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114.【侵入者:恐怖のメリーゴーランド:二人組と骨ばった彼女】


ある日の夢は……


誰かと一緒に旅行かなにかで泊まるホテルに向かった。

暗い外を少し歩いてホテルの中へ入ると、眩しいぐらい電気が明るかった。

時間が遅かったのか、ロビーにも正面のフロントっぽい場所にも人がいない。


「すみません。誰かいませんかー?」


そんなことを言いながら一歩進んだ瞬間、足元からビチャッと音がした。

下を見ると、ロビーの床一面に張り巡らされた赤いカーペットが水浸しになっていた。

踏むとジュワッと水が滲み出てくるぐらいひったひた。

辺りもよく見てみると、テーブルやソファー、窓なんかもホースで水を撒いたみたいに濡れていた。


「なんでこんな水浸しなんだろ? これのせいで誰もいないのかね?」


連れの人と一緒に顔を見合わせていたら……


「あなた達もこのホテルのお客?」


突然声がした。

前を見ると中学生ぐらいの男の子が二人立っていた。


「そうです。でも、誰もいなくてどうしようかと」


明らかに自分より年下なのに、アタシは敬語で話していた。


「とりあえずついてきて」


そう言われて男の子達についていってみると、ホテルの奥は電気が消えて暗くなっていた。


真っ暗な長い廊下を歩いていくと、突き当りの部屋に入っていく。

恐る恐る中へ入ってみると、会議室のような部屋だった。


「明日、頭脳を競う大会があって、それに出るために僕達もこのホテルに泊まる予定だったんだけど……このホテルでは何かが起こっている」


そう話しながら、男の子は部屋の扉を閉めた。


「あの水浸しの原因はよくわからないけど、得体の知れない何かがホテル内にいるみたいなんだ」


「得体の知れない何か?」


「そう。あなた達は僕達についてきたから気が付かなかったと思うけど……このホテルは中へ入ったら出られないんだ。外に通じている扉も窓も全て開かない」


さらりと凄いことを言われて、アタシも連れの人も言葉が出なかった。


「でも、僕達は脱出できる方法を見つけたんだ。今からそこに行くから、あなた達もついてきて」


そう言うと黙っていた男の子がスマートフォンのライトをつけた。

ちゃんとライトがついているか確認すると、男の子達は扉を開けて早歩きで部屋を出てしまった。


アタシ達も慌てて追いかけると、さっきと変わらず廊下は暗かった。

でも、明らかに変わっていたことが一つあった。

廊下の両側にはたくさんの扉が並んでいた。

その扉がなぜか全部開いている。

さっきは閉じていたはずなのに……。


どの部屋も中は真っ暗だった。

一個……二個……三個目の部屋を通り過ぎた時。

何かが見えた気がした。

アタシは歩きながら、ゆっくりと顔だけ動かして後ろを見てみた。

入り口の傍で白いワンピースのような服を着た長い白髪の何かが立っている。


五個目の扉を通り過ぎた時にもう一度見てみると、それは四個目の扉に移動していた。


ついてきてる?


そう思っていたら、こちらを覗くように頭を動かした。

夢だからか暗いのにハッキリと見える。

骸骨のような骨ばった顔……。


110.【侵入者:赤いエレベーター:骨ばったアイツと彼女達】



113.【侵入者:色んな肌色に化けた黒い奴】



この二つの夢にも骸骨みたいな顔をしたのが出てきた。


気になるけど、気づいた素振りを見せた瞬間に何かが起こりそうな気がして、アタシは何も言わずに男の子達について行った。

男の子達は両開きの大きな扉を開けていた。

アタシも小走りで入って急いで扉を閉めた。


扉の中は広くて昼間のように明るかった。

置いてある物も照明も豪華で、結婚式とかに使われそうな場所だった。


階段を下りていくと、下にメリーゴーランドのような屋根のついた円形の物が見える。

でも、馬の乗り物がありそうな場所にはトロッコみたいな物が置いてあった。

中には男の人が入っていた。

意識がないのか死んじゃっているのか、全く動かない。


動けずに見ていたら、男の人の真上から何かが下りてきた。

クレーンゲームのアームみたいに男の人を掴むと、上の部分に引っ張り上げてしまった。

――と思ったら、グシャッとゾッとするような音が……。


同時にメリーゴーランドみたいな円形の物がゆっくりと回転し始めた。

それに合わせてメリーゴーランドの上の方が明るくなっていく。


よく見ると、メリーゴーランドの真上に入ってきた扉と同じような両開きの大きな扉があった。

ゆっくり開いていくと思ったら、回転が停まった瞬間に振動が伝わってくるぐらいの勢いで扉が閉まった。

全部は開かないのか、開いていたのは人が一人通れるかどうかの幅。

あんなのに挟まれたら怪我だけでは済まなそうなぐらい、とんでもない勢いだった。


「あの扉が外に脱出できる唯一の方法。でも、今見た通り、あの扉はすぐに閉じてしまう。僕達二人が安全に外に出るためには鍵が足りなかった。そんな時に丁度あなた達が来てくれた」


「えっ?」


男の子達を見たら、いつの間にか二人共斜め上にいた。


なんで斜め上に?


よく見てみると、メリーゴーランドの真上に通じている階段がもう一つあって、アタシ達が下りてきた階段とY字型に合流していた。

アタシ達は下まで下りてきてしまったけれど、彼等はさり気なく反対側の階段を上っていたらしい。


「僕達は人類にとって必要な人間だけど、あなた達もまた必要な犠牲なんだよ」


そんなことを言いながら、男の子達はニヤケ顔で階段を上っていく。


「そんな……」


驚いて動けずにいると、連れの人が目を見開いてアタシの顔を見た。


「ちょっと待って。下が目に見えてあんな状態だったら、みんな自然と上に行くでしょ? でも、さっきの男の人みたいに犠牲になっちゃった人がいる……ってことは上に行くのが正解だとは思えないんだけど」


そう言われて改めてメリーゴーランドの方を見た瞬間、目が覚めてしまった。


このまま目が覚めなかったらどうなっていたのか……。

それも気になるし、骨ばった顔の奴がどうしていたのかも気になる。





そんな夢でした。

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