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24.【マネキンショッピングセンター : 逃走】


ある日の夢は下りのエスカレーターに乗っていた。

下りている途中で見覚えのある風景が見えてきた。

そこは【マネキンショッピングセンター】と呼んでいる場所だった。

名前そのまま、ここはお客さんも店員さんも全員マネキン人形のショッピングセンター。

みんなガタガタと音を立てながら動いている。


マネキン人形達が行き交う階で降りると、遠くの方から明らかにマネキン人形ではない何かが走ってくるのに気がついた。

よく見ると人間の男の人だった。

でも、その顔は只事ではない表情をしている。

どんどんこちらに近づいてくるのが怖くなったアタシは、とりあえずその場から逃げることにした。


アッチノ世界で何かに追いかけられる夢を見ると、毎回追いつかれているような気がする。

特にマネキンショッピングセンターだと、マネキン人形達が邪魔になって、すぐに追いつかれてしまう。

それだけじゃなくて、もしマネキン人形にぶつかったりでもしたら、即座に敵だと思われてマネキン人形まで追いかけてくる。

それをわかっていても、チキンなアタシは反射的に逃げてしまった。


思ったとおり。

振り返って見てみると、男の人は物凄い速さで近づいてくる。

逃げようとしたら、慌てた勢いで目の前にいたマネキン人形に激突してしまった。


挿絵(By みてみん)


崩れるようにマネキン人形が倒れた瞬間――

アタシに無関心だったマネキン人形達が一斉に振り向いて、男の人と一緒に追いかけてきた。

捕まりそうになったアタシは、近くにあった扉を開けて外に逃げた。

出た先は通路になっていた。


挿絵(By みてみん)


外にあった網状の大きなゴミ箱を扉の前にずらして、一旦呼吸を整える。

上を見上げると空が暗い。


挿絵(By みてみん)


前にも話したように、アッチノ世界には昼の場所、夕方の場所、夜の場所がある。

マネキンショッピングセンターは昼と夜が重なる位置にあるみたいで、同じ建物の中で昼の場所もあれば、夜になっている場所もある。

墨色ワールドに入り込んでしまったら、逃げられなくなりそうだから避けたい。


どうしよう。


モジモジと考えながら歩いていると……

背後から扉を揺さ振る大きな音が聞こえる。

考えるのを止めて、とにかく真っ直ぐ走ってみることにした。

腕を力一杯振って走っていると、正面の空が薄っすら明るいのに気がつく。


挿絵(By みてみん)


このまま明るい方角に向かったら、夜の場所から抜けられるかもしれない……。


そう思って目の前にあった階段を駆け下りた。

下りきったところで止まって耳を澄ますと、まだ追いかけてくる足音が聴こえる。


挿絵(By みてみん)


我武者羅に走って……走って……

目の前にあった細い道に入ると、いつの間にか昼の場所にいた。

でも、そこは迷路街にある商業ビル地帯だった。


挿絵(By みてみん)


迷路みたいに道が入り組んでいて迷う。

でも、むやみやたらに歩くと殺人ロードに出てしまいそうで怖かった。


極力、移動しないほうがいい。


そう思って挙動不審になりながら少しずつ進むと、また見覚えのある場所を見つけた。

そこは別の夢で入ったことのあるゲームセンターだった。


ここなら見つからずに逃げられるかもしれない。


期待を胸に自動ドアを開けてみた。

自動ドアは外側と内側に二つある。


挿絵(By みてみん)


中に入ると、自動ドアの空間に謎のゲーム機が置かれていた。

その横にある椅子に小太りなオジサンが座っていた。

バーコードヘアにメガネ、下着のような白のタンクトップに短パン姿。

漫画に出てきそうなオジサンだった。


オジサンも気になるけど、今は逃げている最中。

でも、ゲーム機が扉の前にあるから中には入れなさそうだった。


「前と違う……」


思わず声に出してしまった。


「時が経てばなんでも変わるさ。ゲームやってくの? 」


アタシの呟きに答えながら、タバコを取り出し椅子から立ち上がるオジサン。

自動ドアの前に置いてあるゲーム機は、昔のアーケードゲームに似ていた。

椅子に座って覗き込むと、画面には漢字のような文字が書かれた札とコインのような丸い札が並べられていた。

麻雀のようにも見えるけど、アタシは麻雀のルールも全くわからないから、どんなゲームなのか想像すらできなかった。


アッチノ世界にあるゲームなのかな……


始め方がわからず、ボーっと見ていたら


「お姉ちゃん、もしかしてやり方がわからないのかい? 俺が横で教えてあげるから、まずお金を入れてちょうーだい」


オジサンがタバコを吸いながら指差す場所を見ると、コインを入れる穴が開いていた。

ポケットを探ってみてもお金なんて無い。

諦めてお店を出ようと席を立った瞬間、誰かがお店に入ってくる影が見えた。

さっきの人だと思ったアタシは、ゲーム機の後ろにあった暗幕カーテンの中に急いで隠れた。

入ってきたのは男の人ではなく、若いカップルだった。

オジサンは何事も無かったかのように振舞う。


「よーし! 勝っちゃうぞー」と張り切る彼氏。


彼女とゲームの話をしながら始めるのかと思ったら、突然ロボットのように動きが一瞬止まった。

無表情で携帯を取り出すと、何かを見ている。

彼女にも携帯を見せて辺りを見渡し始めた。


「ねぇ、オジサン。ここに隠れてるやついない? 見つけたら連れて行かなきゃいけないんだけど」


そう話す彼氏の顔は、明らかにアタシが隠れているのをわかっている表情だった。


ここの住人の思考とかって、みんな繋がっている?

このままじゃバレる。


もうダメだと焦っていたらーー



「いやー、毎日色んなお客が出入りするからね。どうだったかな……」


静かにしていたオジサンがモゴモゴとごまかし始めた。


あれ? 何でごまかしてくれているんだろ……。


そう考える暇も無く、また違うカップルが入ってきた。

先客を見て驚いた顔をしたと思ったら、後から入ってきたカップルも一時停止。

最初のカップルと同じように携帯を見て、今度は何も言わずにアタシが隠れている暗幕に近づいてきた。


見つかる……!


そう思った瞬間に目が覚めた。

あの時、なんでオジサンはごまかしてくれたのか。

気になる夢でした。




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