第20章・第五部 「山間の決戦」
夜明け前、三機の戦闘機が西東京の山間部上空へと到達した。
濃い霧が立ち込め、下は鬱蒼とした森林がどこまでも続いている。
米軍の偵察データ通り、エネルギー反応は強く、まるで山そのものが脈打つようだった。
「ここだ……!」
レイの声に、ナツキとシュンが頷く。
三機は同時にエンジンを落とし、静かに山の手前の平地へと着陸した。
装備を整え、木々の間を進む三人。
風の音に混じって、微かに鬼の呻き声が聞こえる。
その異様な気配に、ナツキが呟いた。
「まるで……生きた山ね。」
やがて視界が開けると、そこには巨大な工場のような建物が姿を現した。
しかし、目を凝らしてみると――建物の輪郭が揺れている。
「おかしい……映像が歪んでる?」
「幻影だ!」レイが叫ぶ。
その瞬間、地面が裂け、黒い靄のような鬼が数十体、地中から這い出してきた。
幻影を作り出していた血気術――白蛇団残党の術式だった。
「行くぞ!」
シュンが炎をまとい、先頭に飛び出す。
火の血気術が一瞬で闇を焼き払い、続いてナツキの水の刃が空気を裂く。
「“水流斬・双牙”!」
残る鬼を一気に押し流す。
だが――本当の戦いはここからだった。
上空から黒い羽のような布が舞い落ち、重く冷たい声が響く。
「ようこそ、ホワイトホースの希望たちよ。」
霧の中から現れたのは、黒狼会の派閥リーダー――牙王。
全身を鋼のような鱗で覆い、背には巨大な血気の剣を背負っている。
「貴様が最後の壁か……!」レイが構えを取る。
「いや、我らこそ“闇の守護”だ。貴様らの光など、一瞬で呑み込んでやる!」
牙王の咆哮とともに、地面が爆発。
次の瞬間、周囲の木々が一斉に吹き飛んだ。
その力はまさに鬼神。
3人は吹き飛ばされながらも体勢を整え、連携して攻撃を仕掛ける。
レイの「風刃」が空を裂き、シュンの炎がそこへ重なり、ナツキの水流が軌跡を導く。
三人の血気術が交わった瞬間――空気が震え、光が走る。
「三式合撃――風火水陣!!」
轟音が山全体を包み込み、牙王の咆哮が霧の中に消えた。
やがて静寂。
残ったのは、崩れた岩壁と、黒い鎧の破片だけだった。
「……やった、のか?」
シュンが息を切らしながら呟く。
レイは剣を納め、夜明けの空を見上げた。
「最後の派閥――黒狼会、撃破完了。」
その言葉に、3人の無線に本部からの通信が入る。
『よくやった……!だが気を抜くな。これで――本部への道が開かれた。』
レイは頷き、仲間の肩を叩いた。
戦いは終わった。だが、闇の核心――ブラックタイガー本部、宇宙への戦いが、いよいよ始まろうとしていた。




