサンと目が合った。
「見たな……」
オジサンが一言呟いた瞬間、辺りにいた人達が一斉にこちらを見た。
一瞬にして、この場にいてはまずい雰囲気に変わってしまった。
逃げなきゃ捕まる気がして、下りてきた階段を急いで駆け上がった。
とにかく部屋に戻ろう。
そう思って上った階に出ると、何かおかしい。
さっき逃げてきた地下の廊下にいる?
視線を感じて振り向くと、同じオジサンと目が合う。
逃げるように慌てて階段を駆け上がって、上りきった先を静かに覗いてみると……
やっぱり同じ廊下とあのオジサンがいる。
何度上っても同じ階に戻ってしまう。
前にもこんなことあったな。なんだっけ……
夢の中なのに、考えていたら思い出した。
アッチノ世界の学校の夢を見た時、階段を下りていて同じようなことがあった。
その時は何度も何度も階段を下りてみて、何の気なしに階段を上ってみたら違う場所に出た。
それをここでも試してみたらどうなる?
それが正解な気がして、何度か階段を上ってから、ふらっと下りてみた。
すると、突然エレベーターが現れた。
小さな窓のある銀色のエレベーター。
これで上の階へ行けばいいんだ!
そう思って一つしかないボタンを押すと、ゆっくりと扉が開いた。
中へ入ってボタンを見たら、たくさんボタンは並んでいるのに、どれも階数も何も書いていなかった。
とりあえず一番上のボタンを押してみると、エレベーターはスムーズに動いてすぐに停止。
でも、扉は開かない。
小さな窓を覗くと降りたい階が見える。
どれかボタンを押したら開くかもしれない……。
そう思っても、他の階がどんな場所かわからない。
チキンなアタシは怖くてボタンを押せないでいた。
待てども……待てども……扉は開かない。
結局、この時は何もできないまま、目が覚めるまでエレベーターに閉じ込められていた。
そんな夢でした。