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12.【再会ロード:お祖母ちゃんと自転車】
現実の世界で嫌なことがあって、〝死にたい〟とまで思っていた時がある。
そんな頃に見たある日の夢。
その日は夜だった。
家にも帰りたくなくて、トボトボとその道を歩いていた。
一本だけある街灯が遠くからも見える。
その奥から自転車に乗った人が近づいてきた。
街灯の下を通った瞬間、自転車に乗った人の顔が見えた。
「お祖母ちゃん?」
自転車に乗っていたのは、母方の亡くなった祖母だった。
「あなたなら大丈夫よ。頑張ってね」
すれ違いざまにそう言うと、お祖母ちゃんは笑いながら暗闇の中を自転車で走り去っていった。
目が覚めてから暫く何も考えられなかった。
落ち着いてから家族にその話をすると
「お祖母ちゃん、自転車乗れなかったのよ。あなたの夢の中で乗れたんだね。それに今日はお祖母ちゃんの命日だから、会いに来てくれたのかもね」と言われて涙が止まらなかった。
あの言葉はどういう意味だったのだろう……。