第21章・第三部 「父と子、宿命の再会」
硫黄島の空に、黒と白――二つの艦隊が静かに対峙していた。
波が荒れ、火山の噴煙が低く漂う。
その中心で、神崎レイと父・神崎リョウが向かい合う。
リョウは以前よりもやつれ、目には闇の力の痕跡が宿っていた。
それでも、どこかに人間としての面影が残っている。
「……久しいな、レイ。」
「どうして……どうして父さんが、ブラックタイガーなんかに!」
レイの叫びに、リョウは静かに目を閉じた。
その声には怒りだけでなく、深い悲しみが混じっていた。
「お前には、真実を知る権利がある。」
「俺たちは、ただ世界を守ろうとしただけだった。」
カイトの言葉に、ホワイトホース側の隊員たちはざわめく。
レイも一瞬、息を呑んだ。
「守る? 世界を壊してまでか!?」
「……壊すことでしか、再生できぬ世界もある。」
リョウの声はどこか諦めを含んでいた。
彼は、自らが歩んできた闇の道を否定も肯定もできずにいる。
その背後では、ブラックタイガーの隊員たちが整列し、
空には巨大な艦艇群が並び、エネルギー反応を上昇させていた。
レイの後ろで、ナツキが一歩前に出る。
「……あなたが、レイを苦しめた張本人なんですか?」
その声は震えていた。怒りと恐怖、そして憎しみ。
しかしリョウはその瞳をまっすぐ見つめ、
ふと、懐から一つの小さなペンダントを取り出した。
「これは……お前の母が、お前に託したものだ。」
レイの目が見開く。
それは幼いころに失った母・神崎アヤの形見だった。
「母さんは……まだ、生きてるんだな?」
「ああ……だが、長くはもたない。」
一瞬、空気が張り詰める。
ナツキもシュンも、言葉を失った。
「レイ、最後にもう一度聞く。」
「俺たちと共に来い。お前なら、この世界を新しく作れる。」
レイは拳を強く握りしめ、歯を食いしばった。
その背に、ナツキが静かに手を添える。
「レイ……あなたの信じた道を行って。」
長い沈黙の後、レイは父を見据え、
ただ一言、冷静に告げた。
「俺は、光の中で生きる。――父さん、もう戻れないのか?」
「……俺の道は、もう闇の中だ。」
次の瞬間、空が割れた。
両陣営が一斉に動き出し、硫黄島上空での戦いが始まった。
轟音、閃光、炎――。
親子は戦火の中で再び刃を交えることになる。
「父さん、もう終わらせよう――!」
レイの叫びと共に、硫黄島の空が白く閃光に包まれた。




