表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/135

11.【再会ロード : 救世主なドンちゃん】

【アッチノ世界】にある三本の分かれ道。

真ん中の道を進み、【スケルトンハウス】を通り過ぎて更に真っ直ぐ進むと、今度は十字路の分かれ道が現れる。


十字路の右側は【追われる右ロード】に繋がっていて、反対の左側は【再会ロード】と呼んでいる。

思いがけない存在に会える不思議な道。

ある日の夢。

アタシは真ん中の道を歩いていた。

十字路を右に曲がろうと一歩入った瞬間、右側から野犬のような動物が大群で走ってきた。



アタシは慌ててUターン。

真ん中の道には戻らず、そのまま真っ直ぐ左側の道に走った。


左側の道は霧なのかスモークを焚いているかのように白い煙で何も見えない。

でも、野犬が追いかけてくるのが鳴き声や足音でわかった。



アタシは無我夢中で走る。

そして思いっきり転んだ。

かなりの衝撃で、すぐには起き上がれなかった。

振り向くと白い煙の中から野犬の口が見えた。


咬まれる!


身構えた瞬間――

どこからか小さな鈴の音が聴こえる。

野犬も音に気を取られて一瞬止まったけれど、また牙を剥き出して近づいてきた。


また鈴の音。

野犬が少しずつ近づくごとに、鈴の音も大きく響く。


音はどこから……?


辺りを見渡していたら、まだ離れていると思っていた野犬が跳びついてきた。

息も感じられそうなぐらい間近に迫った瞬間――

小型犬のような鳴き声が聞こえてきた。

振り返ると、白い煙の中から救世主が現れた。


「ドンちゃん!!」


ドンちゃんは昔、我が家で飼っていたポメラニアン犬の女の子。

夢の中のドンちゃんは、小さな鈴のついた青いリボンを首に巻いていた。



小刻みに走ってくるドンちゃんに合わせて鈴が鳴る。

もう随分前に亡くなったドンちゃん。


夢の中で、アタシが危ないからって助けに来てくれたのかな。

それで格好良く登場しようとしたのに、自分の歩幅と野犬の迫り具合がズレちゃったから、思わず吠えちゃったのね……。

何だかドンちゃんらしい。


ドンちゃんを見ながら、そんなことを思っていた。

アタシの側に来て、ウルウルした瞳で見つめてくれるドンちゃん。

擦り剥いた脚をペロっと舐めてくれた。


そのまま野犬の方へ走っていくドンちゃん。

生前も走るのが物凄く速かったドンちゃん。

まるで自分がおとりになるかのように、野犬をどんどん引き連れて白い煙の中へ消えていってしまった。

それが嬉しいけど何故か悲しくて……

アタシはその場でドンちゃんの名前を叫びながら号泣。

目が覚めると、枕が涙で大変なことになっていた。



ずっと優しかったドンちゃん。


今でも大好きです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ