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110.【侵入者:赤いエレベーター:骨ばったアイツと彼女達】


ある日の夢は……


工場のような場所にいた。

なぜかわからないけど、アタシはガラスでできたお猪口のような物を片付けなければいけなかった。

それが終わるまで工場から出られず、誰かに置いてきぼりにされていた。

さっと片付けたくてもお猪口ような物はたくさんあって、碁盤の目のように四角く区切られた箱に入れなければいけない。

それもそれぞれ決まった場所に。


どれがどの場所かわからなくて頭を抱えていたら、アタシを置いていった誰かから電話がかかってきた。


「まだ終らないの?」

「全然ですよ。大量にあって。これを片付け終わるまでここから出られなさそうです」

「そっか。じゃあよろしく」


そんな会話をして電話を切った。

ため息をつきながら振り向くと、さっきまで大量にあったお猪口のような物が一つ残らず箱に収められていた。


「えっ? なんで?」

「◯◯さんが片付けてくれたんですよ。終わらせないとあなたが困るだろうからって」


そう教えてくれた人が見つめた先に男の人が立っていた。

アタシと目が合うとニコリと笑ってくれた。


「ありがとうございます! 助かりました」

「お礼はいいから。さぁ早く行って。バスに乗り遅れちゃうよ」


そう言われた瞬間、出口の先にあるバス停のイメージが頭に浮かんだ。


「はい!それじゃあ、お言葉に甘えて……」


男の人や工場の人達に頭を下げながら小走りで外に出ると、すぐ近くにイメージした通りのバス停が見える。

ちょうどバスが停まっていたので、アタシは駆け込むように乗車した。


このバスは電話の誰かがいる場所ではない、違う場所に向かっている……。


そう思いながら、椅子に座ってボーっと外の景色を見ていた。

それに応えるようにすぐにバスが停車。

降りてみると、目の前に五階建てぐらいの建物があった。


焦げ茶とベージュっぽい色をしていて、昔に建てられたようなデザインなのにどこか新しく感じる。

建物の周りにはバス停以外に何も無くて、砂埃が舞っていた。

でも、建物は不自然なぐらい全く汚れていない。


電話の誰かがいる場所も気になるけど、アタシは建物の中に入ってみることにした。

半透明の扉を開けると中は明るかった。


入り口の右側には、病院にありそうな受け付けの窓があった。

窓は開いていたけど、誰もいなさそうな雰囲気。

アタシはそのまま奥へ進んだ。

でも、すぐに行き止まり。

どこかへ通じていそうな階段や扉は見当たらない。


これじゃあ、上にも先にも進めない……。


そう思いながら入り口へ戻ろうと振り向きかけた時、磨りガラスの窓が気になった。

窓の下には小物が置けそうなスペースがあって、紺色の本が置いてある。

その本を見た瞬間、アタシは触ってもいないのにそれが聖書だと思った。


なんでこんな所に聖書が?

ここは精神病院だから、聖書も必要なのかな。


精神病院……。

なぜかそう思った。

引き寄せられるように後ろを振り向くと、壁だった場所が赤いエレベーターに変わっていた。

アッチノ世界で赤い扉は見たことがあるけど、赤いエレベーターは初めてだったと思う。


静かにエレベーターの扉が開いたので中に入ってみると、振り向く暇もなく動き出した。

そのままアタシは振り向かずに立っていた。

古いエレベータなのか、扉の反対側には遮る物が何も無くて、壁が動いているのが見える。


何階まで上ったんだろうか。

少し余所見をしている間にエレベーターが停まった。

ふと壁側の下の方を見てみると、下から長さ三十センチぐらいの四角い穴があった。

どこかの階でエレベーターが中途半端に停まってしまったみたいに見える。

膝をついて穴を覗いてみると、中は暗くて洞窟のようになっていた。

でも、普通の洞窟ではない。

まるで人や動物の体内にいるみたいに洞窟全体が赤く湿っている。

ジーっと見ていたら、奥がライトで照らされたみたいにハッキリと見えた。

見えた先には骸骨のような顔をした人型の骨ばった何かが立っていた。


ツルハシみたいな道具で地面を掘っている。

その姿が怖くてアタシはすぐに立ち上がった。

アッチノ世界で時々遭遇する、会ってはいけないと感じる何か。

それと同じ部類に入るぐらい異様な雰囲気が漂っていた。


あれはヤバイやつだ……。


そう思った時だった。


「いつまでそこに突っ立てるの?」


突然背後から声がした。

振り返るとエレベーターの扉は開いていて、外に女の子が立っていた。


「早くこっちに来なよ。そこにいたらアイツに食わ……見つかるよ」


そう言って女の子は小さく手招きをした。

言われるがままエレベーターから降りると、静かに赤い扉が閉まった。

右側には廊下のような通路があって、白い壁が奥まで続いているのが見える。


「誰か来たと思ったら……こんな所にも来たの?」

「ここまで辿り着くなんてね」

「アハハ。顔を見られるとは思わなかったよ」

「案外普通なんだね」


白い壁を見ていたら、女の子の背後から話し声が聞こえてきた。

覗いてみると、三人ぐらいの女の子がソファーに座ったり寝そべったりしていた。


みんな背格好は違うのに、よく見ると最初に声をかけてきた女の子と同じ顔をしている。


姉妹? クローン?

でも、どこかで見たような……。


そんなことを考えていたら、突然物凄い音と一緒に白い壁に大量の血しぶきのような物が飛び散った。


「アンタ達! アイツらがすぐそこまで来てるのに、何をダラダラしてるの!さっさと移動するよ」


大声を張り上げながら、エレベーターがある壁側から大柄な女の人が出てきた。

腕に大きな銃を抱えた筋骨隆々な女の人。

その顔を見た瞬間、104.【侵入者:人型ロボットと感染】に出てきた人だと思った。


彼女もすぐにわかったのか、お互いに「あっ!」と声を出してしまった。

よく見ると女の子達と同じ顔をしている。


「あなた何でここに……いや、立ち話をしている暇は無いから。みんな早くここから出るよ!」


そう言いながら、女の人に誘導されている途中で目が覚めた。

同じ顔の女の子達も気になるけど、あの骸骨のような生物がかなり怖かった。





そんな夢でした。

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