第20章・第四部 「再出撃の刻」
静まり返った本部の格納庫に、レイ・ナツキ・シュンの3人が並んで立っていた。
長い休養を経て、レイは完全に回復。
体内に眠る“闇の血”も安定し、制御可能なレベルにまで落ち着いていた。
前日、米軍の偵察機が収集したデータによると、
ブラックタイガー残党の拠点は「西東京の山間部」――深い森と岩壁に囲まれた、天然の要塞のような地形に存在していた。
赤外線カメラには、複数の鬼の熱反応と異常なエネルギー波が映っており、そこが最終派閥の根拠地であることが確定する。
ホワイトホース本部ではすぐに作戦が立案された。
3人の任務は「山間部の手前に着陸し、徒歩で内部を捜索・殲滅」すること。
直接の空爆は避け、内部構造の調査を最優先とする――慎重な作戦だった。
出撃直前、総裁が3人を自室に呼び出した。
窓の外には、戦闘機の翼が月光を受けて輝いている。
「……お前たちが、ここまで生き延びてくれたことを誇りに思う。」
総裁の声はいつもより低く、しかし温かかった。
「相手は最後の派閥。残党とはいえ、本部から強い支援を受けている。油断するな。
レイ、闇の力に飲まれるな。ナツキ、仲間を見失うな。シュン、お前は二人を導け。
――三人で生きて帰れ。」
三人は無言で頷き、敬礼した。
胸の中には、それぞれの思いが燃えていた。
ナツキは母との再会を経て、もう迷いはなかった。
シュンは仲間の支えになると誓い、レイは――自らの血と運命を受け入れる覚悟を決めていた。
出撃サイレンが鳴る。
格納庫の扉がゆっくりと開き、夜の空気が流れ込む。
3機の戦闘機がエンジンを点火し、青い炎を吹き上げた。
「ホワイトホース第零部隊――出撃する!」
レイの号令が響き、三つの光が夜空へと舞い上がった。
――その先に、決戦の地が待っている。




