表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼ノ境界(おにのきょうかい)  作者: Helbon
season1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/24

第8章 硫黄島の亡霊 (前編)

第一節 出撃前夜


ホワイトホース関東本部の格納庫。

夜明け前の静寂を、整備員たちの足音と機械音が満たしていた。


滑走路に並ぶのは、新型戦闘機〈ヴァルキリー零式〉。

その前で、レイ・ナツキ・シュンの3人が出撃準備を整えていた。


司令長・東堂カズマが姿を現す。

「目的地は硫黄島。かつて鬼と人間の共存実験が行われた島だ。

 戦後に研究施設が封鎖されたが、今、そこから鬼気反応が検出された。」


レン教官が補足するように口を開く。

「硫黄島には、旧ホワイトホース研究所の残骸がある。

 当時、鬼化兵器や共存用の鬼遺伝子を研究していたらしい。

 米軍基地も併設されているが、現在は無人。……だが今は違う。」


ナツキが小さく息を呑む。

「じゃあ、あの反応は――」


「ブラックタイガーが“何か”を掘り起こしてる可能性が高い。」

レンの声は低く、重かった。



第二節 贈り物


レンはポケットから小さなケースを取り出した。

「出発前に、これを渡しておく。」


ケースの中には、銀と黒に輝く腕時計型のデバイスが3つ。

「新装備〈リンクギア・モデル01〉だ。

 見た目はスマートウォッチだが、鬼気・生命反応・通信状況を共有できる。

 3人のうち誰かが倒れても、互いの生命波を感知できるようにしてある。」


レイが腕に装着すると、金属が生き物のように手首に馴染んだ。

「まるで脈を打ってるみたいだ……」


「それもそのはず。素材は“鬼神経金属”。

 ……お前たち3人の波長にしか反応しない。」


シュンが苦笑する。

「相変わらず、すげぇもの作りますね。」

レンは笑わずに言った。

「すげぇだろ。でも、通信が途切れたら……それは“帰れねぇ”って意味だ。覚えとけ。」


3人は黙って頷いた。



第三節 出撃命令


司令室のスクリーンに、硫黄島の衛星映像が映し出される。

総裁が歩み出て、3人を見据えた。


「任務内容――硫黄島における反応源の調査及び研究データの回収。

 戦闘は極力避け、敵の目的を特定すること。

 最優先は“帰還”だ。いいな?」


「了解。」

レイの声は力強く響いた。


総裁は静かに言葉を続ける。

「この任務は、単なる調査ではない。

 硫黄島には、鬼と人の“始まり”が眠っている。

 そして、その“境界”を知る者が――おそらく、まだ生きている。」


3人の表情が引き締まる。


「――行け。神崎レイ、ナツキ・シュン。

 お前たちが、ホワイトホースの未来を照らす光だ。」



第四節 旅立ち


格納庫のゲートが開き、朝焼けが差し込む。

ヴァルキリー零式のコックピットに乗り込み、3人は互いに目を合わせた。


「いよいよだな。」シュンが笑う。

「初任務から、いきなり南の島ってのも悪くないね。」ナツキが冗談めかす。


レイは静かに呟く。

「硫黄島……そこに何が眠っているのか、確かめよう。」


機体が浮上し、轟音とともに空へ。

ホワイトホース本部が遠ざかる中、

ゲンは格納庫の片隅で腕を組み、3人の背中を見送った。


「気をつけろ……レイ、お前の“境界”が試されるのは、これからだ。」



第五節 不穏な報告


出撃から数分後。

司令室のモニターに別ラインの通信が割り込む。


「こちら監視班! 羽田空港から強烈な鬼気反応を検出!」

「レベルは……最大値です! レベルMAX!」


司令室が一斉にざわめく。

総裁が険しい顔で振り返る。

「反応源の特定は!?」


「まだ不明! ただし、反応波形が……“神崎レイ”と一致――!」


「なに……!?」


レンの目が見開かれる。

「まさか……封印が、連動しているのか……?」


総裁は静かに呟いた。

「硫黄島と羽田……二つの“境界”が同時に動き出した――。」


警報が鳴り響く中、

レイたちの戦闘機は、すでに雲の彼方へと消えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ