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105.【 パラレルワールド:スキンヘッドともう一人 】



ある日の夢は……


石でできた遺跡のような場所から始まった。

石と石の繋ぎ目をよく見ると、会社名のような文字が浮き出るようにたくさんあった。

本物の石ではなく、型で固めて作ったように見える


「ここの世界では、こんな遺跡みたいな場所もどっかの会社が作ってるんだ……」


そう思いながらウロウロしていたら、人が走っているような音が聴こえてきた。

辺りを見渡してみると、少し離れた場所に男の人が立っていた。

その男の人の後ろの方にスキンヘッドの人と、双子なのか同じ顔をしたドレッドヘアの人が凄い顔をしながら走ってきた。

二人ともドラァグクイーンのような派手なメイクをしている。


その二人に追いかけられているのか、男の人は慌てたように右往左往していた。

見えない位置に立っているのか、派手なメイクの二人は男の人に気がついていない。

アタシは二人に見つからないように男の人に近づいて、手を掴んで走った。


「えっ?ちょっ……」


男の人が状況を理解する前に、目の前の景色がおかしなことになっていた。

思わず二人で立ち止まってしまった。

遺跡がある場所に重なるように、何かの景色が薄っすらと見える。

驚いて男の人の手を離した瞬間、通信が途切れたみたいに重なった景色が消えた。

もう一度アタシは男の人の手を強く握ってみた。

すると、今度はさっきよりも濃い目に景色が浮かび上がってきた。


「あっ、◯◯だ! あれ俺の友達。さっきまで俺達あのゲーセンにいたのに、いつの間にかここに……」


男の人が指を差した先には、確かに男の人が立ってゲームをしているように見える。

その奥には見覚えのあるバーコード頭が……。


あのオッチャンがいるってことは、重なって見えるのはアッチノ世界にあるゲームセンター。


そう思った瞬間、今いる場所は69.【パラレル・ワールド:気紛れターミナル】の夢で知った違うアッチノ世界だと思った。


なぜか男の人と手を繋いでいる間だけ、知っているアッチノ世界に繋がる。

この遺跡がある場所にあのゲームセンターがある。

それなのに夢の中のアタシは強くイメージすれば、行きたい場所に行けると思い込んでいた。


「見つけたっ!」


背後から野太い声が聞こえた。

振り返ると結構遠くの方にスキンヘッドの人が立っているのが見える。


逃げられる場所……逃げられる場所……


「走って!」


夢の中のアタシは男の人の手を掴んで強くイメージした。

景色が変化して辿り着いたのは、マネキンショッピングセンターだった。


「ここならマネキンに紛れながら逃げられるかも……」


そう男の人に言っていたら――


「あんたらぁ!」


スキンヘッドの人も一緒に来てしまった。

マネキン人形達にぶつかりながら近づいてくる。


夢の中のアタシはスキンヘッドの人がマネキン人形になる姿を頭の中でイメージした。

すると、スキンヘッドの人の体がイメージした通りの姿に変わっていく。

それを見たアタシは、思いっきり体当りをした。

音を立てて崩れるスキンヘッドの人。

弾みで頭だけが足元に転がってきた。


「アタシ一人を止めたって無駄よ! もう一人いるんだからっ!」


頭だけになってもゴロゴロ転がりながら叫んでいる。


あっ……そうか。

もう一人いたんだった。

手を離したら、また変な場所に行っちゃうかもしれないし、この男の人も友達に会えない。

どうにか離れずに逃げなきゃ……。


そう思っている途中で目が覚めてしまった。


そんな夢でした。

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