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113.【侵入者:色んな肌色に化けた黒い奴】


ある日の夢は……


ショッピングセンターのような場所から始まった。


挿絵(By みてみん)


一瞬、アッチノ世界にあるマネキンショッピングセンターかと思ったけど、見えるのはマネキン人形ではなく人間だった。

動く前にどこへ行こうか迷っていたら、突然女の人の悲鳴が聞こえた。

辺りを見渡してみると、吹き抜けを挟んだ反対側の通路にいた人達が逃げるように数人走っていた。


何から逃げているのか気になって通路の奥を見ると、そこには黒いローブのような物を纏った人が立っていた。他の人より明らかに背が高い。


ゆっくりとこちらを向いたと思ったら、顔には白色の四角い仮面をつけていた。

二本の角が生えた骸骨みたいな形。

それを見た瞬間、今見ているのは人ではなく、妖怪のような何かだとなぜか思った。


黒い奴はアタシの方へゆっくりと近づいてくる。

――と思ったら、着ているローブのような物の中から大きな黒い手が跳び出してきた。


凄い速さで近くにいた女の人の体を掴むと、ローブの中に入れてしまった。

次々と通路にいる人達を大きな手で掴んでは、飲み込むようにローブの中へと入れていく。

まるでカメレオンのようにも見えるし、姿も行動も某アニメ映画に出てくるキャラクターみたいだった。

でも、そんな可愛らしいものではない。


アッチノ世界で時々遭遇する、危険だと感じる生物。

完全にその部類だった。

怖い夢を見ている時の独特な感覚が夢の中のアタシの身体に伝わってくる。

恐怖心で頭がいっぱいになってしまったアタシは、ズルいことに他のお客さんの影に隠れながら逃げてしまった。

ウロウロと低い姿勢のまま小走りで逃げていたら、ふと見た先に女の子が倒れていた。


なんでこんな所に?


顔を上げると、すぐ側にエスカレーターがあった。

パニックで将棋倒しになったのか、よく見るとエスカレーターの中にもたくさんの人が重なるように倒れていた。


「娘を助けてください……」


女の人がエスカレーターの手すりと倒れた人の間に挟まれていた。

苦しそうに顔を上げながらアタシを見ているので近付いてみると、隣りにいた男の人も顔を上げた。


「どうか娘を助けてください……」


女の子のお母さんとお父さんなのだろうか。


「娘を助けてください。アナタが触れてくれれば大丈夫ですから……」


そんなようなことをお父さんらしき人が囁くように言った。


アタシにそんな力があるの?


そう思いながら、女の子の肩に軽く触れてみた。

同時に女の子がカッと目を開けてムクリと起き上がった。


おぉ……

ほんとに起きてしまった。


両手を見つめながら、中二病みたいな自分の能力にドキドキしていたら……


「ありがとうございます! ありがとうございます! でも、逃げて……」と女の人の不穏な言葉が聞こえた。


女の人の顔を見ると、今にも叫び出しそうな顔でアタシの背後を見ている。

恐る恐る振り返ってみると、人の形をした肌色の巨大な何かが這い蹲りながらこっちに近付いてきていた。

それこそ某アニメ映画の未熟な人型生物兵器みたいな動きだった。


目の前にいる巨大な何かは、さっきの黒い奴だと思う。

頭には二本の白い角が生えていて、顔も四角いまま。

でも、着ていた黒いローブのような物は消えて、全身が色んな肌色をした何かに変わっている。

顔も仮面を剥がしたみたいに肌色になっていた。


黒い奴の鳴き声なのか、クジラの声を低くしたような音を響かせながら近づいてくる。

アタシは反対側の通路の離れた場所にいた。

黒い奴はこちらへ来ようとしたけれど、間にあった吹き抜けから下の階へ雪崩れ込むように、ゆっくりと落ちていった。

同時に物が壊れるような轟音と、下の階にいた人達の悲鳴が聞こえてきた。

どんどん恐怖が増していく。


あれは無理だ。

あれは無理……。


そう思っていたら目が覚めた。


下の階へ落ちていく瞬間に見えたポッカリと黒く空いた目と口のような穴。

低く響いてくる鳴き声のようなあの音。

文章では伝わらないかもしれないけど、本当に怖い夢だった。


起きてから過去の夢日記を読んでみて、110.【侵入者:赤いエレベーター:骨ばったアイツと彼女達】に出てきた骨ばった奴に雰囲気が似ていたような気がする。





そんな怖い夢でした。


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