第20章・第ニ部 黒狼会、覚醒
夜明け前のホワイトホース本部。
緊急警報が静寂を裂いた。
「第3部隊、通信途絶!」
指令室のスクリーンに、途切れ途切れの映像が映し出される。
ノイズ混じりの中、炎に包まれた街、倒れ伏す隊員たち――
そして、最後に映ったのは、巨大な影が空を覆う光景だった。
映像が消え、沈黙が走る。
「……全滅、です。」
「そんな……たった数分で?」
報告を聞いた総裁は、表情を引き締める。
「現場に残された機体の残骸は?」
技術班のタケダが答える。
「ヘリの機体は形を留めていません。まるで溶かされたように……」
レイたちは息を呑んだ。
黒狼会――最後の派閥は、今までの敵とは比べものにならない。
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会議室では、すぐに緊急作戦会議が開かれた。
壁一面に映し出された西東京の衛星画像。
中心部には、異常なエネルギー反応が渦を巻いていた。
「これは……血気反応か?」とシュン。
「ええ、でも規模が違う。あの数値……まるで本部クラスのエネルギーよ。」
発言したのは、元潜入班であり、今は教官を務めるナツキの母・ミズハだった。
彼女は資料を開きながら冷静に説明する。
「黒狼会は最後の派閥。おそらくブラックタイガー本部から直接支援を受けています。
装備、資金、戦闘データ……すべてが最上位クラスのはず。」
「つまり、今までの敵とは“質”が違うってことか。」とレイ。
「その通り。正面突破では壊滅する可能性が高いわ。」
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総裁は深く息を吐き、判断を下した。
「よし。まずは無人ヘリを投入する。
人間を危険に晒すわけにはいかん。」
技術班がすぐに準備に取りかかる。
最新型の無人偵察ヘリ〈ホークアイ〉が滑走路へと運ばれ、
管制室でオペレーターがカウントを始めた。
「ホークアイ、発進!」
モニター上に映し出される西東京の夜景。
だがその映像は、すぐに異変を見せた。
建物が歪み、街全体が黒い靄に包まれていく。
次の瞬間――映像が真っ白に途切れた。
「……信号、途絶。」
「何が起きた!?」
「不明。だが、干渉されたのは確かです。」
管制室の空気が張りつめる。
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その後、再び会議が開かれた。
総裁、ミズハ、技術班主任、そしてゼロウィングの3人が集う。
「黒狼会の防御網は、予想を超えている。」
「今のままでは突破できません。」
ミズハが口を開いた。
「……敵の防御構造を解析する必要がある。
でも、今は不用意に動くべきじゃない。」
総裁が頷き、レイたちに命令を出す。
「神崎レイ、ナツキ、シュン。――君たちは待機だ。」
「待機……ですか?」
「ああ。無謀な突入は、彼らの思う壺になる。
敵の出方を見極める。それが今できる最善の手だ。」
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会議が終わり、静かな夜が訪れた。
レイは廊下の窓から西の空を見つめていた。
東京の街灯の向こうに、どこか黒い霞が浮かんでいる。
「……あの中に、何がいるんだろうな。」
背後からナツキの声がした。
「怖い、けど……行かなくちゃいけない場所。」
レイはゆっくりと頷いた。
「ああ。今度こそ、終わらせる。」
夜風が二人の間を吹き抜ける。
静寂の中、戦いの嵐が近づいているのを誰もが感じていた。




